会社経営における悪循環のはじまりは、業績悪化にあるのではないか? というのであれば、それはちょっと違うんじゃないの? という私見についてお話をしていきます。
それはちょっと違う、という私見。
会社経営において、「悪循環」のはじまりはどこにあるのか? そもそも、ここで言う「悪循環」とは。こんなイメージです↓
業績悪化 → 資金繰り悪化 → 銀行の評価悪化 → さらに資金繰り悪化 → 打ち手が限定される → 業績悪化 → 以下、繰り返し…
社長であれば、上記のような悪循環は避けたいものでしょう。じゃあ、どうするか? 悪循環のはじまりを封じればよい! ということになるわけですが。
では、悪循環のはじまりはどこにあるのか? というのが、冒頭の問いになります。この点で、さきほどのイメージを見る限り、「業績悪化がはじまりなのでは…?」とおもわれるかもしれません。
つまり、「業績悪化を避けることができれば、悪循環に陥ることはない」という考え方です。しかし、「それはちょっと違うんじゃないかなぁ」という私見について、このあとお話をしてみます。
そもそも業績悪化はなぜ起きるのか?
悪循環のはじまりは、業績悪化ではない。という私見を述べましたが、では、何がはじまりだというのか? 結論、「資金繰り悪化」です。
極端をいえば、業績が悪化したとしても、資金が潤沢であれば悪循環を止めることができます。いっぽうで、業績がそこまで悪くなくても(あるいは好調であったとしても)、資金が不足すれば悪循環を待つまでもなく、会社はつぶれてしまう… ということはあるわけです(黒字倒産とか)。
だとすれば、悪循環の起点は「資金繰り悪化」、もしくは「もともとの資金不足」なんじゃないの? というのが、わたしの考えになります。言い換えると、「資金を用意しておくことが、悪循環の抑止力になる」ということです。
別の見方をすれば、業績悪化というのは、確率的に避けられないものでもあります。事業は山あり谷ありですから、長く事業を続けていれば、おもわぬ業績悪化もあるでしょう。たとえば、新型コロナや大震災など。
それでも、日ごろから資金をたくわえていれば、「業績悪化 → 資金繰り悪化」という流れを遅らせることができます。遅らせているうちに、業績回復・業績改善をはかることができるかもしれません。
また、遅らせるばかりではなく、おカネがあれば「打ち手」の選択肢も増えます。新型コロナにあっては、「事業転換」が業績改善のカギになりましたが、事業転換にもおカネがかかるわけで。
この点、日ごろから資金をたくわえていた会社は、すぐにでも事業転換に取り組むことができますが、資金がない会社はあきらめるか、あらためて資金調達しなければなりません。
「資金調達=銀行融資」だとすれば、調達できるかどうかは銀行しだいです。融資を断られることもあれば、融資を受けられるとしても時間がかかることもあります(審査待ち、とか)。
その結果、「資金繰り悪化」を起こして、悪循環に巻き込まれてしまう… かもしれません。ゆえに、日ごろから(いざとなる前から)、できるだけの資金を備えておくのがおすすめです。
そもそも資金がじゅうぶんにあれば、社長は資金繰りの心配をせずに「経営に集中」できます。これは、そもそも業績悪化が起きにくい環境だとも言えるでしょう。
ではなぜ、資金繰り悪化が起きるのか?
資金繰り悪化が、悪循環のはじまりだと言いました。ではなぜ、資金繰り悪化が起きるのでしょうか? 業績が悪化したから、というのは原因の1つに挙げられます。
とはいえ、業績悪化が確率的には避けられないものであることは、すでにお話をしたとおりです。業績悪化が避けられないものであるにもかかわらず、悪循環に陥らない会社はあります。
だとすれば、ほかにもまだ、資金繰り悪化が起きる原因があるはずです。結論、その原因は「資金調達の遅れ」にあります。
本当は、資金調達できるチカラがあるのにもかかわらず、あるいは、資金調達できるタイミングがあるのにもかかわらず、資金調達をしていない。そのうえで、おカネが足りなくなってから慌てて銀行に駆け込むような社長がいます。これが、「資金調達の遅れ」です。
それでも、融資を受けられればよいのですが、銀行に駆け込むような会社には資金調達のチカラはないことが多く(あっても、極わずか)、資金調達のタイミングとしては最悪だと言えます。
じゃあ、どうすればよいのか? 言うまでもありません。資金調達のチカラがあるうちに、銀行融資を受けておく。資金調達のタイミングがよいときに、融資を受けておくことです。
具体的には…
- 創業融資を受ける → 創業時しか受けられません
- 売上増加時に融資を受ける → 売上が減少してからでは難しい…
- 黒字が出ているときに融資を受ける → 赤字になってからでは難しい…
- 設備投資をするときに融資を受ける → あとからでは受けられません
- 銀行からの融資セールスを受ける → あとからでは受けられません
こういった融資を受けずにいると、のちのち資金が不足する可能性が高まります。融資を受けられるチカラがあるうちに、タイミングを逃さないことが大切です。
資金不足こそが、悪循環のはじまりであり、できるだけ資金を備えておくことが悪循環の予防策になることを理解しておきましょう。理解ができたら実践(いまのうちに融資を受ける)です。
まとめ
会社経営における悪循環のはじまりは、業績悪化にあるのではないか? というのであれば、それはちょっと違うんじゃないの? という私見についてお話をしてきました。
業績悪化の原因が、社長の経営にあるのだとすれば(あるでしょう)、経営に集中できる環境が必要になります。その環境を確保するためには、おカネが必要なのであり、そのためには資金調達が最優先であり、起点になるものと考えますがいかがでしょうか。