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銀行融資を受けるなら「時間」を大事に

銀行融資を受けるなら「時間」を大事に

銀行融資を受けるにあたって、大事な要素の1つに「時間」が挙げられます。とはいえ、ここで言う「時間」とは具体的にどういうことなのか?なおざりにしていると、融資が受けにくくなってしまいます。

目次

利益も大事だが、時間も大事。

会社が銀行融資を受けるにあたって、大事なことはいろいろあります。たとえば、利益です。借りたおカネの返済原資は利益であり、だとすれば、利益は多ければ多いほどよい、みたいな。

では、ほかに大事なものを挙げるとすれば…意外となおざりにされているが、「時間」です。と聞いて、「いったい、どういうこと?」とおもわれるのであれば、このあとの話を確認しておきましょう。

おもなところでは、次のような「時間」が、銀行融資の受けやすさに影響します↓

銀行融資の受けやすさに影響する時間
  • 社長の年齢
  • 預金の残高
  • 融資の依頼時期

これらについて、順番に解説をしていきます。

銀行融資の受けやすさに影響する時間

社長の年齢

社長が60代くらいになると、銀行は「後継者」について気にするものです。後継者がいるのかどうか?それは誰なのか?いつまでに引き継げるのか?後継者がいないなら、どうするのか?

実際に、質問をされることもあるでしょう。このとき、明快な回答ができないようだと、銀行は不安を感じ、以降の融資に消極的になることがあります。ではなぜ、銀行は不安になるのか?

社長が高齢になり、後継者もいなければ、会社に残された時間は少なくなるからです。時間が少なくなるということは、返済原資である利益を稼げる時間も限られる、ということになります。

だとしたら、融資に消極的になるのは当然でしょう。また、社長が高齢になるにつれて、会社の売上や利益が減少するという傾向もあります。そこも、銀行が不安に感じるところです。

なので、社長が60代くらいになると、銀行は「現社長には、後継者のことも考えてほしい」のであり、「できるだけ早く、事業を承継してほしい」と願うようになります。

では、具体的にどのような銀行対応をすればよいのか?まずは、後継者の検討をしましょう。親族か、第三者か。いずれにせよ、後継者が決まったら「事業承継計画」をつくります。

事業承継にあたっては、少なくとも3〜5年くらいの期間があるとよいでしょう。株式移転、社長教育、社内外からの信頼獲得など、やるべきことは多岐にわたります。相応の時間が必要です。

なお、後継者が見つからない場合には、会社を売却するという選択肢もあります。ただし、この場合にも「早いほどよい」のが一般的です。

繰り返しになりますが、社長が高齢になると、会社の売上や利益が減少するからです。結果、売却額(会社の価値)が下がってしまいます。

この点、売却については「早すぎるくらいがちょうどよい」と言ってもよいでしょう。売却先に心当たりがなければ、銀行に相談をしてみるのも1つの方法です。M&Aを支援する銀行もあります。

預金の残高

融資を銀行に依頼するときには、預金の残高が多いタイミングを狙いましょう。融資が受けやすくなります。ところが、預金があると融資の必要性を感じにくいことから、多くの社長がタイミングを見逃しているものです。

ではなぜ、預金の残高が多いと融資が受けやすくなるのか?預金があるほど、「時間稼ぎ」ができるからです。会社に不測の事態が起きたとしても、おカネがあればしのぐことができます。

おカネがあれば、返済を続けることもできるので、銀行としては安心を感じるわけです。逆に、預金の残高が少なければ、不測の事態にしのぐことができず、返済もできません。銀行としては、困ってしまいます。

よって、銀行は「おカネがある会社に貸したい」と考えていることを理解しておきましょう。銀行は、いざというときにも「時間稼ぎ」ができる会社(おカネがある会社)を好みます。

これに対して、社長が「おカネがないから借りたい」という考え方でいると、融資は受けにくくなるばかりです。おカネがあるときにこそ、「あえて借りておく」という考え方を持ちましょう。

では、どれくらいの預金残高があると、銀行から好まれるのか?

結論としては、平均月商(年間売上高÷12ヶ月)の2ヶ月分以上です。いっぽうで、預金残高が平均月商の1ヶ月分を割り込むようだと、銀行からは嫌われてしまいます。

そこまで預金残高が少なくなると、倒産が増えるという統計データもあるからです。だとすれば、銀行融資の受けやすさ以前に、会社を守るためにも、預金残高を増やす必要性がわかるでしょう。

融資の依頼時期

さいごに、もうひとつ。時間に関することとして、「融資の依頼時期」が挙げられます。

つまり、会社が融資(おカネ)を必要とする時期から見て、融資の依頼をする時期までにどれくらいの余裕があるか、ということです。その余裕が少ないほど、融資は受けにくくなります。

この点、「できるだけすぐに借りたい」という依頼のしかたをする社長はいるものです。

が、銀行から見れば、「どうしてもっと早く依頼をしなかったのか?」ということであり、計画性のない社長に不安を感じることにもなるでしょう。結果、融資が受けにくくなります。

だとすれば、時間的な余裕をもって、早めに融資の依頼をすることです。ベストタイミングは、毎年の決算がおわったあと、税務申告書(税務署に申告済)ができあがったとき、になります。

税務申告書を持って、銀行に決算報告へ行きましょう。決算の内容を説明したうえで、向こう1年の資金繰り予定表を提示します。そのなかで、向こう1年の資金調達予定を伝え、融資の提案を促す流れです。このあたり、詳しくは動画にまとめています↓

これができると、銀行からは「計画的な社長だ」と見られますし、融資の時期まで時間的な余裕もあることから、銀行も融資提案を検討しやすくなります。

期のはじめに、向こう1年に必要な資金調達のめどが立てば、社長自身も安心できるでしょうから、「税務申告書ができあがったとき」に融資の依頼をするのがおすすめです。

まとめ

銀行融資を受けるにあたって、大事な要素の1つに「時間」が挙げられます。とはいえ、ここで言う「時間」とは具体的にどういうことなのか?3つ、紹介をしました。

いずれも、なおざりにしていると、融資が受けにくくなってしまいます。社長は、利益ばかりではなく、時間にも目配りできるようにしましょう。

銀行融資の受けやすさに影響する時間
  • 社長の年齢
  • 預金の残高
  • 融資の依頼時期
銀行融資を受けるなら「時間」を大事に

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