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社長は資金繰り表をつくらされたら負け

社長は資金繰り表をつくらされたら負け

社長が、資金繰り表をつくらされるような状況であれば負けです。なぜ、負けなのか? 負けないためにはどうすればよいのかについて、お話をしていきます。

目次

勝ち負けがあるのだとすれば、負け。

会社が備えおくべき書類の代表が「決算書」です。ほかにも備えおくべき書類の一例として、「資金繰り表」が挙げられます。

その資金繰り表について、社長が「つくらされる」ような状況であれば負けだ、と言ってよいでしょう。勝ち負けという表現は適切ではないかもしれませんが、要は、資金繰り表をつくらされるようではダメだ、そういうことです。

では、資金繰り表をつくらされるとは、具体的にどのようなケースをいうのか? おもに2つあります。1つは「日繰りを迫られるケース」、もう1つは「銀行から求められるケース」です。

このあと、両ケースについてくわしい話をしたのちに、「じゃあ、社長はどうしたらよいのか? 資金繰り表とどう向き合えばよいのか?」のお話もしていきます。

ケース1・日繰りを迫られるケース

ここで言う「日繰り(ひぐり)」とは、「1日単位・1円単位」での資金繰りを余儀なくされている状況をあらわします。

つまり、会社の預金残高はカツカツで、底が見えている… なので、入金と支払のタイミングがちょっとでもズレようものなら、資金ショートしてしまう…

そうなれば会社はおしまいですから、社長は四六時中、資金繰りのことを考え、おカネの算段に奔走している。必要があれば、社長個人のおサイフから会社におカネを貸しこむことも…

このような状況にあっては、緻密な資金繰りが必要になるため、「1日単位・1円単位」の資金繰り表をつくらざるをえなくなります。1日ごとの入金・支払・残高を予測した資金繰り表です。

イメージだけでもわかるとおもいますが、これはかなりの「重労働」になります。後述する「1月単位・万円単位」の資金繰り表に比べると、かなりの重労働です。

そんな重労働に社長が縛られればどうなるか? 当然、経営がおろそかになります。経営が、会社の「未来を考える仕事」だとすれば、日繰りは「過去の後始末」にすぎません。

経営は社長にしかできないことであり、その社長が後始末に追われていたのでは、事業がよくなるわけもなく。ますます事業は悪化して、ますます資金繰りは悪くなります。悪循環です。

また、そのような状況になれば、社長のストレスも並ではありません。結果、心身を傷めてしまい、やはり経営ができなくなるのでは、いっそう困ったことになります。

繰り返しになりますが、社長の代わりなどいないからです。よって、日繰りの資金繰り表をつくらねばならないようなケースは負け。そう考えておきましょう。

ケース2・銀行から求められるケース

融資を受けている(あるいは受けようとする)会社が、銀行から「資金繰り表を見せてほしい」と言われることがあります。

このとき、もし、ふだんから資金繰り表をつくっていなければどうでしょう? 資金繰り表をつくるのに、多かれ少なかれ時間がかかることになります。そもそもつくりかたがわからない… と困惑するかもしれません。

結果、資金繰り表をなかなか見せられないとなると、銀行が融資を躊躇するきっかけになるものです。

銀行から資金繰り表を求められているということは、すでに銀行が資金繰りに不安を感じているからであり、にもかかわらず、社長が資金繰りを管理していない(資金繰り表がない)となれば、銀行はなお不安になります。融資を躊躇するのは当然です。

この点で、「資金繰り表は言われずとも見せる」のが、最善の銀行対応になります。逆に、銀行から言われて見せるのでは遅すぎる。言われた時点で負けなのです。

よって、社長は常日頃から資金繰り表を備えおくべき、ということになります。

じゃあ、社長はどうしたらよいのか?

社長が資金繰りをつくらされるケースを2つ、確認しました。これを受けて、じゃあ、社長はどうしたらよいのか?

結論、「1月単位・万円単位・向こう1年分」の資金繰り表を備えおくことです。いわゆる「資金繰り予定表」をつくり、それをもって資金繰りを管理しましょう、ということになります。

資金繰り予定表の具体的なつくり方は、こちらの動画で解説しました↓

それはそれとして、資金繰り予定表があるとどうなるのか?

まず、社長は「常に1年先までの資金繰りを見通せる」ようになります。このとき、1年先まで資金繰りに問題がないことがわかれば、社長は安心して経営に集中できるのがメリットです。

また、資金繰りに問題が生じるとしても、早い段階で気がつくことができます。すると、早く問題解決に動き出すこともできるので、選択肢が多くなるのがメリットです。

いっぽうで、気づくのが遅いほど、取りうる選択肢は少なくなります。これが、社長を疲弊させ、ひいては会社の寿命を縮めうることを忘れてはいけません。

資金繰り予定表には、さらに良いところがあります。それは、銀行融資が受けやすくなることです。ふだんから資金繰り予定表をつくっているような会社に、銀行は安心を感じます。

そのうえで、毎期決算がおわったタイミングで、資金繰り予定表をもとに、向こう1年で必要になるおカネを、銀行から借りてしまうのがおすすめです。

それができれば、社長は向こう1年、資金繰りの心配をしなくてすみますし、銀行対応の必要もなくなります。やはり、社長が経営に集中できるのがメリットです。

そのために、社長は資金繰り表をつくらされるのではなく、みずからつくることを選びましょう。つくらされるのが負けだとすれば、みずからつくることは勝ちにつながります。

まとめ

社長が、資金繰り表をつくらされるような状況であれば負けです。なぜ、負けなのか? 負けないためにはどうすればよいのかについて、お話をしてきました。

以上をふまえて、社長は「向こう1年の資金繰り予定表」を、常に備えおくようにしましょう。

社長は資金繰り表をつくらされたら負け

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