不動産投資はNG、不動産賃貸ならOKは本当か?【銀行融資】

不動産投資はNG、不動産賃貸ならOKは本当か?【銀行融資】

銀行融資について、「不動産投資はNGで、不動産賃貸はOK」というハナシがありますが。そもそも、両者の違いはどこにあるのか? にはじまり、不動産賃貸をすべきか? まで考えてみます。

目次

うまいハナシには裏があるのか?

会社が受ける銀行融資について。「不動産投資はNGで、不動産賃貸はOK」というハナシがあります。

つまり、「不動産投資をしたい」という資金使途(おカネの使いみち)は、銀行には通用しないが、「不動産賃貸をしたいので」という資金使途ならば通用する、みたいな。

このハナシは本当なのか? そもそも、不動産投資と不動産賃貸の何が違うのか? そして、会社が銀行融資を受けて不動産賃貸をするメリットとは? といったところまでを、このあと考えていきます。

結論として、安易に不動産賃貸に手を出さないように気をつけましょう。これが、ポイントです。うまいハナシには裏がある。それでは、さっそくはじめていきましょう。

不動産投資と不動産賃貸の違い

はじめに、不動産投資の目的から

そもそも論として、不動産投資と不動産賃貸、それぞれの目的を考えてみます。

まず、不動産投資の目的は「値上がり益(いわゆる、キャピタルゲイン)」です。たとえば、ビルを1棟買って、それを買った金額よりも高く売ることで利益を狙います。

買うときの金額も、売るときの金額も、市場の影響を受けるので、「上場している株」などを売買するのと同じような「しくみ」です。その市場を、見極めるのはカンタンではありません。

よって、「当たるも八卦当たらぬも八卦」の世界であり、いうなれば「バクチ」です。銀行もまた、そのように見ています。だから、株式投資や不動産投資に、融資をすることはありません。

融資の原資は、預金者からあずかったおカネです。それが「バクチで負けてなくなりました、なので、預金の引出はできません」というのでは、銀行は世間に顔向けができなくなってしまいます。

続いて、不動産賃貸の目的も

いっぽう、不動産賃貸の目的は「賃貸収入(いわゆる、インカムゲイン)」です。たとえば、ビルを1棟買って、それを誰かに貸し出すことで得られる家賃収入を狙います。

家賃収入は、値上がり益と違って「継続性」があるものです。不動産投資に比べると、「投機性が低い」ともいえるでしょう。安定的な家賃収入があれば、本業の支えにもなります。

なので、銀行融資においては、「不動産投資はNG(バクチで損をすることもあるから)、でも、不動産賃貸はOK」ということになるわけです。

また、不動産賃貸の場合には、借入の返済がおわれば、借金はなくなって資産だけが残ることになります。すると、その資産を担保に、また融資を受けることができるのもメリットだ、ともいわれるところです。

でも、本当にそうなのでしょうか?

不動産賃貸のメリットとは

前述した、不動産賃貸のメリットを、カンタンな事例で考えてみます。不動産賃貸のために、1棟1億円のビルを、全額銀行借入で購入したとして。その後、順調に返済を続けて完済するとどうなるか?

ビルの購入時は、資産(ビル)1億円、負債(銀行借入)1億円で、正味の資産はゼロだったわけですが、完済後は、資産(ビル)1億円、負債(銀行借入)ゼロで、正味の資産は1億円です。

もちろん、ビルも時間の経過とともに価値が減少しますから、1億円ではなくなっているかもしれません。とはいえ、価値がゼロになることはないでしょう。

このとき、ビルの金額を「帳簿(決算書や試算表)」で見るのではなく、時価(近隣相場)で見るのがポイントです。帳簿上は、建物分の減価償却がありますから、金額が減少していきます。

ところが、時価のほうは、減価償却の金額ほど減っていないことはあるものです。

また、立地の良さやニーズの高さがあれば、現在の時価が購入時よりも「値上がり」していることさえありえます。なにはともあれば、完済後は正味の資産が増えるわけです。

ちなみに、完済前であっても、正味の資産は増えます。たとえば、借入残高が 6,000万円まで返済が進んでいれば、資産(ビル)1億円、負債(銀行借入)6,000万円で、正味の資産は 4,000万円です。

というように、不動産賃貸ならば「正味の資産」が増えるから、その資産を担保に、また融資が受けられるようになるよね! これが、ちまたでいわれる不動産賃貸のメリットです。

不動産賃貸のメリットは本当か

ところが、です。正味の資産が増えるまでには、「過程」があります。ひとくちに不動産といってもいろいろですから、借り手があまたの不動産もあれば、そうでない不動産もあります。

また、当初は借り手あまたでも、時間が経つにつれて、借り手が減っていくこともあるでしょう。だから、借り手に選ばれ続けるように、定期的に修繕をしたり、あたらしい設備を付加したり… という必要性があるわけで。

言うまでもありませんが、そこには「能力」と「労力」をともないます。そもそも良い不動産(物件価値が高い)を選ぶという「能力」と、その良さを維持する「労力」です。

もし、能力や労力がいらないのであれば、不動産賃貸での失敗談をこれほど見聞きすることはないでしょう。耳をすませば、あちらこちらから、不動産賃貸で損をしたハナシが聴こえるはずです。これは、不動産賃貸の難しさの証左だといえます。

いまは、時代が進むスピードも速く、設備が古い不動産は家賃を下げざるをえなかったり、下げてもなお借り手がつかなかったり… じゃあ、設備を更新するか、といってもおカネがかかります。

すると、当然、当初見込んでいた利回りを下回るために、こんどは返済が困難になる… ということもありえるでしょう。労力に加えて、社長が不安をともなうのであれば、もはやデメリットです。本業にさしつかえてしまいます。

なので、不動産賃貸が「本業」である場合は別として、安易に手を出すべきものではない、というのがわたしの考えです。

不動産賃貸の銀行融資がOKだとしても、気をつけるようにしましょう。ややもすると、銀行のほうから、不動産賃貸の物件を紹介されるケースもありますが、デメリットを忘れてはいけません。

まとめ

銀行融資について、「不動産投資はNGで、不動産賃貸はOK」というハナシがありますが。そもそも、両者の違いはどこにあるのか? にはじまり、不動産賃貸をすべきか? まで考えてきました。

結論として、安易に不動産賃貸に手を出さないように気をつけましょう。うまいハナシには裏があるものです。

会社にとっては、まずは「本業」ですし、融資を受けるなら「本業」を担保に借りられるようになりましょう。そのためには、本業で利益を出すこと、本業を成長させることです。

不動産投資はNG、不動産賃貸ならOKは本当か?【銀行融資】

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