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融資を依頼するときに社長が銀行に伝えておくべきこと

融資を依頼するときに社長が銀行に伝えておくべきこと

社長が融資を依頼するときには、銀行に伝えておくべきことがあります。逆に、伝えずにいると、会社は不利益をこうむることになるので気をつけましょう。というお話です。

目次

伝えなければ不利益をこうむる。

社長が銀行に融資を依頼するときに、伝えておいたほうがよいけれど、実はあまり伝えていないことがあります。ずばり、次のとおりです↓

融資を依頼するときに社長が銀行に伝えておくべきこと
  • いつまでに
  • プロパー融資で
  • 経営者保証無しで

これらを伝えずにいると、「銀行の都合」で決まってしまうことが少なくありません。結果、会社が不利益をこうむるのであれば問題です。

というわけで、どのように伝えればよいのか、なぜ伝えなければいけないのかなど、考え方を確認していきましょう。

融資を依頼するときに社長が銀行に伝えておくべきこと

いつまでに

融資の依頼をするときには、「いつまでに」融資を受けたいのかを銀行に伝えましょう。そのうえで、「いつまでに返事をもらえるのか」をたずねることが大切です。

つまり、今回の融資について「融資をしてもらえるのか・もらえないのか」の回答期限を、銀行に決めてもらう、ということになります。これができている社長は少なくないようです。

すると、どうなるか? 早く融資を受けたいのに、なかなか返事がこないなぁ… ということが多くなります。それでも、返事をもらえればよいですが。なかには返事がこないケースもあります。

実際に、銀行のほうでは「融資を依頼された」という認識がなく、審査を進めていなかった… ということがありました。あってはいけないことですが、忘れていたり、放置されていたり、ということもあります。

銀行員も忙しいので、優先順位によっては後回しにされることもあるでしょう。それはそれで、しかたのない部分もありますが、返事がこなくてイライラするのは避けたいものです。

であれば、融資の依頼をするときにあらかじめ、「いつまでに」返事をもらえるのかを確認しておきましょう。

ちなみに、できるだけ早く返事をもらいたければ、早く返事をもらえるように準備する必要があります。

銀行が審査をしやすいように、「試算表、資金繰り表、借入金一覧表」があるとよいでしょう。設備資金の融資であれば、対象の設備に関する見積書や仕様書、設備投資計画など。

そうした準備もなく、返事を急かすようでは銀行も困ってしまいます。

さらに言えば、本来、急ぎで融資を受けるものではありません。時間的な余裕をもって、望むべきところだからです。それでも「いつまでに」を伝えるのは、銀行に緊張感を持ってもらうため、ということになります。

プロパー融資で

融資の依頼をするときには、「プロパー融資で」と銀行に伝えましょう。でなければ、銀行がプロパー融資を検討する可能性はとても低いからです。

ちなみに、プロパー融資とは「信用保証協会の保証が無い融資」をいいます。いっぽうで、信用保証協会の保証が付いた融資を「保証付き融資」などと呼びます。

保証付き融資は、会社が返済できなくなった場合、信用保証協会が代わりに返済をしてくれるため(以後、会社は信用保証協会に返済をすることになる)、銀行にとってはリスクが小さい融資です。

ゆえに、銀行は「まず保証付き融資」と考えています。会社がなにも言わないのであれば、保証付き融資が前提なのです。ところが、その保証付き融資には制度上の「限度額」があります。

無担保の一般保証であれば、8,000万円が上限です。また、会社の規模・状況によっては、それよりも少ない金額が限度額になります(おおむね、年間売上高の3〜5割くらい)。

なんにせよ、限度額がある以上、むやみに使うものではありません。保証付き融資は、銀行にとってリスクが小さく貸しやすい融資なのですから、業績悪化時などのために温存しておくのがよいでしょう。

したがって、銀行は「まず保証付き融資」であっても、会社は「まずプロパー融資」であるべきなのです。

とはいえ、保証付き融資かプロパー融資かを決めるのは銀行であることを忘れてはいけません。つまり、自社の業績があまりに悪ければ、銀行がリスクを負ってまでプロパー融資をしようとは考えない、ということです。

そういう意味では、プロパー融資を依頼するには「タイミング」も重要になります。自社の業績が良いときに依頼する。あるいは、銀行が「借りてほしい」とセールスをしてきたときに依頼するのがおすすめです。

経営者保証無しで

融資の依頼をするときには、「経営者保証無しで」と銀行に伝えましょう。いわゆる連帯保証は無しにしてもらう、ということです。

社長の連帯保証が付いていれば、もし会社が返済できない場合、社長個人にまで返済義務が及びます。であれば、社長は連帯保証が無いほうがよいはずです。

ところが、現状、民間金融機関の融資は7割くらいに連帯保証が付いています。銀行としては、連帯保証が付いているほうが安心・安全ですから、黙っていると連帯保証が付くものと考えておきましょう。

なお、保証付き融資の経営者保証は、プロパー融資しだいです。プロパー融資が経営者保証ありだと、信用保証協会としても経営者保証無しにはできません。

いっぽうで、プロパー融資が経営者保証無しであれば、信用保証協会も経営者保証無しで対応してくれます。ですからまずは、プロパー融資の経営者保証を外すことからはじめましょう。

ただし、銀行にただ伝えればよいわけではありません。プロパー融資と同じく、基本的には、自社の業績が良いときに依頼するのがセオリーです。

逆に、業績が悪いようであれば、銀行は経営者保証ありにせざるをえない、ということになってしまいます。経営者保証について、詳しくはこちらの記事も参考にどうぞ↓

まとめ

社長が融資を依頼するときには、銀行に伝えておくべきことがあります。逆に、伝えずにいると、会社は不利益をこうむることになるので気をつけましょう。というお話をしました。

なにを、どのように伝えればよいのか。そして、なぜ伝えなければいけないのか。その考え方を理解しておくようにしましょう。借りやすさや融資条件にも、影響するところです。

    融資を依頼するときに社長が銀行に伝えておくべきこと
    • いつまでに
    • プロパー融資で
    • 経営者保証無しで
融資を依頼するときに社長が銀行に伝えておくべきこと

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