会社の財務状態として、債務超過は危険だといわれるいっぽうで、「債務超過でも大丈夫」と認識している社長はいるものです。が、それはさすがに危険だといえるワケをまとめてみました。
それはさすがに危険というもの。
会社の財務について。危険な状態として「債務超過」が挙げられます。算式であらわすと「資産<負債」であり、文字どおり、負債が資産を超過している状態です。
そのいっぽうで、「債務超過になったからといって、倒産するわけでもないよね」というハナシがあります。たしかに、「債務超過=倒産」ではありませんし、即倒産するわけでもありません。
この点、「債務超過でも大丈夫」とタカをくくっている社長を見聞きもしますが、それはさすがに危険というものです。本記事では、その理由をお話ししてみることにしましょう。
具体的には次のとおりです↓
- 借りられなくなる
- 打ち手が限られる
- 取引条件が悪くなる
それではこのあと、順番に解説をしていきます。
債務超過でも大丈夫!が危険なワケ
借りられなくなる
冒頭、債務超過は「資産<負債」だといいました。つまり、資産をすべて現金化しても、負債をチャラにはできないということです。だとすれば、「実質的」には倒産していることになります。
ゆえに、銀行も「債務超過の会社」に対する融資を避けるものです。債務超過だからといって、絶対に融資が受けられないわけではありませんが、受けにくくなることは間違いありません。
すると、どうなるか。当然、会社の資金繰りは悪化します。そもそも債務超過なのですから、資金繰りに余裕がないことがほとんどです。そのうえ、融資が受けられないとなれば…
結果として、どんどん資金繰りが追い込まれて、やがては資金ショートで倒産をすることになります。したがって、債務超過で即倒産ではないものの、倒産の「入口に立った」との認識はすべきです。
債務超過でも大丈夫とは考えず、すぐに手を打つことを考えましょう。本来は、債務超過になる前に手を打つべきところですから、すでに遅いくらいであることも忘れてはいけません。
債務超過で融資が受けにくくなることは前述したとおりですから、ではどうするか?経営計画書の策定が必須です。どのように、いつまでに、債務超過を解消できるのかを計画にまとめます。
その計画書をもって、銀行の理解・協力をえられるかどうかです。まずは、自社のメインバンクと話をしましょう。メインバンクが動かなければ、他の取引銀行も動きません。
経営計画書のポイントについては、別の記事にまとめました。参考にどうぞ↓
打ち手が限られる
繰り返しになりますが、債務超過の会社は、そもそも資金繰りに余裕がないものです。加えて、銀行からの融資も受けにくく、資金の確保が困難だといえます。すると、どうなるか。
何かをするにも、打ち手が限られることになります。結局のところ、「先立つものはカネ」というケースが少なくありません。おカネさえあれば、アレもコレもできたのに…ということはあるでしょう。
もちろん、おカネがなくても有効な打ち手がないわけではありません。それでも、おカネがあって、より打ち手が多いほうが望ましいですよね、というハナシをしています。
ですから、社長は「打ち手は、債務超過になる前に」と覚えておかねばなりません。もっと言えば、「打ち手は、おカネがあるうちに」です。とはいえ、もはや債務超過でおカネもないんだ!というのであれば。
現状、ひとつの解決策になりうるのが「資本性ローン」です。つい先日、金融庁から公表された「2023事務年度 金融行政方針」でも、資本性ローンが重点項目として取り上げられました。
よって、銀行は今後ますます、資本性ローンを積極的に展開していくことが予想されます。だとすれば、会社は、これまでよりも資本性ローンが利用しやすくなるだろう、ということです。
いやいや、資本性ローンって何?などと言っているようではいけません。早々に勉強しましょう。くわしくは、動画にまとめましたので参考にどうぞ↓
資本性ローンによって、資金を確保できれば、打ち手の選択肢も増えますから、事業を改善するチャンスが生まれます。これに対して、何もせずにいれば、打ち手は限られ、倒産が迫ることを理解しておきましょう。
取引条件が悪くなる
事業を続けていると、取引先から「決算書の提示」を求められることもあるでしょう。与信管理の一環として、業績を確認させてくれ、ということです。
このとき、債務超過であることを知った取引先はどう考えるか?あまりに深刻な債務超過であれば、取引中止を判断することもあるでしょう。中止にはいたらずとも、取引の縮小をはかるかもしれません。
また、いままでは掛けで仕入ができたのに、即金払いでなければダメだといわれてしまうかもしれません。いずれにせよ、自社にとっては困ったことです。
取引中止を含め、取引条件が悪くなれば、業務の流れが悪くなったり、利益率が悪くなったりと、事業を改善するどころか、ますます悪化の方向へと向かうことになります。そうなると、本当に倒産です。
ちなみに、取引先から「決算書の提示」を求められずとも、やはり、取引条件が悪くなるものだといえます。債務超過で資金繰りが悪ければ、支払いを伸ばそうとして仕入単価が上がったり、回収を急ごうとして売上単価が下がったりするからです。
また、債務超過で厳しい状況にある会社というのは、「フンイキ」にもあらわれるものであり、それを察知した取引先から、取引条件の改定を求められることもあるでしょう。
やっぱり、債務超過は「倒産への入口」だといえます。
まとめ
会社の財務状態として、債務超過は危険だといわれるいっぽうで、「債務超過でも大丈夫」と認識している社長はいるものです。が、それはさすがに危険だといえるワケをまとめてみました。
それらを見てもなお、債務超過で大丈夫だといえるのか?考え直すきっかけにしてみましょう。
- 借りられなくなる
- 打ち手が限られる
- 取引条件が悪くなる