ダイニチ工業さんの MR-F60Aをレビューします。結論、現時点での「家庭用コーヒー豆焙煎機の決定版」です。良いところだけではなく、イマイチなところもまとめてみました。
手焙煎は正直メンドー
こんにちは、コーヒー好き税理士のモロトメジョーです。きょうは、スゴいものをご紹介します。ずばり、ダイニチ工業さんの家庭用コーヒー豆焙煎機「MR-F60A」です↓
実はわたし、コーヒー好きが高じて、自家焙煎をしていたのですが、なにぶん手動の手焙煎ということで、正直メンドーでおっくうになっているところがありました↓
でもさぁ、じぶん好みの焙煎度で、いつでも新鮮なコーヒーを飲みたいじゃない? そうじゃない? そうだよな! というわけで、ずーっと長いこと自動の焙煎機を探していたのですね。ところが、なかなか「これだ」というモノはなく…
そして、とうとう見つかりました。それが、MR-F60Aです。キミに決めた! とおもったのも束の間、モタモタとしているあいだに、発売早々に売り切れ… 初動の遅れは命取りであることを学んだのです(←大げさ)。
で、約2週間ほど待ち、再販でようやく入手した MR-F60Aを1週間ほど使ってみて、ようやく、いまここにレビューを投稿する運びとなりました。いいから早くレビューしろ?
ですよね。ということで、はじめていきましょう!
家庭用コーヒー豆焙煎機 MR-F60Aをレビュー
MR-F60Aの良いところ
まずは、MR-F60Aの良いところからいってみましょう。
全自動でおまかせできる
冒頭でもふれたとおり、MR-F60Aなら、コーヒー豆を自動で焙煎できます。はっきり言って、「全自動」です。生豆を投入して、ボタンを数回押したらおしまい。
あとは、ほったらかしで大丈夫なので、そのあいだの時間が「自由だーーっ!」というのは、手焙煎(手網や鍋などを使って煎る)と比べたときには大きなメリットです。
いやいや、豆が煎られていく姿を見たいのだ。という方も、心配ないさーー。MR-F60Aの天面には大きなガラス窓が付いていますから、豆が煎られていく姿を存分に楽しむこともできます↓
なお、焙煎にかかる時間は約 25分です。焙煎度や気温、生豆の状態によって変化するものとおもわれます。でも、おおむね 25分であることは、いろいろなパターンで焙煎してみて確認済みです。
なお、約25分のうち、前半 15分は「焙煎」の時間、後半 10分が「冷却」の時間になります。そう、MR-F60Aは煎られた豆を冷やすところまでやってくれるのです。できる子やわー。
手焙煎の場合には、さんざ手網や鍋を振ったあとに、うちわでせっせとあおいで冷ましたり…で、なかなかの重労働となります。全自動サイコー。そして、ヒトはどんどん退化していくのです。
というハナシは置いといて。次、いってみよう!
5段階の焙煎度を選べる
MR-F60Aは、5段階の焙煎度を選ぶことができます。手焙煎でやろうとおもうと、経験も必要ですし、そのときどきでバラツキ(「煎りすぎたー!」みたいな)だってあるものです。
そのあたり、MR-F60Aならばボタンひとつで、バラツキもほとんどないといってよいでしょう。少なくとも、「目に見えておかしい」などということはありませんので。
で、焙煎度の設定は、MR-F60Aの「操作部」でおこないます。操作といっても、「電源ボタンを押す→焙煎度1〜5から選択する→STARTボタンを押す」という超絶シンプルさです↓
ちなみに、ボタン操作時の音は「ピッ」というおなじみの電子音。できあがりのときには、「ピーピー」とブザー音がなります。個人的には「コーヒールンバ」のメロディ音なんかを流してくれたらなお最高です。
という、僕個人の趣味嗜好はさておき、5段階の焙煎度それぞれの仕上がり具合を確認してみましょう。条件をそろえるために、すべて「コロンビア スプレモ」を使用しています↓
画像だとわかりづらいところがあるかもですが、5段階それぞれにしっかりと「差」がついています。その証として、焙煎後の「重さ」には段階ごとの差が明瞭です(焙煎前は 60g)↓
焙煎度 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
焙煎後の重さ | 52.5g | 51.6g | 50.5g | 49.5g | 47.8g |
ロースト区分 | ライト | シナモン | ミディアム | ハイ | シティ |
というように、焙煎が深いほど(焙煎度が高いほど)、水分が飛んで軽くなっていることがわかりますね。MR-F60Aは、このあたりの焙煎度をしっかりコントロールしてくれるようです。
