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昔と違って通用しなくなった銀行融資対策もある

昔と違って通用しなくなった銀行融資対策もある

社長にとっての関心事、銀行融資対策。ちまたで言われる対策のなかには、昔と違って通用しなくなったものもあるので気をつけましょう、というお話です。

目次

昔といまは違う。

会社が銀行融資を受けるのであれば、社長が知っておきたいのが「銀行融資対策」です。その対策にもいろいろありますが。

ちまたで言われる対策のなかには、いまとなっては通用しなくなった(あるいは、通用しにくくなった)対策もあるので注意が必要です。

つまり、その昔は有効な対策ではあったものの、いまは違う、ということになります。なので、お年を召されたベテラン社長などから聞く対策には、少々気をつけたほうがよいでしょう。

銀行融資に限ったことではありませんが、昔といまとでは、変わることだってあるのです。

というわけで、本記事では「昔と違って通用しなくなった銀行融資対策」についてお話をしていきます。おもなところで3つ、次のとおりです↓

昔と違って通用しなくなった銀行融資対策
  • 金利競争を促す
  • 資金使途を隠す
  • 経理処理を偽る

昔と違って通用しなくなった銀行融資対策

金利競争を促す

複数の銀行から融資を受けましょう。そして、銀行どうしで金利を競わせましょう。すると、金利を引き下げることができます。というハナシは、聞いたことがあるはずです。

たしかに、その昔は有効な銀行融資対策でした。また、いまでもまったく効果がないわけではありません。ただし、以前ほどには効果がなくなっている、と言ってよいでしょう。

そもそも、その昔に効果があったのは、銀行がいまよりもたくさんあって、金利がいまよりもずっと高かったからです。それに比べて、いまはどうでしょう?

ご存知のとおり、地方銀行を中心に「再編(提携・統合・合併)」が進んでいます。銀行の数は、減り続けているのです。よって、銀行どうしの競争は緩和される傾向にあります。

A銀行とB銀行がいっしょになってC銀行になりました、というように、あきらかに銀行の数が減るケースは当然として。A銀行とB銀行の存在はそのままに業務提携(あるいは経営統合)しました、というような場合でも、A銀行とB銀行との競争がなくなることはあります。

ですから、社長は「取引銀行の動向」を日ごろから確認しておくのがよいでしょう。

また、A銀行とB銀行とが競争関係にあったとしても、いまはまだ、世の中がじゅうぶんに低金利です。これ以上はもう下げられない… という金利で融資をしていることもあります。

だとすれば、いくら金利を競わせても金利は下がらないわけです。それどころか、銀行から嫌われてしまう可能性があります。

銀行にとって、利息は収入であり、金利が下がれば収入は減ってしまうからです。収入が減る、つまり、儲からない融資先に対しては「あまり手間をかけるのはやめよう」と考えることはあるでしょう。

結果として、自社の業績が厳しくなり、銀行融資が必要なときにでも、銀行からは冷たくあしらわれてしまう… ということはあるものです。金利競争を促すのも、ほどほどにしておきましょう。

資金使途を隠す

1,000万円の設備投資をするにあたり、銀行には 1,500万円の見積書を提示して、1,500万円の融資を受ける。余った 500万円は、運転資金(仕入代金や経費の支払など)として使う。

これを銀行融資対策と呼ぶかどうかの議論はありますが。その昔は、そこそこ実践されていた方法です。なので、「先輩社長から聞いたことがある」という方もいるのではないでしょうか。

わたし自身、社長から聞いたことがありますし、実際にうまくいったというハナシも聞いたことがあります。

とはいえ、それは「資金使途違反」であり、まずは「やってはいけないこと」だと認識しておきましょう。そのうえで、いまはその方法は通用しませんよ、という話をしてみたいとおもいます。

現状、設備投資のために融資を受けようとすると、支払は融資を受けた銀行に指定されるのがふつうです。よって、見積書と違う金額を支払う、という方法は通用しません。

だったら、いちど見積書どおりに支払って、ウラからおカネを戻してもらえばいい。という悪だくみもありますが。戻してもらった金額分だけ、決算書に記載される設備の額が減るため、バレてしまうのです。

ときおり、「バレていない」という社長がいますが、それは「まだバレていない」だけかもしれません。いずれ、銀行が決算書を確認するタイミングでバレるケースがあるからです。

資金使途違反がバレると、以後、その銀行からの融資は受けられなくなるものと考えておきましょう。それはそれで、会社にとっては大ダメージでしょうから、うかつに手を出すものではありません。

前述したとおり、銀行の数も減っています。ほかの銀行があるからいいさ、というわけにもいかないのです。

経理処理を偽る

ほんとうは赤字のところ、経理処理を偽り、黒字にしてしまう… いわゆる「粉飾決算」です。これまた、銀行融資対策と呼べるものではありませんが、融資を受けるために手を染める会社は、昔もいまも存在しています。

この点で、昔に比べていまは、より粉飾決算を見抜かれるようになっているし、これから先、さらに見抜かれやすくなるでしょう。いちばんの理由は、ITの利用が進んでいるからです。

会社が銀行に決算書を提示すると、銀行は「人間の目視」だけではなく、「コンピュータの分析」によって、粉飾決算の可能性があきらかにされることになります。

もう少し具体的にいうと、コンピュータが「ここが怪しい」という箇所を示すため、それにしたがって、人間(銀行員)が確認をとる(ヒアリングや追加資料の請求など)、という流れです。

その昔は、銀行員それぞれの「個人の力量」によっていたところ、いまはコンピュータによって、ムラなく・モレなく見抜かれることになります。

また、最近では「オンライン融資」も広がってきました。申込みから着金まで、すべてオンラインで完結する融資です。この場合、決算書の内容ではなく、会計データや銀行取引データなどが審査の対象になります。

データの分析は、基本的にAIがおこなうため、会計データの粉飾は見抜かれやすくなりますし、銀行取引データは経理処理の影響を受けませんから、粉飾決算は無効化されておしまいです。

したがって、経理処理を偽るという方法は、昔に比べて効果がなくなっていることを理解しておきましょう。

ちなみに、粉飾決算が発覚すると、銀行からの信用を大きく毀損します。以後の融資が受けられなくなることもあるため、絶対に手を出してはいけないことを申し添えます。

まとめ

社長にとっての関心事、銀行融資対策。ちまたで言われる対策のなかには、昔と違って通用しなくなったものもあるので気をつけましょう、というお話をしました。

銀行融資に限らず、昔といまとでは変わることもあります。見聞きする話を鵜呑みにするのではなく、情報の正否をたしかめるクセをつけましょう。

    昔と違って通用しなくなった銀行融資対策
    • 金利競争を促す
    • 資金使途を隠す
    • 経理処理を偽る
昔と違って通用しなくなった銀行融資対策もある

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