週刊/税理士ジョーの銀行融資マガジン 購読受付中

連続赤字になったときの銀行対応のポイント

連続赤字になったときの銀行対応のポイント

銀行は、融資先の赤字を嫌います。連続赤字となれば、なおのことです。それでも連続赤字になってしまった場合にはどうするか? 会社がとるべき銀行対応のポイントをまとめます。

目次

連続赤字がよくないのは自明

会社が銀行から融資を受けるにあたって、「決算書が赤字」がよくないことはご存知のとおりでしょう。であれば、連続赤字(前回の決算書も今回の決算書も赤字…)がよくないことは自明です。

事実、2期連続赤字となると、融資は受けにくくなるものであり、3期連続赤字となると、とても融資が受けにくくなります。とはいえ、連続赤字になってしまったときにはどうすればよいか?

2期連続赤字を前提に、銀行対応のポイントをまとめることにします。ここで言う「銀行対応」とは、連続赤字の決算書を銀行に提出する際、どのような説明をすべきか? ということです。

具体的には、次のとおりになります↓

連続赤字になったときの銀行対応のポイント
  • 赤字は減少傾向か
  • 支出にムダはないか
  • 資金繰りはもつのか

それではこのあと、順番に確認していきましょう。

連続赤字になったときの銀行対応のポイント

赤字は減少傾向か

連続赤字といっても、「赤字の状況」はいろいろあります。この点で、連続赤字とはいっても、前向きに見てもらいやすいのが「赤字が減少傾向」にあるときです。

つまり、前回も赤字、今回も赤字ではあるけれど、赤字の額は徐々に小さくなっている、というケースになります。であれば、「もうすぐ、黒字も見えています」といった説明もできるでしょう。

説明をするときの資料として、24ヶ月分(前回決算〜今回決算)の損益推移(毎月の売上・費用・利益が記載されたもの)を用意するのがおすすめです。

損益推移は、会計ソフトから印刷できますので(帳票の名称は「推移表」「月次推移」など、会計ソフトによって異なります)、難しいことはありません。

なお、赤字とは「利益がマイナス」を意味しますが、とくに注目すべき利益は「営業利益」です。営業利益とは「本業のもうけ」をあらわす利益であり、黒字であるほど望ましいことになります。

ですから、損益推移を見たときに、営業利益の赤字額が減少傾向にあるかどうかがポイントです。

営業利益より後の「営業外費用」や「特別損失」によって赤字額が膨らんでいる場合には、営業利益の赤字ほどには問題になりません。あわせて覚えておくとよいでしょう。

では、赤字が減少傾向にはない場合、つまり、赤字が増加傾向にある場合にはどうしたらよいのか? 利益改善の取り組みを織り込んだ計画書を策定して、銀行に説明できるようにしましょう。

場合によっては(現状の赤字額が大きい、利益改善に時間がかかるなど)、新規融資は受けられないので、リスケジュール(返済猶予)を相談することになります。

支出にムダはないか

赤字になると、ふだん(黒字のとき)は何も言われなかったことについても、銀行から言われることが増えるものです。たとえば、いろいろな経費のなかみについて。

要は、「ムダ使いしているから赤字になっているのではないか?」との見方をされる、ということです。見られがちなところでは、役員報酬や交際費、広告費、交通費あたりでしょう。

役員報酬が高くて赤字となれば、「なぜ、この社長は役員報酬を下げないのか(赤字の責任を取ろうとしないのか)?」と、銀行は考えます。融資を躊躇する原因にもなるでしょう。

また、交際費には「冗費」のイメージがあるため、黒字のときはともかく、赤字になると「削減しているかどうか」という目で見られます。

もちろん、交際費の必要性を伝えるのも1つの方法ですが、世の中にある「冗費」のイメージをどこまでくつがえせるかは疑問です。赤字のときには、交際費削減がセオリーであることは理解しておきましょう。

広告費や交通費は、「コスト対効果」を問われるところです。効果がともなわない(売上や利益が増えない)のであれば、それってムダな支出ですよね? と見られてもしかたありません。

ことほどさように、赤字になれば、銀行の経費に対する見方は厳しくなります。そのうえで、経費の額が、さっぱり減っていないようなことがあると、融資が受けにくくなるでしょう。

以上をふまえて、連続赤字のときには、経費削減の取り組みや、その効果についても銀行に説明することが大切です。

資金繰りはもつのか

赤字の会社が、なぜ融資が受けにくくなるのかといえば。赤字によって、おカネが減っていくからです。おカネが減れば、借りたおカネを返済できなくなってしまいます。銀行は困るわけです。

なので、赤字の会社が、それでも融資を受けたいのであれば、「資金繰りはもつ」ことを示す必要があります。具体的には、資金繰り予定表を作成して、銀行に提示・説明をすることです。

最低でも、向こう1年の資金繰り予定表をつくりましょう。そこに、希望の融資額を織り込み、その分の毎月の返済額についても織り込みます。そのうえで、資金繰りがもつかどうかです。

希望の融資額を借りられたとしても、数ヶ月で資金ショートが見えているようでは、銀行も融資はできません。ですから、「すぐに資金ショートはありませんよ」という説明が重要になります。

このとき、口頭だけでは具体性や説得力に欠けるため、資金繰り予定表が欠かせません。資金繰り予定表をつくっていない・つくれない会社は少なくないようですが、これを機にあらためましょう。

資金繰り予定表のつくりかたについては、動画をつくりました。よろしければ、こちらも参考にどうぞ↓

まとめ

銀行は、融資先の赤字を嫌います。連続赤字となれば、なおのことです。それでも連続赤字になってしまった場合にはどうするか? 会社がとるべき銀行対応のポイントをまとめました。

ちなみに、連続赤字のような「融資が受けにくい局面」ではまず、メインバンクに相談をするのがセオリーです。メインバンクの協力を得られれば、他の取引銀行の協力も得やすくなります。

    連続赤字になったときの銀行対応のポイント
    • 赤字は減少傾向か
    • 支出にムダはないか
    • 資金繰りはもつのか
連続赤字になったときの銀行対応のポイント

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

良い記事があればシェア
  • URLをコピーしました!
目次