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脱コロナで重要度が上がる銀行対応3選

脱コロナで重要度が上がる銀行対応3選

コロナで変化したことの一例として、銀行対応が挙げられます。融資を受けている会社の社長は、脱コロナのいま、重要度が上がった銀行対応があることを理解しておきましょう。

目次

コロナで変化した、銀行対応の重要度。

きょうは、2023年6月9日。日本はいま、「脱コロナに向けて舵を切った」と言ってよいでしょう。つまり、少し前のコロナ禍とは、状況が変化しつつあります。

その変化の一例に挙げられるのが、社長の銀行対応です。コロナ禍においては、重要度が低かった銀行対応のなかには、コロナを経て重要度が上がった銀行対応があります。

おもなところでは3つ、次のとおりです↓

脱コロナで重要度が上がる銀行対応3選
  1. 接点を増やす
  2. 現場・現物を見せる
  3. 繰り上げ返済で交渉する

これらの対応が遅れたり、できなかったりすると、のちのち融資が受けづらくなることが考えられます。いまのうちに、それぞれの対応のポイントを押さえて、実行に移していきましょう。

脱コロナで重要度が上がる銀行対応3選

接点を増やす

コロナ禍においては、「ヒトとヒトとの接触をできるだけ避けましょう」という考え方が浸透しました。そのため、コロナ以前に比べると、銀行員との接点が減った会社が多いことでしょう。

脱コロナを迎え、接点は少しずつ増えているようですが、いっこうに増えていない(全然、銀行員が来ない…)というハナシも見聞きします。

この点、銀行業界の効率化・合理化の流れもあり、銀行員による訪問活動自体が減っている影響もあるとはいえ、フェイス・トゥ・フェイス(対面)の接点が銀行対応では重要です。

理想は毎月1回、話ができることではありますが、少なくとも四半期にいちどは、会って話ができる機会を持ちましょう。そのためには、「会う理由づくり」も必要です。

たとえば、「試算表と資金繰り表ができましたので、取りに来てもらえますか?」とか。逆に、社長のほうから銀行へ訪問するのもよいでしょう。忙しい銀行員としては、助かるはずです。

ちなみに、試算表や資金繰り表は、銀行が融資先の管理をするうえで重要な情報にあたります。あわせて、現状の課題や問題、取り組み、今期の決算見込みなどを会話として伝える、ということであれば、会うことを嫌がる銀行はないでしょう。

もし嫌がるとしたら、現時点で相当に嫌われている(これ以上は融資をしたくない、とおもわれている)か、将来性がない銀行(担保・保証ありきで、融資先の事業を評価できない)かのどちらかです。

繰り返しになりますが、銀行との接点を増やしていきましょう。ヒトとヒトとの接触が回復しているいまこそ、社長が採るべき銀行対応です。接点が少ない会社との差別化にもなります。

社長には、社長たる「迫力(≒ 説得力)」があるものです。その迫力は、オンラインや書面だけでは活かしづらく、対面によって最大限に活かすことができる、と考えておきましょう。

現場・現物を見せる

試算表と資金繰り表を取りに来てもらう、と前述しました。これにより、社長が採るべき銀行対応がもう1つあります。それは、「現場・現物」を見せることです。

現場とは、店舗や事務所、工場、倉庫など。現物とは、自社の商品やサービスです。百聞は一見にしかずの言葉もあるとおり、聞くのと見るのとでは銀行員の理解に「差」が出ます。

現場や商品のことなら、いつも話をしているよ。と、おもわれるかもしれませんが、言葉だけでは伝わらない・伝わりにくい部分はあるものです。でも、接触を避けてきたコロナ禍では、それがなかなかできない… ということがありました。

脱コロナのいまであれば、できるはずです。銀行員が来たときには、少しずつ現場を案内してみたり、実際に商品を手にとってもらったり、サービスを体験してもらったり。

銀行員が、融資の稟議書を書くにあたって、融資先の「事業内容や将来性」に関する情報はとても重要です。この点で、現場・現物を見た銀行員と、現物・現物のハナシを聞いただけの銀行員とでは、稟議書の説得力がまるで違うのだと聞きます(ある銀行の元支店長談)。

