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1つの銀行だけを見て判断しない

1つの銀行だけを見て判断しない

会社が銀行から融資を受けるにあたっては、銀行選びが重要です。このとき、1つの銀行だけを見て判断しないようにしましょう。その理由について、具体例を挙げながらお話をしていきます。

目次

良し悪しの基準がわからず。

会社が銀行から融資を受けるにあたっては、「銀行選び」が重要です。くわしくは、Kindle本にまとめました↓

という、いきなりの宣伝はさておき。銀行選びをするときに気をつけたいのが、「1つの銀行だけを見て判断しない」ことです。言い換えると、複数の銀行で比べてみましょう、ということになります。

なぜなら、1つの銀行だけを見ていたのでは「良し悪しの基準」がわからず、うまい判断ができないから。逆に、複数の銀行で比べてみれば、相対的な良し悪しがわかるというものです。

では、具体的にどのような点で、複数の銀行を比べるとよいのか?いくつか例を挙げてみましょう↓

1つの銀行だけを見て判断しないほうがよい例
  • 銀行の方針
  • 銀行の業績
  • 融資の条件

それではこのあと、順番に説明をしていきます。

1つの銀行だけを見て判断しないほうがよい例

銀行の方針

ひとくちに銀行といっても、いろいろあります。同じように見えて違う、その違いが最近ではとくに大きくなりつつある、ということはご存知でしょうか。

転機は、2019年末の金融検査マニュアル廃止です。同マニュアルは、金融庁が銀行を検査する際のマニュアルであり、銀行もまた参照しているものでした。よって、どの銀行も似たりよったりの考え方になったわけです。

が、金融庁によるマニュアルの廃止には、「各銀行は独自性を発揮せよ」とのメッセージが込められています。端的にいえば、現状、銀行の数は多すぎる。独自性を発揮することで、少子高齢化・企業数減少の未来にあっても、持続可能な銀行に変化せよ、ということです。

前置きが長くなりましたが、いま銀行はそれぞれ、方針の違いが大きくなりつつある、というお話でした。だとすれば、会社は「自社に合った銀行」を探すのがよいでしょう。

たとえば、最近だと「経営者保証」について。ある銀行では、「原則として経営者保証はいただきません」との方針を公表しています。別の銀行はさらに踏み込んで、「新規プロパー融資における経営者保証の取扱いを廃止いたします」と公表しています。

かとおもえば、なんらの方針もあきらかにしない銀行もあるわけで。ですが、どこか1つの銀行だけを見ているのでは、「何が基準」で「何が自社に合うか」がわかりません。

だから、複数の銀行を見るようにしましょう。少なくとも、自社の取引している銀行については、それぞれ比べてみることをおすすめします。

銀行の業績

各銀行は、ディスクロージャー誌で業績を公表しています。WEBで閲覧できるので、やはり、自社の取引銀行くらいは確認しておきましょう。

会社の業績がそうであるように、銀行の業績もまた、銀行によって全然違います。業績が良い銀行もあれば、悪い銀行ある。ですが、銀行の業績は「どのくらいが標準か」はわかりませんよね?

それでも、複数の銀行の業績を並べてみることで、そのなかでの「良い・悪い」であれば、順位付けはできるはずです。なので、自社の取引銀行どうしを比べてみて、どの銀行の業績が良いかを把握しておきましょう。

同じ融資を受けるのであれば、業績が良い銀行のほうがよいからです。

業績が悪い(利益が少ない)銀行はまず、積極的に融資がしづらい状況にあります。融資を増やすと、自己資本比率が悪化するおそれがあるため、なかなか融資をすることができなくなるのです。

いっぽうで、業績が良い(利益が多い)銀行は、融資を増やしても自己資本比率は悪化しにくいために、融資をしやすい状況にあります。つまり、会社にとっては融資を受けやすい銀行です。

また、業績が悪い銀行は、近年の「銀行再編」の波にのまれやすいという問題も抱えています。とくに地方銀行では、提携・統合・合併がさかんです。ここには、業績が良い銀行が、業績が悪い銀行をのみこむ構図にあります。

では、のみこまれた側の銀行とお付き合いしていた会社はどうなるか。融資が受けにくくなります。審査の基準が、のみこんだ側の銀行になるからです。一般的に、業績が良い銀行ほど、審査の基準は厳しくなる(≒良い会社にだけ融資をする)傾向にあります。

なお、審査の基準と、前述した積極性とは別モノです。審査の基準自体は厳しい、そのうえで、積極的に融資をする、ということは成り立ちます。

いずれにせよ、複数の銀行の業績を比べてみて、業績が良い銀行を把握しましょう。

融資の条件

融資の条件とは、融資金額、返済期間、金利、担保・保証の有無などをいいます。たとえば、金利について。A銀行では2%を提示されたとしても、それが当社に妥当なものであるかはわかりかねるでしょう。

この点、B銀行やC銀行からも融資を受けることで、2%が妥当であるかをはかりやすくなります。もし、B銀行やC銀行がともに、A銀行より極端に金利が高かったり低かったりすれば、A銀行の金利は疑わしい…と考えられるわけです。

担保についても同じで、A銀行では「担保がなければ貸せません」と言われても、B銀行では「担保がなくても貸せます」ということはあります。A銀行から断られたからといって、あきらめる必要はないのです。

ところが、1つの銀行の融資条件だけを見て、「どうせほかの銀行も変わらないだろう」とあきらめている社長もいます。そうして、みずから可能性をつぶすことがないように、やはり、複数の銀行の融資条件を比べてみる、つまり、複数の銀行に相談することが大切です。

それができるように、ふだんから、複数の銀行とお付き合いをしておく(融資を受けておく)のがよいでしょう。1つの銀行としかお付き合いをしていない会社も散見されますから、注意が必要です。

まとめ

会社が銀行から融資を受けるにあたっては、銀行選びが重要です。このとき、1つの銀行だけを見て判断しないようにしましょう。その理由について、具体例を挙げながらお話をしてきました。

複数の銀行を比べてみることで、それぞれの銀行の良し悪しがわかりやすくなるものです。

1つの銀行だけを見て判断しないほうがよい例
  • 銀行の方針
  • 銀行の業績
  • 融資の条件
1つの銀行だけを見て判断しない

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