銀行から融資を受けるにあたって、経営計画書を提示しなければいけない・提示したほうがよい、ということがありますが。いっぽうで、提示してはいけないタイミングがあるので要注意です。
せっかくの経営計画書も、タイミングを誤ると
会社が銀行から融資を受けるときには、提示しなければいけない書類や、提示したほうがよい書類があります。経営計画書もその1つです。
ただし、経営計画書を「提示してはいけないタイミング」があることを理解しておきましょう。せっかくの経営計画書も、タイミングを誤ると、余計な手間と時間がかかったり、融資が受けにくくなってしまうことがあります。
では、その「提示してはいけないタイミング」とは?具体的には、次のとおりです↓
- 融資を受けるとき
- 赤字になってから
- 銀行に言われてから
それではこのあと、順番に解説していきます。
銀行に経営計画書を提示してはいけないタイミング
融資を受けるとき
いざ、融資を受けようというタイミングで、経営計画書を提示する会社があります。銀行から提示を求められたわけではないが、参考資料として有意義なのではないか、との考えです。
が、おすすめできるタイミングではありません。なぜなら、銀行が経営計画書を確認するのに、時間がかかるからです。結果、融資実行までの時間が長引くのであれば、デメリットでしょう。
銀行としては、書類を提示されれば内容を確認したくなるものです。経営計画書は、内容の理解に相応の時間を要するものですから、どうしても、審査の時間は長くなってしまいます。
あるいは、ろくろく見てもらえない、というのもありうるハナシです(会社が融資を急いでいるようなときは、とくに)。それでは、せっかくの経営計画書も、活かすことができません。
では、経営計画書は提示しないほうがいいのか?そもそも、経営計画書を自主的に提示するのは間違いなのか?いいえ、そんなことはありません。自主的に提示するのに、適したタイミングはあります。
ずばり、「決算書ができあがったとき」です。毎年の決算がおわって、税務署への申告もおわり、銀行に決算書のコピーを渡す、そのタイミングがこそが、経営計画書を提示するベストタイミングだといえます。
このとき、向こう1年の「借入計画(いつ・いくら・何のために借りたいか)」をあわせて伝えましょう。そのうえで、「よいご提案があったらお願いします」と、融資提案を促すのがポイントです。
すると、「いますぐ借りたい、早く貸してほしい」という状況ではないので、銀行も余裕をもって、融資の検討をすることができます。経営計画書をじっくり見てもらうこともできるでしょう。
結果として、会社・事業への理解が深まるので、融資をしてもらいやすくなったり、会社にとって有利な融資条件を引出しやすくなります。
赤字になってから
赤字になってから、経営計画書を提示する会社があります。これもまた、おすすめできるタイミングではありません。なぜなら、経営計画書に対する銀行の要求が増えるからです。
いま赤字ということは、黒字に向けた計画をつくることになります。銀行としては、「いま赤字なのに、本当に黒字にできるのか?鉛筆ナメナメつくった、机上の計画にすぎないのでは?」と、厳しい目を向けるものです。
すると、たとえば売上増加の根拠として、さまざまな追加資料を求められたり、いろいろとヒアリングをされたり…と、会社側の時間や手間も増えることになります。
この点、赤字が大きければ大きいほど、銀行の見方は厳しくなり、要求が増えることを理解しておきましょう。だとすれば、経営計画書を提示すべきタイミングは、おのずとわかります。
そう、「黒字のとき」です。いまが黒字であれば、「今後も黒字」という経営計画書は蓋然性(黒字になる確率)が高く、銀行としても容認しやすくなります。
であれば、追加資料を求められたり、あれこれ追及されたりすることも少なくなるものです。よって、せっかくの経営計画書を提示するのであれば、「黒字のうちに」と考えてみましょう。
銀行に言われてから
さいごに、もうひとつ。経営計画書を提示してはいけないタイミングとして、「銀行に言われてから」が挙げられます。つまり、銀行から「経営計画書を出してください」と言われたときです。
まず、そのように言われるのは、会社の状況が悪いとき(=赤字)だとすれば、前述したように、さまざまな追加資料を求められたり、いろいろとヒアリングをされたり…と、なってしまいます。
加えて、銀行に言われてから経営計画書を提示するような会社は、もともと経営計画書をつくっていないことがほとんどです。なので、社長は「大慌て」ということにもなりかねません。
もともとつくっていないのですから、つくりかたを知らない、つくりかたがわからない。そこで、つくりかたから勉強しなければならないのだとすれば、時間もかかってしまいます。
会社が融資を急いでいるような状況であれば、融資が間に合わない可能性もあるでしょう。だから、そんなことにならないように、常日頃から、経営計画書をつくり、管理・運用しておくことを強くおすすめします。
そもそも経営計画書があって、その計画と実績の対比を続け、差異があれば対策を講じられる会社であれば、融資を急がねばならないような状況を避けることが可能です。
銀行は、そういった会社に安心を感じるものでもありますから(結果、融資しやすくなる)、銀行に言われずとも、経営計画書を提示できる会社になりましょう。
まとめ
銀行から融資を受けるにあたって、経営計画書を提示しなければいけない・提示したほうがよい、ということがありますが。いっぽうで、提示してはいけないタイミングがあるので要注意です。
タイミングを誤ると、余計な手間と時間がかかったり、融資が受けにくくなってしまうことがあります。
- 融資を受けるとき
- 赤字になってから
- 銀行に言われてから