開業するにあたり、銀行から創業融資を受けたあと、しばらくしておカネが足りなくなってしまった。また融資を受けられるだろうか…? という疑問にお答えしていきます。
つまり、おカネが足りない。
開業するにあたり(会社でも、個人事業でも)、銀行から創業融資を受けました。ところが、しばらくしてまたすぐに、融資が必要になってしまいました。つまり、おカネが足りない…
という場合に、融資を受けることはできるのか? と知りたくなるケースもあるでしょう。実際には、受けられるケースもあれば、受けられないケースもあります。ケースバイケースです。
では、具体的にどのような場合には、融資が受けられるのか? 絶対に受けられるわけではありませんが、比較的受けやすいといえるのは、おもに次の3つです↓
- 半年くらいあいている
- 売上増加が理由である
- 売上入金がある銀行で借りる
それではこのあと、順番に確認していきましょう。
創業融資を受けたあと、またすぐにでも融資が受けやすいケース
半年くらいあいている
いちど創業融資を受けたあと、またすぐに融資を受けるというのは、基本的には難しいものがあります。銀行としては、「借りたばかりなのに、また?」と考えるからです。
創業融資に限らず、融資全般について、「つど融資を受ける」のは得策ではありません。計画性がなく、場当たり的に借りようとしている、と見られてしまいます。
なので、融資を受けるときには、前回の融資から「あるていどの期間」があいていることが重要です。では、「あるていどの期間」とは、どのくらいの期間をいうのか?
目安は、「半年」です。これが、数ヶ月となると「借りたばかりなのに、また?」と見られてしまうことでしょう。結果として、融資が受けられない可能性が高くなります。
実際に、そのような状況になってからでは「いまさら…」ということではありますが、対策としては「創業融資で借りられるだけ借りておく」ことです。
つまり、創業融資を受けてから半年くらいは、また融資が必要になる事態を避けられるくらいまで、できるだけおカネを借りておく、ということになります。
この点、開業時には「できるだけおカネを借りたくない、できるだけ自己資金で軌道にのせたい」と考える人が少なくありません。ですが、借りるのが不十分であったがために、またすぐに融資を受けるというわけにはいかないことは前述したとおりです。
なので、創業融資は借りられるだけ借りておく。結局は使わずにおカネが余ったら、そのときは返してしまえばよいのです。この発想を忘れないようにしましょう。
売上増加が理由である
はじめの創業融資から、半年もあいだがあいていない場合でも、次の融資が受けられるケースがあります。それは、融資を必要とする理由が「売上増加」の場合です。
そもそも、売上が増えるとおカネが必要になることを理解しておきましょう。売上が増えると、掛売りをしている場合には売掛金が増えて、在庫も増えるものです。
売掛金も在庫も、おカネを減らす作用があります。売掛金は、回収するまでおカネにならず。在庫も販売しなければおカネにはなりません。いっぽいで、仕入や人件費などのおカネは出ていきます。
ゆえに、売上が増えていく過程(とくに、急激な売上増加時)においては、おカネが不足するものなのです。売上が増えているのだから、おカネもあるだろうと勘違いをしないように気をつけましょう。
それはそれとして、売上増加にともなう融資に対して、銀行は基本的に「ポジティブ」です。言うまでもなく、売上増加という状況が「ポジティブ」だからですね。
したがって、前回の融資からあいだがあまりあいていないケースでも、比較的、融資が受けやすいと言えます。
実際に、融資の依頼をするときには、試算表や資金繰り表、売上増加の証拠資料(受注リスト、販売履歴など)をそろえて、銀行に提示できるようにしましょう。
銀行は、審査しやすくなりますから、より融資が受けやすくなるはずです。
売上入金がある銀行で借りる
加えて、もうひとつ。売上入金の口座がある銀行に融資を申し込む、ということも覚えておきましょう。
繰り返しになりますが、そもそも、前回融資を受けてからすぐに融資を受けるのは難しいものがあります。なんども頻繁におカネを借りなければならない状況が、銀行は不安なのです。
ところが、融資を受けようとする銀行の口座に、相応の売上入金があるとしたらどうでしょう。つまり、定期的に一定額の売上入金があるようなケースです。
売上入金は、銀行にとっては「返済原資」と考えられますから、1つの安心材料になります。ここでおカネを貸しても、売上入金があれば、返済をしてもらうことができるはずだ、ということです。
これに対して、売上入金がない銀行に融資を申し込むとどうなるか? 当然、銀行は返済してもらえないかもしれない不安があるので、融資はしづらいものです。
ちなみに、売上入金の口座を都市銀行にしていると、融資が受けづらくなることがあります。ひとことで言えば、都市銀行は「大企業向けの銀行だから」です。
中小企業にも融資をしないわけではありませんが、地方銀行や信用金庫などに比べると敷居は高く、融資判断もシビアという特徴があります。業績が悪いときは、とくにシビアです。
なので、創業後、おもったよりも業績が伸びずにおカネが足りない… という状況では、都市銀行から融資を受けるのは、いっそう難しいものがあるでしょう。
この点もふまえて、売上入金の口座は、中小企業にも親身な地方銀行や信用金庫にしておくと、いざというときにも融資を受けられる可能性が高まります。
まとめ
開業するにあたり、銀行から創業融資を受けたあと、しばらくしてまたすぐに、融資が必要になってしまった。となると、基本的には融資は受けにくいものがあります。
それでも比較的、融資が受けやすいといえるケースを本記事ではとりあげました。とはいえ、本来は、またすぐに融資を受けることがないように、はじめの創業融資で「借りられるだけ借りておく」ことが重要になります。
できるだけ借りずに開業しよう、と考えがちなものなので注意が必要です。
- 半年くらいあいている
- 売上増加が理由である
- 売上入金がある銀行で借りる