メインバンクを替えてはいけないとき・替えたほうがいいとき

メインバンクを替えてはいけないとき・替えたほうがいいとき

銀行融資を受ける会社にとって重要なメインバンク。そのメインバンクを替えてはいけないときがあり、逆に、替えたほうがいいときがあります。意外と知らずにいる社長がいるので気をつけましょう、というお話です。

目次

銀行融資の良し悪しを決めるもの

銀行融資における考え方に「メインバンク」があります。メインバンクとは、端的に言えば「借入残高が最も大きい銀行であり、 最も積極的に支援をしてくれる銀行」です。

したがって、メインバンクは「銀行融資を必要とする会社」にとって、大事な銀行だといえます。

そのメインバンクについて。替えてはいけないときがあること、逆に、替えたほうがいいときがあることはご存知でしょうか。この点、意外と知らずにいる社長が少なくありません。

なので、替えてはいけないときに、メインバンクを替えようとしてしまったり、替えたほうがいいのに替えずにいたり。結果として、その後の 銀行融資が受けにくくしているケースがあるのです。

というわけで、このあと、メインバンクを替えてはいけないとき・替えたほうがいいとき、それぞれの具体例を確認していきましょう。銀行融資の良し悪しを決める重要なポイントです。

メインバンクを替えてはいけないとき

銀行員に不満がある

たとえば、銀行担当者が異動になり、新しい担当者と合わないとか。同じように、 支店長が異動になり、新しい支店長と合わないとか。

また、銀行担当者の言動が腹に据えかねる… といったケースもあるでしょう。 いずれにせよ、銀行員に対して何らかの不満がある、ということはあるかもしれません。

結果として、その不満を理由にメインバンクを替えようとする社長がいます。ところがそれは、お勧めできる銀行対応ではありません。

なぜなら、メインバンクを替えても、その先でも同じことが起きうるからです。 なので、不満があるたびにメインバンクを替えていては、取引できる銀行がなくなってしまいます。

銀行担当者や支店長は、定期的に異動があるのですから、多少の不満はガマンして、次の異動を待つのが賢明です。

この点で、 日ごろ、複数の銀行とお付き合いをしておくことが大事になります。メインバンクの銀行員に不満があるときには、そのあいだは、他の銀行からの借入れでしのぐことができるからです。

借入金利が高いから

メインバンクから融資を受ける際、他の銀行よりも金利が高いからという理由で、メインバンクを替えようとする社長がいます。ですが、これもまたおすすめできる銀行対応ではありません。

少しでも金利が低い銀行を見つけては、メインバンクをとっかえひっかえしていると、銀行からは「落ち着きがない社長だ。長期的にお付き合いがしにくい会社だ」と見られてしまいます。

そもそも、 いま現在のメインバンクが信用金庫である場合には、地方銀行や都市銀行に比べて金利が高いのは当然です(規模が大きな金融機関ほど、融資金利は低くなります)。

もちろん、 借入金利が低いに越したことはありませんが、それよりも、安定的に資金調達できるかどうかを優先すべきです。 そのためには、自社の規模に合った銀行選びが重要になります。

目安として、年間売上高1億円未満の会社であれば、メインバンクは信用金庫。年間売上高1億円超であれば、地方銀行といった具合です(都市銀行は、年間売上高数十億円以上から)。

メインバンクを替えたほうがいいとき

事業規模が大きくなる

自社の規模に合った銀行選びが重要だ、と前述しました。その「自社の規模」は、事業の成長とともに大きくなるものでもあります。すると、現在のメインバンクとは、規模感が合わなくなることもあるわけです。

であれば、メインバンクを替えるべきだといえます。と聞いて、「長年支えてくれたメインバンクに悪い」とおもわれるかもしれませんが。実は、銀行のほうも「メインバンクを替えてほしい」と考えていたりもするものです。

融資先の規模が大きくなれば、必要とする融資の額も大きくなります。ですが、規模が小さな銀行には小さな額の融資しかできず、融資先が希望する額の融資できなくなるのは問題です。

よって、 自社の規模が大きくなるときには、それに合わせてメインバンクを替えるえるようにしましょう。新しいメインバンクと関係性を築くのにも時間がかかりますから、早めに取り掛かるのがポイントです。

なお、 旧メインバンクとは関係性を断つのではなく、サブバンクとしてお付き合いを続けていくのがよいでしょう。

銀行の方針に合わない

いまの銀行は、以前の銀行に比べると、それぞれの独自性を発揮しなければいけない状況にあります。2019年末には、金融検査マニュアルが廃止され、各銀行の独自性を金融庁も後押ししているところです。

この点で、現在のメインバンクが自社の方向性と合わない・合わなくなってきた、ということもあるでしょう。 また、支店長が変わったことで支店の方針が変わり、やっぱり合わない…ということもありえます。

結果として、融資が受けにくくなったり、融資条件が悪くなったり、融資以外の支援が受けられなかったりということになれば、会社にとっては不利益です。であれば、メインバンクを替えるべきだといってよいでしょう。

その替えどきを見逃さないように、インバンクのディスクロージャー誌を確認したり、支店長の異動や方針を確認したり(銀行担当者から聞く)、といったことが大切になります。

社長は、取引銀行に関する情報収集を怠らないようにしましょう。

そもそも間違っている

さいごに、もっと根本的なこととして。そもそも、メインバンク選びを間違えているときも、メインバンクを替えるべきときにあたります。では、メインバンク選びを間違えているとは?

まずは、自社の規模とは合わない銀行を、メインバンクだと考えているケースです。たとえば、 自社の年間売上高が数千万円なのに、都市銀行メインバンクにしようとしていたり。

この場合、自社がメインバンクだと考えていても、銀行のほうは「自行がメインバンクだ」とは考えていないものです。すると、当然、ミスマッチにより銀行融資が受けにくくなります。

また、自社の規模と銀行の規模が合っていたとしても、その銀行がリスクを取っていないケースも問題です。 極端な例では、融資のすべてが保証付きだったり、担保付きだったり。

となると、その銀行は、みずからリスクをまったくとっていないことになります。そのような銀行が、会社がいざというときに、わざわざ支援してくれることはありません。それでは、メインバンクとは呼べないでしょう。

にもかかわらず、社長のほうはメインバンクだと勘違いをしているケースがありますので、注意しなければいけません。

まとめ

銀行融資を受ける会社にとって重要なメインバンク。そのメインバンクを替えてはいけないときがあり、逆に、替えたほうがいいときがあります。

知らずにいると、銀行融資を受けにくくしてしまうところです。「銀行融資を必要とする会社(ほとんどの中小企業がそうですが)」の社長は、しっかりと押さえておきましょう。

メインバンクを替えてはいけないとき・替えたほうがいいとき

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