融資を受けている銀行から、定期預金や定期積金、各種保険や投資信託、クレジットカードなどのセールスを受けたときにどうするか? 社長が考えるべきことをまとめました。
断れば、今後の融資に影響するかも。
融資を受けている会社の社長は多かれ少なかれ、銀行から「セールス」を受けたことがあるのではないでしょうか。なお、ここで言うセールスとは、「銀行融資」以外の勧誘とします。
具体的には、定期預金や定期積金、各種保険や投資信託、クレジットカードなどなど。これらのセールスを受けたときに、社長はどのようにすればよいのか?
もちろん、セールスを受け入れるも断るも社長の自由です。が、断れば、今後の融資に影響するのではないか… との不安もあるでしょう。
というわけで、本記事では、銀行からセールスを受けたときに社長が考えるべきことについてお話をしていきます。内容は次のとおりです↓
- 融資のトクにはならない
- 定期預金・定期積金は死にガネになる
- 保険や投資信託はほかにも選択肢がある
- クレジットカードはヤブヘビにならぬよう
- 人が集う場所へのご招待なら行く価値あり
それではこのあと、順番に確認していきましょう。
銀行からセールスを受けたときに社長が考えるべきこと
融資のトクにはならない
銀行からセールスを受けたときに、多くの社長が考えることは「断れば、融資してもらえないかも…」という不安です。あるいは、「受け入れれば、融資をしてもらえるかも」という期待でしょう。
が、どちらも違います。セールスの受け入れ条件にした融資は、法律によって禁じられているからです。とはいえ、実際には銀行はセールスをしますし、それを受け入れる社長はいます。
たとえば、銀行が「融資のタイミング」とはズラして、定期預金や投資信託を購入を迫る、という方法はあるわけです(ある意味、グレーゾーンですが…)。
また、自社の業績が悪く、融資に不安がある会社の社長ほど、法律で禁じられていることは知りつつも、融資を条件にセールスを受け入れてしまうことがあります。
ちなみに、セールスを受け入れることで、銀行担当者との人間関係が多少円滑になることはあるかもしれません。ですが、ご存知のとおり銀行担当者にも異動があります。そこで効果はおしまいです。
だとすれば、「融資のトクになる」とまでは言えないでしょう。
定期預金・定期積金は死にガネになる
ついついおカネを使ってしまう… という社長の場合、定期預金や定期積金によって、おカネを「拘束」するのは1つの方法です。
そんな折、融資をしている銀行からそれらのセールスがあったらどうでしょう。これ幸いと受け入れてしまうと、せっかくの定期預金・定期積金が「死にガネ」に変わる可能性があります。
死にガネとは、貯めるばかりで使えないおカネのこと。ではなぜ、融資をしている銀行に定期預金・定期積金をあずけると、死にガネになってしまうのか?
いざとなれば、その銀行からの借入と相殺をされてしまうからです。また、相殺をされる前に引き出そうとしても、銀行はあの手この手で、止めにくるでしょう。
融資をしている銀行にとって、定期預金や定期積金は「担保」のようなものだからです。なので、実際には担保にしていなくても、実質的には担保になってしまうことを覚えておきましょう。
だとすれば、融資をしている銀行に、定期預金・定期積金はしないことです。
保険や投資信託はほかにも選択肢がある
銀行からセールスをされるものと言えば、保険や投資信託も挙げられます。保険自体、投資信託自体は、目的や状況に応じて役に立つものではありますし、検討の余地はあるものです。
が、銀行から勧められたからという理由で決めるものではありません。なぜなら、銀行は銀行が扱っている商品しか提供できないからです。これは、銀行に限ったハナシではありませんね。
言うまでもなく、世の中にはたくさんの保険や投資信託があります。そのすべてを、1つの銀行が扱えるわけがありません。だとすれば、1つの銀行が扱う商品のなかだけを見ていたのでは、ほんとうに良い商品を見逃してしまうことになります。
もちろん、全商品を比較検討するのは現実的ではないにしても、いくつかの保険代理店や、証券会社を当たるなどして比較するくらいはしたほうがよいでしょう。
ちなみに、セールスをする銀行担当者に「あなたは保険や投資信託を買っているのか? 買っているならどのように選んでいるのか?」をたずねてみるのはおすすめです。
買うにせよ買わないにせよ、考え方を学ぶことができます。ちなみに、「買っていません」ということもあり、その場合のセールスは説得力に欠けますね…
他人に売るからには、まずじぶんが買いましょう・使いましょう、という感じです。そんなことを言う必要はありませんが。
クレジットカードはヤブヘビにならぬよう
銀行からクレジットカードの加入を勧められることもあります。クレジットカードは、銀行員の営業ノルマに挙げられていることも多いようで、なかなかにしつこい… とのハナシはそこかしこ。
年会費やポイント還元、その他の特典なども含めて、必要ならば加入すればよいでしょう。ただし、融資のトクにならならいことは、すでにお話をしたとおりです。
ノルマ未達で困っている銀行担当者からは感謝されるかもしれませんが、喉元過ぎれば… というのも、社長方々からはよく聞くハナシだったりします。
なお、セールスに応じてクレジットカードに加入する際、個人信用情報には注意が必要です。個人信用情報とは、「社長個人」に関する次のような情報になります↓
- 氏名、生年月日、性別、電話番号、住所など
- 公的資料情報(運転免許証の番号など)
- ローンやクレジットカードの利用情報(金融会社名、利用日、利用金額、支払状況など)
- ローンやクレジットカードの申込情報(金融会社名、申込日、申込内容など)
クレジットカードに加入するときには、これらの情報を調べられますが、たとえば社長個人に、クレジットカード利用の支払遅延などがあると、問題になる(加入できない)ケースがあります。
これは、今後の融資にも悪影響になりうるところでもあるので、クレジットカードをつくったばっかりに、ヤブヘビとならないよう気をつけましょう。
人が集う場所へのご招待なら行く価値あり
ちょっと変わったセールスでいうと、「人が集う場所へのご招待」もあります。具体的には、講演会、懇親会、交流会、ビジネスマッチング、ゴルフコンペなど。
こういったところでは、「人脈」ができる可能性があるため、人脈づくりを目的にセールスを受け入れるのもよいでしょう。
銀行に対しては、支店長や融資課長など「融資のキーマン」と面識ができる、自社のことを知ってもらえるきっかけになる、といったメリットがあります。メリットとしては、大きなものです。
また、他社や地域との交流が持てる場であれば、取引先(売上先・仕入先)の開拓や、地域へのアピールなどができますから、自社の事業拡大という面でメリットあるでしょう。
とはいえ、実際に行ってみたら、メリットを得られるような人は参加していなかった… というハナシを社長から聞くことがあります。参加を決める前に、「どのような参加者」がいるのかをきちんと確認するのがよいでしょう。
まとめ
融資を受けている銀行から、定期預金や定期積金、各種保険や投資信託、クレジットカードなどのセールスを受けたときにどうするか? 社長が考えるべきことをまとめました。
断れば、今後の融資に影響するかも… と不安になるかもですが。基本的に、大きな影響はありません。逆に、セールスを受け入れたからといって、大きな効果もありません。
必要があれば受け入れるということでかまわない、と理解しておきましょう。