煎り具合のムラが少ない
MR-F60A をはじめて使ったときに、まず驚いたのが「煎りムラ」の少なさです。手焙煎だと、どうしても豆ごとにムラが出てしまうんですよねぇ。MR-F60Aには、それがない↓
ダイニチ工業さんの公式WEBサイトによれば、ムラが少ない理由は「Wセンサー熱風式」にあるようです。Wが付くと、とても強そうだ。厨二心をくすぐってくれるんだぜー。
という、僕の性癖はともかく。「Wセンサー熱風式」について、もうちょっと補足をしておくことにしましょう。ダイニチ工業さんによれば↓
焙煎釜の熱風の通り道に2つのセンサーを搭載をしました。上流のセンサーで釜に入る熱風の温度を検知し、下流のセンサーで釜の中の豆の温度をとらえ熱風温度や焙煎時間を調整するので、常に安定した焙煎が可能です。
ダイニチ工業 WEBサイトより引用
1つのセンサーだけだと、焙煎釜内に生じる温度差をはかりきれない。そこを2つのセンサーで補おうというわけですね。すばらしい。
そうそう、「外側だけ焼けて、内側が生焼け」みたいな状態はいけませんので。Wセンサーでしっかりと温度管理をするというのは、とても有効な方法だとわかりますね。
このあたりの技術は、ダイニチ工業さんならでは(詳しくは後述)、といったところでしょう。
後片付けがラクちん
焙煎のときは自動だから良いけど、そのあとがタイヘンなんじゃないの? と、疑っているあなた。そんなことはありません、MR-F60Aは後片付けもラクちんです。
コーヒー豆焙煎でなにがタイヘンかといえば、「チャフ(燃えた薄皮)の片付け」でしょう。手網や鍋を使って、キッチンコンロで焙煎をしていたらチャフだらけ。奥さんから焙煎禁止令が出た… というハナシは珍しくありません。
ちなみに、わたしが手焙煎で使っている「煎り上手」は、焙煎中のチャフ問題をほぼほぼ解消してくれます。が、焙煎後にチャフを取り除く作業(うちわで跳ね飛ばす)は必要なので、まぁタイヘンです。
この点、MR-F60Aの場合には、チャフコンテナと呼ばれる場所に、すべてのチャフが集まります。もちろん、焙煎中に飛び出てくるようなこともありません↓
焙煎がおわったら、そのままゴミ箱にポイっ。MR-F60Aには、「お手入れブラシ」が付いているので、それを使ってチャフを「掃き掃除」すればOKです。30秒もあればじゅうぶんでしょう。
ただし、なんども焙煎していると「油分」が溜まってきますから、「5回に1回」くらいの頻度で、「洗浄」または「浸け置き洗い」が推奨されています。
僕個人は、もう少し低い頻度でもだいじょうぶそうかなぁ、とおもって見ていますが。そこは、自己責任で。
信頼できるメーカー製
MR-F60Aをつくっているのは、ダイニチ工業さんです。といって、ピンときますでしょうか。もしかすると、ダイニチ工業さんの製品をすでにお持ちかもしれません。
有名なのは、暖房器具(石油ファンヒーターとか)や加湿器など。はい、もうわかりましたよね。ダイニチ工業さんは、いうなれば「熱」や「風」のプロ集団なのです。
MR-F60Aは前述したとおり「熱風式」であり、ダイニチ工業さんが得意な分野であることがわかります。一見すると、暖房器具や加湿器のメーカーが、コーヒー焙煎機なんてヘン… とおもわれるかもですが、けしてそんなことはないわけです。
そもそも、ダイニチ工業さんは、これまでにも「カフェプロ」という焙煎機をラインナップしています。ただ、カフェプロは「直火式」でありコスト高、容量も大きくて家庭用としては身に余る…
そこで、より多くの人が家庭で自家焙煎を楽しめるように、と開発されたのが MR-F60Aなのですね。いちどは販売開始を延期するほど、妥協なく仕上げられた MR-F60Aには、ダイニチ工業さんの気概を感じずにはいられません。
さらに言うと、ダイニチ工業さんは「生豆」まで販売しています。コーヒー愛のかたまり。
MR-F60Aのイマイチなところ
続いて、MR-F60Aのイマイチなところも、正直にお話ししてみます。
いちどに60gしかつくれない
MR-F60Aが、いちどに焙煎できる量は 60gです。といっても、これは焙煎前の重さであり、焙煎後にはそれよりも軽くなります。焙煎度ごとの重さは、前述したとおりです。
仮に、焙煎後の重さが 50gだとして、コーヒー1杯淹れるのに 10gを使うのだとすれば、5杯分ということになります。1回 25分の焙煎で、5杯分しかつくれないのかぁ… という見方もあるでしょう。
わたしも、そうおもいます。ですが、それ以上の容量となると、購入予算を上げるか、多少の煎りムラを覚悟することになる。というのが、わたしの見立てです。
