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銀行ごとに融資の可否が変わるのはなぜなのか?

銀行ごとに融資の可否が変わるのはなぜなのか?

A銀行で融資を断られても、B銀行で融資が受けられた、ということがありますが。なぜ、そんなことが起きるのか? 銀行ごとに融資の可否が変わるのはなぜなのか? についてお話しします。

目次

銀行はどこも同じ、ではない。

会社の銀行融資について。銀行ごとに融資の可否が変わるのはなぜなのか? つまり、A銀行で融資を断られても、B銀行で融資が受けられたりするのはなぜのか?

と、聞いて。いやいや、銀行はどこも同じでしょう。A銀行で断られたらB銀行だって断られるんじゃないの? と、おもわれるのであれば、それは違います。

絶対ではありませんが、A銀行とB銀行とで融資の可否が変わることはあるのです。ではなぜ、そんなことが起きるのか?

その「理由」まで押さえておきましょう。自社がお付き合いをする銀行選びをするのに役立つはずです。というわけで、銀行ごとに融資の可否が変わる理由がこちらになります↓

銀行ごとに融資の可否が変わる理由
  • 金融機関の違い
  • 支店の方針の違い
  • タイミングの違い
  • 審査基準の違い
  • 対象エリアの違い
  • 担当者の違い

それではこのあと、順番に確認していきましょう。

銀行ごとに融資の可否が変わる理由

金融機関の違い

そもそも、銀行には「種類」があります。大きく分けると、民間金融機関が「都市銀行、地方銀行、信用金庫・信用組合」、加えて政府系金融機関(日本政策金融公庫や商工中金)といった具合です。

これら金融機関のそれぞれに「役割」があり、「立ち位置」があります。結果として、融資の可否に影響することを理解しておきましょう。

たとえば、都市銀行は大企業向けの金融機関です。ゆえに、中小企業にとっては敷居が高く(審査基準が厳しい)、業績不十分を理由に融資を断られやすいという一面があります。

いっぽうで、信用金庫・信用組合は、中小企業向けの金融機関です。同じ業績であっても、融資を受けられる確率は、都市銀行よりもグッと高まります。

したがって、A銀行(都市銀行)では断られたけど、B銀行(信用金庫・信用組合)では融資が受けられた、ということはあるわけです。

ちなみに、政府系金融機関である日本政策金融公庫(以下、日本公庫)もまた、中小企業にとっては融資が受けやすい金融機関だと言えます。日本公庫には「民間金融機関の補完」という役割があるからです。

支店の方針の違い

銀行が同じであっても、支店によっては「方針」の違いがありえます。もう少し具体的に言うと、銀行全体の方針のもと、支店長ごとの考え方・姿勢の違いがある、ということです。

たとえば、融資に積極的な支店長もいれば、消極的な支店長もいます。よく言われるのは、営業が長かった支店長は融資に積極的、融資審査が長かった支店長は消極的、といった具合です。

したがって、いまの支店長がどいういう支店長かによって、融資の可否は影響を受けると言えます。だとすれば、支店長の略歴・方針などを銀行担当者に聞くなどして、情報収集しておくのがよいでしょう。

なお、支店長にも異動があります。いまは融資に消極的でも、やがて積極的な支店長に替わることもあるわけですから、いま消極的だからといってお付き合いを断ってしまうのではやりすぎです。

融資に積極的な他の銀行とお付き合いをしながら異動を待つ、という対応があります。

タイミングの違い

A銀行の支店では、ノルマ達成に向けて融資先を探している。という場合には、融資が受けやすくなる傾向があります。言うまでもなく、銀行は融資をしたがっているからです。

いっぽうで、ノルマ達成をしたB銀行の支店はどうかというと。ムリをしてまで融資をする状況ではありません。ヘタに融資を増やすと、次期のノルマが引き上げられてしまいます。となると、融資は受けにくくなるわけです。

したがって、銀行ごとに、融資を受けるタイミングの違いが、融資の可否に影響することがあります。このあたりも、銀行担当者から情報収集をしておきたいところです。

銀行は、決算の関係で3月・9月に業績を高めようとしています。ノルマ未達(見込み)の場合、2月・8月あたりに銀行は「貸したい」という動きが大きくなるものです。

審査基準の違い

銀行はみな、審査基準に変わりはないだろう? と、おもわれるかもしれません。たしかに、大きな部分では変わりませんが、細かなところでは違いがあります。

たとえば、ノンバンクからの借入をどう扱うか。ある銀行では、「銀行以外の借入(高利貸しからの借入)」として危険視。結果、融資を断るということがあるでしょう。

これに対して、別の銀行では「銀行に準ずる借入」として危険視はせず、融資を実行するということもあります。したがって、審査基準の違いが融資の可否に影響することはあるわけです。

日本公庫などは、税金・社会保険料や家賃などの支払遅延を、民間金融機関よりも厳しく見ています。実際に、遅延履歴が理由で融資を断られることがあるのです。

民間金融機関も、遅延が良いことだとは考えませんが、日本公庫ほど厳しくはないこともあります。結果、日本公庫で断られても民間金融機関で融資が受けられることはあるわけです。

対象エリアの違い

同じ銀行であっても、支店の場所によって融資の可否に影響することがあります。支店ごとに営業対象のエリアが決まっていますから、対象エリアの違いが影響するということです。

都心部の支店であれば、対象エリアのなかには多くの融資候補先があります。事業規模が大きい会社も多いことから、そのようなエリアのなかで自社の存在感を出すのはタイヘンです。

いっぽう、郊外の支店などであれば、対象エリアのなかに融資候補先は少なく、都心部に比べると事業規模が小さい会社が多いものでしょう。結果として、自社の存在感を出しやすくなります。

つまり、同じ事業規模・業績であっても、都心部の支店より郊外の支店のほうが融資を受けやすい、ということはあるわけです。

よって、自社の拠点(営業所・事務所・工場など)が複数ある場合には、どの支店から融資を受けるかを考えてみるのもよいでしょう。

担当者の違い

銀行担当者もそれぞれです。銀行に限ったことではなく、人には資質や能力の差、仕事に対する取り組み姿勢の差があります。その差が、融資の可否に影響することもあるわけです。

銀行担当者のなかには、いろいろ説明をしても、自社の商売について理解してもらえない… という人もいます。また、融資の依頼をしても、動きが遅かったり、忘れられてしまったり… ということもゼロではありません。

もちろん、会社側に原因があることもありますが、それ以外にも「担当者の違い」によるところはあるものと考えます。

とはいえ、銀行担当者を替えてもらえるものでもありません。異動があるまでは、他の銀行とお付き合いをしながら待つ、というのは前述した支店長の話と同じです。

まとめ

A銀行で融資を断られても、B銀行で融資が受けられた、ということがあります。なぜ、そんなことが起きるのか? 銀行ごとに融資の可否が変わるのはなぜなのか?

その「理由」を押さえおきましょう。自社がお付き合いをする銀行選びをするのに役立つはずです。

    銀行ごとに融資の可否が変わる理由
    • 金融機関の違い
    • 支店の方針の違い
    • タイミングの違い
    • 審査基準の違い
    • 対象エリアの違い
    • 担当者の違い
銀行ごとに融資の可否が変わるのはなぜなのか?

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