これは、銀行担当者に聞いてもよいことなのか?と、疑問を感じている社長はいるものです。でも実は、そういった疑問の中にも、社長が銀行担当者に聞いてもよいことはあります。たとえば…
嫌われてしまう、あきれられてしまう。
銀行から融資を受けている会社の社長が、疑問に感じていることの1つに「これは、銀行担当者に聞いてもよいことなのか?」というものがあります。
こんなことを聞いたら、嫌われてしまうかもしれないとか。こんなことを聞いたら、何もわかっていない社長だとあきれられてしまうかもしれないとか。だから、聞くのはやめておくか…
でも実は、そういった疑問の中にも、社長が銀行担当者に聞いてもよいことはあります。たとえば、次のようなものです↓
- いつまでに返事をもらえるか
- なぜ融資を受けられないのか
- 自社の格付けはどのくらいか
それではこのあと、順番に確認をしていきましょう。
社長が銀行担当者に聞いてもよいこと
いつまでに返事をもらえるか
融資のお願いをする際、社長としては「いつまでに返事をもらえるか」は気になるところでしょう。
でも、そんなことを聞いたら、急かしているようで嫌われてしまうかも。それに、急いでいるようにおもわれたら、資金繰りが逼迫している危ない会社だと見られてしまうかも…
たしかに、その可能性はあります。また、資金繰りが逼迫してから慌てて融資をお願いするような対応もよろしくありません。なので、余裕をもって融資のお願いをするのは大前提です。
そのうえで、「いつまでに返事をもらえるか」を銀行担当者に聞くのは、けして間違いではないことを理解しておきましょう。回答期限をたずねるのは、「一般的なビジネス慣行」だからです。
相手が銀行だからといって、回答期限をたずねてはいけないということはありません。具体的には、「融資を急いではいませんが、いつまでに回答をいただけるか教えていただけますか」などと伝えてみるとよいでしょう。
社長がこのひとことが言えずにいると、銀行からの回答が遅くてヤキモキすることになりかねません。また、期限が決まっていないので、催促もしづらくなってしまいます。
はじめに回答期限を聞いておくと、あたりまえに催促できるのがメリットです。銀行員は忙しいので、自社の案件が後回しにされることもあれば、最悪、忘れられることさえありえます。
この点、融資のお願いをするときには、「文書」にまとめて渡すのがおすすめです。文書といっても、A4用紙1枚ですから、手間のかかるものではありません。にもかかわらず、効果は抜群です。
銀行担当者も文書にされると、後回しにしづらく、忘れることもなくなります。社長が言葉にせずとも、銀行に対してプレッシャーをかけることができるわけです。
文書の書式など詳しくは、こちらの動画を参考にどうぞ↓
なぜ融資を受けられないのか
融資をお願いしたものの、銀行からの回答は「NG」ということもあります。社長としては「なぜNGなのか?」とのおもいがあるでしょう。でも、聞いてはいけないことだと、黙っている社長がいます。
ですが、融資NGの理由は、聞いてはいけないことではありません。次に融資をお願いするときのためにも、むしろ、NGの理由は確認しておくのがよいでしょう。
聞き方としては、「今回、融資が受けられない理由は、具体的にどのようなことでしょうか。自社としても、今後改善を進めるにあたっての参考にしたいので教えてもらえると助かります」といった具合です。
ポイントは、「今後改善を進めるにあたっての参考にしたい」という部分にあります。こういった目的がなく、ただただNGの理由を教えてほしいとなると、銀行を詰めるだけの行為となるのがよくありません。
たとえば、「社長への貸付金」が理由であった場合、それを銀行が教えると、「貸付金さえ解消すれば融資が受けられる!」と勘違いをしてしまう社長がいます。
ところが、そのときには、また別の問題が生じているかもしれず、今回NGの理由になった問題を解消したところで、必ずしも融資を受けられるようになるわけではありません。
だから、銀行は「いらぬ勘違い」をさせないために、NGの理由について明言を避ける傾向にあります。「総合的に勘案しまして…(ゴニョゴニョ)」などと言葉を濁すのは常套句です。
それだと、社長としては得られるものがありませんので、「あくまで参考にしたい」ということを強調しつつ、少しでも改善を進めたいのだという目的を伝えられると、NGの理由を教えてもらいやすくなるでしょう。
自社の格付けはどのくらいか
社長であれば、銀行が融資先を格付けしていることはご存知でしょう。格付けが良ければ融資は受けやすくなるし、格付けが悪ければ融資は受けにくくなります。
なので、自社の格付けはどのくらいか?は、社長の関心ごとの1つです。でも、そんなことを聞いてもよいのだろうか?いや、マズいかな…と、聞くのを躊躇している社長がいます。
ですが、迷ったら聞いてみましょう。教えてもらえるかどうかはわかりませんが、聞いてはいけないことではなく、銀行担当者も言ってはいけないことではないからです。
とはいえ、銀行としても積極的に開示すべき情報ではないので、聞き方には気をつけたほうがよいでしょう。
具体的には、「自社の格付けはどのくらいですか?今後改善を進めるにあたっての参考にしたいので、格付けを上げるためのアドバイスなどもいただけると助かります」といった具合です。
やはりポイントは、「今後改善を進めるにあたっての参考にしたい」という部分にあります。前述した「融資NGの理由をたずねる」ときと、考え方はいっしょです。
銀行も、ただただ格付けを聞かれると答えにくいものですが、「改善をするため」ということであれば、だいぶ答えやすくなります。実際に改善が進めば、融資をしやすくなるので、銀行担当者としてもメリットがあるからです。
ちなみに、銀行の格付けは「債務者区分」がベースになっています。債務者区分とは、金融庁が銀行を検査する際の手引書となる「金融検査マニュアル」に示されている考え方です。
が、その「金融検査マニュアル」も、2019年末に廃止されました。では、債務者区分や格付けの考え方はなくなったのか、変わってしまったのかといえば。いまのところは、ほとんど変わっていないといってよいでしょう。
今後は、銀行ごとに考え方に違い(独自性)が生じるものとおもわれますが、現状ではまだ、ほとんどの銀行が、従来の「金融検査マニュアル」にもとづく考え方にとどまっている印象です。
まとめ
これは、銀行担当者に聞いてもよいことなのか?と、疑問を感じている社長はいるものです。でも実は、そういった疑問の中にも、社長が銀行担当者に聞いてもよいことはあります。
というわけで、たとえばどのようなことかをお話ししてきました。ただし、聞くにしても、それぞれの「疑問の意図」を理解しておくことが大切です。でなければ、やはり嫌われたり、あきれられてしまうことはありえます。
- いつまでに返事をもらえるか
- なぜ融資を受けられないのか
- 自社の格付けはどのくらいか