そういう意味では、「現場・現物を見せる」ことが、「会う理由」にもなるでしょう。つまり、「工場を見学に来ませんか?」とか、「新商品ができたので見てもらえませんか?」などと伝えて、銀行員の来訪をうながすわけです。

また、現場・現物を見せることで、銀行員から「融資以外の支援」を受けられるケースもあります。銀行が、融資先の課題や問題を共有できれば、具体的な解決方法をアドバイスしたり、専門家や取引先の紹介をしやすくなるからです。

銀行はいま、融資以外の支援にもチカラを入れていることを覚えておきましょう。その支援を受けるには、社長が銀行に対して積極的に情報提供・情報開示することが大切です。

繰り上げ返済で交渉する

コロナ禍で、ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)を借りた、という会社も多いことでしょう。その返済が本格化(据置期間が終了)するなかで、返済に不安を抱える会社が多いことは問題にもなっています。

が、そのいっぽうで、おもったほどコロナの悪影響はなく、借りたおカネは使わずに残っている会社も少なくありません。すると社長は、繰り上げ返済を考えます。

ゼロゼロ融資は実質無利子の期間(3年)がおわると、利息の支払いがはじまるので、おカネを余らせて利息を払うなんてもったいない! というわけです。

たしかに、それも1つの考え方でしょう。ですが、いつまたコロナのような未曾有の事態になるかはわからず、そのときにおカネが借りられるかもわかりません。

また、近い将来、新規事業や事業再構築といったポジティブな取り組みをするときには、おカネが必要になるものです。そのときに、融資が受けられるかはやはりわからず、受けられたとしても融資条件が悪い(信用保証料が高い、とか)ということも考えられます。

だったら、繰り上げ返済しないで借りたままにしておくのもいいのでは? というのが、私見です。

それでもなお、利息がもったいないというのであれば。無利子期間後の金利引き下げを、銀行に交渉するのは1つの方法です。「利息がもったいないので、繰り上げ返済も検討している」と伝えることで、融資残高が減るのを避けたい銀行が、金利引き下げを提案してくれるケースがあります。

ただし、そもそも低金利の時代ですから、引き下げをあまりあおるようだと、銀行が嫌気してしまい、関係性が悪くなる可能性もあるので気をつけましょう。金利交渉はほどほどに、です。

なので、金利ではなく「プロパー融資」を交渉する方法もあります。つまり、「ゼロゼロ融資を繰り上げ返済する代わりに、プロパー融資を提案してもらえないか?」と、銀行に伝えることです。

銀行にとって、プロパー融資はゼロゼロ融資よりもリスクがあるため、あまり好ましいものでもありませんが、融資残高が減るよりはマシ… という考え方もあります。

さらには、自行の融資商品のなかに、積極的推進(ノルマ)が求められているものがあれば(最近のトレンドだと、SDGs関連)、それに切り替えるのも悪くない… というケースもあるでしょう。

いずれにせよ、会社にとってプロパー融資は、中長期的な資金繰りを見たときにはプラスです。ただただ繰り上げ返済をするのではなく、プロパー融資を引き出すことも検討してみましょう。

まとめ

コロナで変化したことの一例として、銀行対応が挙げられます。融資を受けている会社の社長は、脱コロナのいま、重要度が上がった銀行対応があることを理解しておきましょう。

その対応が遅れたり、できなかったりすると、のちのち融資が受けづらくなることが考えられます。いまのうちに、それぞれの対応のポイントを押さえて、実行に移していくことが大切です。

    脱コロナで重要度が上がる銀行対応3選
    1. 接点を増やす
    2. 現場・現物を見せる
    3. 繰り上げ返済で交渉する
脱コロナで重要度が上がる銀行対応3選

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