決算や確定申告で慌てずに済むように、毎日経理をすべき。と、見聞きもするけれど。それとは別に、毎日経理をすべき本当の理由についてお話をしていきます。
本当の理由は、見えない不安。
2016年に独立開業して以来、わたしは「毎日経理」を続けています。文字どおり、毎日経理をするということであり、ためこんでまとめてやるようなことはしない、ということです。
だとすれば、「決算や確定申告のときに慌てなくて済むよねぇ」みたいなことは、毎日経理のメリットとして見聞きするところでしょう。
たしかに、そのメリットもあるのですが、わたしが毎日経理をすべきだと考える「本当の理由」は別のところにあります。ずばり、「おカネの不安から逃れられるから」です。
残念ながら(?)、わたしはいまのところおカネ持ちではありません。おカネの心配をまったくせずに暮らす、ということはできないのです。残念ながら。
でも、そのような心配を抱えて、不安な気持ちでいるのはツラいものです。結果、目の前のことに集中できなくなってしまうようであれば、大きな損失だと言えます。では、どうするか?
見えない不安を、見えるようにすることです。わたしは、おカネの不安について、「おカネが無いから不安」というよりは「おカネがあるのかわからないから不安」なのだと考えています。
それって、どっちもいっしょじゃないの? と、おもわれるかもしれませんが。
後者については、霊やオバケのたぐいと同じです。それらは、「いるかいないかがわからない」のが、本当の怖さだったりしますよね。明確に「いる」とわかっていれば、そこまで不気味ではないはずです。
で、おカネについても同じだろうとおもっています。仮におカネが無いにしても、どれくらいないのか、どれくらい足りないのかがはっきりしていれば、手の打ちようはあります。
おカネが無い不安は残りますが、状況がさっぱりわからないよりは不安が薄れるはずです。もちろん、おカネがあるとわかれば、安心をえられるのは言うまでもありません。
わたしは、ひとり仕事の個人事業ですが、これは会社の社長でも同じことでしょう。会社の経理もまた、「おカネの不安から逃れる」ために毎日経理をおすすめします。
不安から逃れることができれば、社長は目の前の「経営」に集中できるのがメリットです。逆に、おカネの不安にとらわれてしまえば、社長は経営判断を間違えてしまうやもしれません。
とはいえ、毎日経理をするってタイヘンだよね? どうやってやればいいの? ポイントは? と疑問もあるでしょう。というわけで、毎日経理をするためにおすすめなことについても、このあとお話をしてみます。
毎日経理をするためにおすすめなこと
わたしが、毎日経理をするにあたって実践していることが次のとおりです↓
- 朝イチでやる
- 現金をやめる
- つど請求する
- 入金お礼する
- ラインを引く
それではこのあと、順番に確認していきましょう。
朝イチでやる
わたしは、毎朝のルーティーンのなかに「経理」を組み込んでいます。ルーティーンなので、絶対にやります。とはいえ、毎日やっていますから、長くても15分くらいですし、早ければ数分です。
なので、習慣にできれば、続けるのがツラい… というものではないでしょう。
それはそれとして、「別に朝でなくてもよいだろう」とおもわれるかもしれません。が、朝でなければいけない理由があります。その理由は、すでに前述しました。
おカネの不安から逃れるため、です。経理を夜にやっているようでは、朝から夜までのあいだ、おカネの不安を感じ続けることになってしまいます。だから、朝のうちに解消しておくのです。
そうすれば、1日じゅう安心して過ごすことができますし、目の前のことに集中しやすくもなります。朝イチで経理を済ませて、気分良く、生産性の高い毎日を過ごしましょう。
現金をやめる
毎日の経理にかかる時間がそれほど長いものでないことは、さきほど話をしました。ですが、時間がかかってしまうケースの1つに、「現金」があります。
現金を受け取っていたり、現金で支払っていたり。すると、会計ソフトに「すべて人力」で入力をしなければなりません。手入力にしても、音声入力にしても、人力は時間と手間がかかります。
ところが、現金ではなく、銀行振込やクレジットカード、電子マネーなどであれば、それらの「取引データ」を会計ソフトに連携することで「人力」を減らすことが可能です。
現金は、物理的な扱いやすさはあるものの、毎日経理においては「障害」になるものと考えておきましょう。ですから、「どれだけ現金入金・現金支払を減らせるか」がポイントになります。
できるだけキャッシュレス、を目指しましょう。
つど請求する
毎日経理のなかには、「請求書発行」も含まれます。わたしの場合、「きのうの取引」をきょう経理していますので、きのうの売上について請求書を発行するイメージです。
この点で、請求書発行は月末にまとめてやっている、という人もいるでしょう。それはそれで悪くありませんが、請求書をつど発行することにはメリットがあります。
おカネの不安から逃れられる、というメリットです。請求書発行、つまり、収入の発生(いずれは入金)は、おカネの不安を減らしてくれるものですよね。
なので、つど請求書発行をしていれば、つど、おカネの不安が減る感覚をえることができます。だったら、月にいちどよりも、毎朝のほうがよくない? とおもうのですがいかがでしょうか。
入金お礼する
請求書を発行したからといって、まだ安心はできません。なぜなら、入金されなければ、おカネの不安は解消されないからです。入金されてはじめて、真の売上となる! みたいな。
というわけで、日々の入金確認も欠かせません。この点、毎日経理をしていれば、前日の入金を確認することができます。すると、おカネの不安を減らすことができるのはメリットです。
加えて、わたしは「入金お礼」をしています。メールやチャットではありますが、入金いただいたお客さまに、お礼の言葉を伝えるようにしている、ということです。
感謝を伝える、というおもいがあるのは当然として、おカネの不安を減らす効果もあります。マメに入金お礼をしているということは、マメに入金をチェックしているということでもあります。
それが、お客さまに伝われば、「支払いが遅れないようにしないと(あるいは、なるべく早く支払おう)」と感じていただきやすくなるものです。逆に、支払いに無頓着な相手に対しては、支払いの優先順位が下がるものでもあります。
ラインを引く
おカネの不安をなるべく感じずに済む目安として、わたしは「生活費1年分のおカネ」という考え方をしています。預金その他、すぐに現金化できるものが「生活費1年分」の金額だけあるかどうか。
ひとり仕事ということもあって、もしもいま、なにかあれば収入が途絶える可能性があります。それでも、生活費1年分くらいのおカネがあれば、ひとまずはなんとかなるでしょう。
なので、「生活費1年分のおカネ」というところにラインを引いて、そのラインを上回っていれば安心!(ひとまずは)と感じられるようにしています。
このような安心を感じられなくなると、ただ不安になるだけではなく、必要な自己投資もしづらくなるものです。逆に、使ってもよいおカネがわかるからこそ、自己投資がしやすくなるというものでしょう。
というわけで、じぶんなりのラインを引くのはおすすめです。
まとめ
決算や確定申告で慌てずに済むように、毎日経理をすべき。と、見聞きもするけれど。それとは別に、毎日経理をすべき本当の理由についてお話をしてきました。
実際に、毎日経理をするためにおすすめなことについても参考に、実践をしていただくきっかけになるようでしたら幸いです。
- 朝イチでやる
- 現金をやめる
- つど請求する
- 入金お礼する
- ラインを引く