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コロナ借換保証を断られる会社の特徴と対策

コロナ借換保証を断られる会社の特徴と対策

2023年1月から始まった「コロナ借換保証」。国が後押ししている制度であるにもかかわらず、断られてしまった… そんな会社の特徴と対策をまとめます。

目次

銀行に断られてしまった…という声を聞く。

2023年1月から、「コロナ借換保証」の融資がスタートしました。

2023年7月〜2024年にかけて、コロナ禍での融資(いわゆるゼロゼロ融資)の返済が開始すること、いまなおコロナの影響から立ち直れない会社があることなどから創設された制度です。

コロナ借換保証の制度概要
  • 保証限度額 … 1億円
  • 保証期間 … 10年以内
  • 据置期間 … 5年以内
  • 金利 … 金融機関所定
  • 保証料 … 0.2%(補助前は 0.85%)
  • 数値要件 … 売上高または利益率が5%以上減少など

制度開始から1ヶ月以上を経過したいま(2023年2月23日現在)、「銀行にコロナ借換保証を断られてしまった…」という声を見聞きしています。

国が後押ししている制度なのになぜ? と、おもわれるかもしれません。そこで本記事では、コロナ借換保証を断られる会社の特徴と対策について、お話をしていきます。

コロナ借換保証を断られる会社の特徴と対策

コロナと関係なく業績が悪い会社

コロナ借換保証の前提として、「コロナの影響」があります。つまり、「コロナが原因」で業績が悪化しているということです。

ところが、実際にはコロナとは関係なく、業績が悪い会社もあります。もっとも顕著な例を挙げると、そもそもコロナ以前から業績が悪かったようなケースです。

たしかにコロナの影響で売上や利益は減少しているものの、コロナ以前から「赤字」の会社などは、コロナ禍での融資が受けにくかったのと同様に、コロナ借換保証も受けにくい傾向にあります。

したがって、コロナ借換保証の申し込みをするときには、いま業績が悪い原因が「コロナ」であることをいかに示せるかが1つのポイントです。

販売数や顧客数について、コロナ前と後とで比較したデータを準備しておくなどできるとよいでしょう。そのうえで、今後の教訓として覚えておきたいことがあります。

それは、平時に「きちんと利益を出しておく」ことです。有事に融資が出るのは、平時に比べて利益が減ってしまったからにほかなりません。

この点で、平時に「あえて利益を減らしている」ような社長は注意が必要です。利益を減らすことで税金を減らそうとする社長は、けして少なくありません。

税金を減らすのもよいですが、いっぽうで、税金を払ってでも利益を出しておくことは「将来の保険(有事の融資)」にもなります。節税か保険か、ようく検討するようにしましょう。

利益で税金が増えるといっても、それは利益に対して 30%くらいの金額です。別の見方をすれば、出した利益の 70%は手元に残るのですから、資金繰りもよくなります。

業績改善の姿勢が見られない会社

コロナ借換保証の前提は、「コロナの影響」だと前述しました。とはいえ、コロナの影響を受けているのにもかかわらず、コロナ借換保証が受けにくい会社があります。

それは、業績改善の姿勢が見られない会社です。たとえば、コロナをへて、多くの飲食店が店内提供だけではなく、テイクアウトやデリバリーにも対応するようになりました。

ところが、同じ飲食店でも、従来のまま店内提供だけを続け、業績が悪いままの会社があったとしたらどうでしょう。ちょっと努力が足りないのでは…? とおもいますよね。銀行も、そう考えます。

業績改善の姿勢が見られなければ、銀行は融資をできないのです。業績が改善して、じゅうぶんな利益が出る見込みがなければ、貸したおカネを返してもらうことができません。銀行が融資をしたがらないのは、当然でしょう。

では、どうするか? もう答えは見えているものとおもいますが、業績改善の取り組みをすること、その取り組みを可視化することです。

取り組みの可視化とは、具体的に言うと「経営改善計画書」になります。現状分析にはじまり、経営課題の特定、解決策の列挙、行動計画・数値計画などをとりまとめた書類が、経営改善計画書です。

その計画書に沿って、実際に行動を続けている会社を銀行は評価します。銀行が評価をしやすいように、書類や体制を整えることは、銀行融資・銀行対応におけるテクニックの1つです。

もちろん、それが「小手先のテクニック」ということではなく、目的は「経営改善」にあります。本気で経営改善を考えるのであれば、おのずと計画書が必要になるはずです。

その計画書を、銀行に提示・説明することで、自社の取り組みをアピールしましょう。そういう話をしています。

業績が良くて要件に当てはまらない会社

さいごに、もう1つ。業績が良いがために、コロナ借換保証が受けられないケースについてもふれておきます。

もう少し正確に言うと、コロナの影響をまだ引きずってはいるものの回復基調にあり、売上や利益減少といった要件には当てはまらない、というケースです。

回復基調にある会社ほど資金を要するものであり、そういった会社にこそ融資の後押しがほしいところでもありますから、コロナ借換保証の「盲点」とも言えるでしょう。

でも、回復基調にあるのなら、コロナ借換保証を使わずとも、別のカタチで銀行が融資をしてくれるはずだ! とおもわれるかもしれませんが。そうとばかりも言い切れないのです。

そもそもコロナ借換保証は、信用保証協会の保証付き融資であるため、会社が返済できなくなれば、代わりに信用保証協会が銀行に返済をします。銀行にとってはリスクが小さい融資です。

なので、「コロナ借換保証(保証付き融資)だったら貸す」という姿勢の銀行だと、回復基調ではあるがまだ不安もあるような会社に対しては、コロナ借換保証以外の融資を躊躇します。

では、コロナ借換保証以外の融資とは? ずばり、プロパー融資です。保証付き融資とは違って、会社が返済できなければ、銀行が 100%の損失を受けることになります。

ですから、プロパー融資を受けるというのもカンタンではありません。では、どうするか?

ここでもまた、計画書が1つの解決策になります。いまは回復基調にあり、この先はさらに回復、いずれは成長するという過程を、計画として可視化するわけです。

このとき、回復の実績データ(販売数や顧客数の回復など)や、回復に向けて実際に取り組んできたことなどを書面にまとめて提示できると、計画に対する説得力が上がります。

最近では、金融庁の意向もあって、以前よりもプロパー融資に積極的な銀行も出てきました。A銀行ではプロパー融資が受けられなくても、B銀行から受けられたということもあります。

銀行選びについても、あらためて考えてみましょう。

まとめ

2023年1月から始まった「コロナ借換保証」。国が後押ししている制度であるにもかかわらず、断られてしまった… そんな会社の特徴と対策をまとめました。

これから先も、コロナと似たような状況は起きる可能性があります。教訓として、次への備えとして、コロナにおける銀行融資・銀行対応について押さえておくとよいでしょう。

コロナ借換保証を断られる会社の特徴と対策

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