つまり、MR-F60Aと同じくらいの価格帯で、これだけの品質で仕上げる自動焙煎機はほかにないだろう、ということになります。なので、60gという容量については、僕は目をつぶりました。
なお、生豆 60gの分量をはかるための「計量カップ」は付属しています。このカップに、すり切り1杯で 60gらしいです。僕は、几帳面にスケールで計量していますけど↓
やはり、そこそこうるさい
繰り返しになりますが、MR-F60Aは「熱風式」です。言うなれば、ドライヤーで焙煎しているようなもの。なので、音はそこそこうるさいです。
ダイニチ工業さんの公表値によれば、MR-F60Aの運転音は「55db〜60db」。これは、「日常の生活音の範囲」ということではありますが、実際には、やはりうるさいですね。ドライヤーがつけっぱなしになっているイメージ。
あと、気をつけたいのは「熱」でしょうか。焙煎時には、MR-F60Aの上や横に向かって、熱風が出ます。凄まじい風量というわけではありませんが、近くにモノを置いたりするのは危険です。
なので、焙煎をするときには、そこそこスペースのある場所に MR-F60Aを設置する必要があります。
ニオイはけっこう広がる
音とあわせて気になるのが、ニオイ。焙煎時には当然、ニオイが発生します。手焙煎を経験している人であればわかるでしょうが、はじめは青臭く、さいごは香ばしいニオイです。
まぁ、これを「すてきなコーヒーの香り」と受け止められるのであれば、問題はありません。そもそも、コーヒーが好きだから焙煎機を買うのでしょうから、本人はだいじょうぶなはずです。
でも、家族はどうかわかりませんよね。焙煎中、ニオイはけっこう家中に広がりますし、焙煎後もしばらくは残ります。僕は、キッチンの換気扇のそばに MR-F60Aを置いていますが「それでも」です。
そのあたり、手焙煎の経験もなく、焙煎はまったくのはじめてだという人は気をつけたほうがよいでしょう。
なお、焙煎中の煙は、僕の見る限り「ほぼゼロ」です(説明書には「わずかに煙が出ることがあります」との記述あり)。これは、ありがたい。キッチンコンロの火で手焙煎をしていると、どうしても煙がけっこう出るのですよね。
ヘタをすると火災報知器が鳴り出すレベルなので、それがないのは、MR-F60Aのメリットだと言えるでしょう。
ややデカい、やや重い
MR-F60Aは、デカいポット的な大きさです。高さが 28cm、幅 24cmあります。あるていどデカいことはわかっていましたが、実際に見たときに「デカっ!」とあらためて驚きました。
ちょっと置いておくには、存在感がありすぎます(笑)これでも、いちどに焙煎できる容量は 60gだけ… というのは、これまた驚きではありますが。
加えて、重いです。約 2.3kgあります。焙煎後は、豆を取り出すときに、持ち手をつかんで片手で持ち上げる必要があるわけですが、そのときはちょっとツラい… そういう重さです。
手焙煎機よりもコスト高
さいごに、MR-F60Aのお値段について。消費税込み、34,760円です。手焙煎をするための手網や鍋なんかと比べると、だいぶお高いので悩んでしまうところではないでしょうか。
僕は、悩みました。でも、手焙煎はやっぱりタイヘンなんですね。どうしても、おっくうになります。それに比べると、MR-F60Aはお手軽すぎる。いちど使ったら、手焙煎には戻れない。
そういうお手軽さがあります。その分の価値があるお値段だ、とおもえるかどうかでしょう。
自動焙煎機としては、もう少し安い価格帯のモノもありますが。僕が調べた限りでは、煎りムラが多かったり、焙煎度に制限があったりと、決め手に欠けるモノばかりでした。そのうえで、少々値段が高くても MR-F60Aに決めた経緯があります。
なお、ランニングコストとしての電気代はどうなんだ?と、おもわれるかもしれませんが。消費電力の公表値 1300wをもとに、1回 25分稼働するとしたときの電気代は 15円〜20円前後になるものとおもわれます。
ただ、焙煎されたコーヒー豆よりも、生豆のほうがだいぶ低価格ですから、そこで浮いたおカネで電気代くらいはじゅうぶんに吸収できるはずです。
まとめ
ダイニチ工業さんの MR-F60Aをレビューしました。良いところだけではなく、イマイチな点もありますが。総合的に見て、現時点での「家庭用コーヒー豆焙煎機の決定版」としておすすめです。
つまり、イマイチなところを良いところが大きく上回っている! ということになります。いまは、「ダイニチ Web Shop」のみで販売されているようです。ご興味あれば、ぜひ。