短期間で複数回の融資申し込みをしていると、銀行からは嫌われます。が、実際には、ついついやらかして嫌われている会社はあるものです。そこで、嫌われる「理由」についてお話をしていきます。
半年以上は空けたいところ。
銀行からの融資を必要とする会社であれば、銀行に嫌われるのは避けたいものでしょう。では、どのような場合に、銀行から嫌われてしまうのか?
いろいろとありますが、意外と社長が理解をしておらず、ついついやらかして嫌われてしまうのが「短期間で複数回の融資申し込み」です。
つまり、前回融資を受けてから、まだあまり時間がたっていないのに、また融資を申し込む…というケースになります。逆に、どれくらい時間がたっていればよいのか?
基本的には、「半年以上」は空けたいところです。半年未満は絶対にダメ、ということではありませんが、1つの目安として「半年以上」は空けられるようにするとよいでしょう。
なお、あらたに設備投資をするための借入や、前回融資時点とはあきらかに状況が変わった場合(たとえば、新型コロナのような不測の事態など)には、半年未満もありえます。
それはそれとして。なぜ、「短期間で複数回の融資申し込み」が、銀行から嫌われるのか?理由がわからなければ、真剣に取り組むこともできないものでしょうから、確認をしておきましょう。
具体的には、次のとおりです↓
- メンドーだから
- 無計画だから
- 業績が悪い証だから
それではこのあと、順番に解説をしていきます。
短期間で複数回の融資申し込みが銀行から嫌われる理由
メンドーだから
銀行は、融資を申し込まれれば「審査」をしなければいけません。銀行担当者であれば、「稟議書」をつくらなければならず、そのためには、いろいろと手間をかける必要があるわけです。
この点、融資金額の大小にかかわらず、審査は必須であり、融資の回数が増えるほど、銀行担当者の手間がかかる…というのがポイントになります。
たとえば、合計3,000万円の融資を受ける会社があるとして。1回で借りる会社と、3回に分けて借りようとする会社があったとしたらどうでしょう?当然、3回はメンドーです。
1回で借りる会社に比べると、3回で借りる会社はメンドーなので、銀行員から嫌われやすくなります。なので、どうせ同じ3,000万円を借りるのであれば、1回で借りるようにしましょう。
もちろん、メンドーなのは銀行ばかりではありません。社長もまた、メンドーが増えます。融資を受けるとなれば、必要書類の準備を求められたりもするものです。その回数が増えるのは、ムダでしょう。
にもかかわらず、そのつど、最低限必要なだけの金額を借りようとする社長がいます。そのような借りかたをしていると、メンドーなだけではなく、融資条件面でのデメリットもあるので注意です。
審査は、銀行にとって手間であることは前述しました。少額の融資であるほど、利息収入は少なくなるので、銀行はコストに見合いません。結果、金利を高くせざるをえなくなります。
だとすれば、同じ3,000万円を借りるのでも、1回で借りるよりも、3回で借りるほうが金利が高くなりやすいことも理解しておきましょう。金利を下げたければ、1回で借りることです。
無計画だから
メンドー以外にも、「短期間で複数回の融資」が銀行から嫌われる理由はあります。それが、「無計画だから」です。なんどもなんども、ちょこちょこ借りていると「無計画」に見えてしまいます。
いっぽうで、1回で借りられるような会社(次の融資まで、あいだを空けられる会社)は、先を見据えて、計画的に借入をしているように見えるものです。当然、銀行からは好まれます。
ではなぜ、短期間のあいだに、なんどもなんども、ちょこちょこと借りることになってしまうのか?原因の1つは、資金繰り見込みを可視化していないからです。
もう少し具体的に言うと、資金繰り予定表を作成していないから、ということになります。どちらかといえば、作成していない会社が「多数派」でしょう。ゆえに、作成している会社は、銀行により好まれる状況です。
なので、ぜひ、資金繰り予定表をつくりましょう。おすすめは、毎年の税務申告書(決算書)ができた時点で、向こう1年の資金繰り予定表をつくることです。
そのなかに、向こう1年の借入予定も織り込みます。まずは、借入なしで資金繰り予定表をつくってみて、資金不足になるようであれば、その分を借入予定額とする考え方です。
そのうえで、税務申告書と資金繰り予定表を提示しながら、融資の提案を依頼するとよいでしょう。突然、融資を申し込まれるのとは違いますから、銀行も提案をしやすくなります。
資金繰り予定や借入計画を管理できる、「計画的な会社だ」との評価にもつながるので、銀行から好まれるのもメリットです。
資金繰り予定表のつくりかたについては、YouTubeに動画を投稿しています。再生回数も1万回を超えて、よくご覧いただけている動画なので、よろしければ参考にどうぞ↓
業績が悪い証だから
短期間で複数回の融資申し込みをしている会社の特徴として、「業績が悪い」ことが挙げられます。業績が悪化を続けていると、おカネが減り続けるので、たびたびおカネが足りなくなる…
そこで、短期間に複数回の融資を申し込むことになるわけです。銀行も、そのような会社をたくさん見ています。なので、短期間のあいだに融資を申し込むと、「業績が悪い会社」と見られたり、そういった印象がついてしまうのが問題です。
印象というのは、多かれ少なかれ、融資の受けやすさに影響します。言うまでもありませんが、悪い印象を持たれないようにすることが、銀行対応では大切です。
この点、業績が悪いときに借りる、という「借りどき」をあらためることが、1つの解決策なります。多くの社長は、業績が悪くなってから借りるものですが、それをやめるということです。
代わりに、業績が良いときに借りましょう。銀行は、貸したおカネを返してくれる会社に貸したいのですから、業績が良い会社にこそ貸したいと考えています。
つまり、業績が良いときほど借りやすい、ということです。が、「業績が良いときに、わざわざ利息を払ってまで借りるなんてバカらしい」と考える社長が少なくありません。だから、業績が悪くなってから、借りることになるわけです。
業績が良いうちに、業績が悪くなったときのことを考えて、あらかじめ借りておきましょう。銀行が「貸したい」とおもえるほど業績が良ければ、融資条件の交渉もしやすくなります。
1回で大きな金額も借りやすくなりますし、結果、金利も下がりやすくなるでしょう。
まとめ
短期間で複数回の融資申し込みをしていると、銀行からは嫌われます。が、実際には、ついついやらかして嫌わている会社はあるものです。そこで、嫌われる「理由」についてお話をしました。
理由がわからなければ、真剣に取り組むこともできないものでしょうから、確認をしておきましょう。銀行に嫌われているようでは、おもうような資金繰り改善もできません。
- メンドーだから
- 無計画だから
- 業績が悪い証だから