いつも資金繰りで苦労をしている会社、つまり、おカネがない会社があります。そのような会社の社長には、いくつか共通の特徴がありそうだぞ、ということでまとめてみました。
独断と偏見ではあるにせよ。
いつも資金繰りで苦労をしている会社の社長がいます。ここでいう「資金繰りで苦労」とは、ふだんから預金残高が少なく、社長がおカネの算段ばかりに時間をとられている状態です。
そのような会社を「おカネがない会社」と定義するのであれば、社長にはどんな特徴があるのか?あくまで、わたしの経験則にもとづくところではありますが、列挙してみることにしましょう。
次のとおりです↓
- 試算表を見ない
- 税金を払わない
- 借りかたがヘタ
それではこのあと、順番に確認をしていきます。
おカネがない会社の社長の特徴3選
試算表を見ない
おカネがない会社の社長は、試算表を見ない人が多いです。試算表とは、毎月の業績を数字で把握するためのツールであり、重要な情報であるにもかかわらず…ということになります。
そもそも、試算表をつくっていない、つくろうとしていないケースとは別に、試算表は経理や税理士がつくっているのに、社長が見ようとしないケースはあるものです(実際にあります)。
そんなもの(数字)は試算表など見ずとも、じぶんのアタマのなかに入っている!などとクチにしたりするのですが、そのいっぽうで、決算書を見ては「こんなはずはない!」と怒りだしたり…
なんにせよ、数字の動きを正しく把握できておらず、「おカネはあれば使う」という姿勢になってしまいます。つまり、通帳におカネがあれば「使っても大丈夫だ」と捉えてしまうわけです。
ところが、いまおカネがあっても、あすには支払わなければいけないおカネだってあります。なので、いざ支払いの段階になっておカネがなくて大慌て…という状況は「あるある」でしょう。
典型例が「税金を支払う」場面です。黒字であれば法人税、黒字でなくとも消費税の支払いがあります(会社によっては、半年にいちどまとめて払う源泉所得税なども)。
社長がその税額をイメージできておらず、いざ納税の段階になって「そんなに払えるわけがない!」と、やはり大慌てです。ちなみに、わたしはその昔、「税金の計算が間違っている!やり直せ」と言われたこともあります。間違ってはいないはずなのですが…
まぁ、それはそれとして。最低限、試算表を見ていれば、税額のイメージもできるものです(できないようなら、試算表のつくりかた・見方を学ぶ必要があります)。だから、まずは試算表を毎月つくること、毎月確認するところからです。
それができれば、税額だけではなく、おカネの動き(向こう数ヶ月ていどの予測)もつかめるようになるため、「おカネはあれば使う」ということもなくなります。
さらに言えば、向こう1年ていどの資金繰り予定表をつくるのがベストです。試算表からでは追いきれないところまで、おカネの動きを把握しやすくなるでしょう。
ダメ押しで、1年のはじめに計画を立てること。数値計画があれば、それにしたがって支出をしようとするものなので、無計画におカネを使ってしまうことは減ります。ぜひ、試してみましょう。
税金を払わない
税金を払わないこともまた、おカネがない会社の社長の特徴です。極度の税金嫌いでもあり、とにかく税金を払いたくない。最悪、脱税(に近いこと)をしてでも…というケースを見聞きしています。
もちろん、税金を好きになる必要はありませんが、それでも、「税金を払う意味」は理解しておいたほうがよいでしょう。といっても、「納税は国民の義務だから」みたいなハナシではありません。
もっとシンプルかつ、直接的に大事なハナシです。それは、「税金を払わなければ、おカネは増えない」ということ。日本の会社には、法人税が課されています。課税の対象は「利益」です。
この点、利益がマイナスであれば(赤字)、税金を納める必要はありません。ところが、利益がマイナスということは、手元のおカネが目減りしていることを意味します。
ですから、赤字が続くといつか会社はつぶれてしまうので、黒字を目指さなければいけません。結果として黒字になると、おおむね「利益の3割」くらいの法人税を納めることになります。
言い換えると、利益の7割が手元に残るわけです。このときはじめて、手元のおカネを増やすことができます。黒字になってはじめて、おカネを増やせるという、極めてシンプルなお話です。
ところが、税金を嫌うあまり、わざと赤字にしようとする社長がいます。するとどうなるかは、すでにお話をしたとおりです。税金は払わなくてよくても、赤字によって手元のおカネは目減りします。
会社にはおカネがたまらず、赤字を重ねるたびに、資金繰りは悪くなっていく…というわけで、社長は、「税金を払わなければ、会社は持続・成長できない」ことを知りましょう。
そのためには、黒字です。利益の7割は手元に残るのですから、黒字を出し惜しみしないことです。多くの社長が、会社をはじめるときには、多かれ少なかれ「儲けたい!」と考えていたはずであり、黒字を出し惜しむようになるのはフシギでもあります。
借りかたがヘタ
赤字が続くと会社はつぶれてしまう、と前述しました。でも実際には、少々赤字が続いたところで、つぶれない会社も少なくありません。それはなぜなのか?
理由の1つが「借入」です。おカネを借りることができれば、赤字によるおカネの減少を補うことができます。なので、おカネが足りなくなると、慌てて銀行に飛び込む社長はいるものです。
が、銀行は「そんな危ない会社」に対して、おカネを貸したいとは考えません。慌てて借入しようとする会社を、銀行は警戒しています。
なので、融資を断られてしまったり、融資をしてもらえても条件が悪い(金額が少ない、金利が高い、返済期間が短いなど)ということになるでしょう。当然、会社の資金繰りには悪影響です。
いよいよ困った…ということで、社長がカードローン、サラ金やヤミ金にまで手を出すケースもゼロではありません。そのあたりが銀行に知れると(知れますが)、銀行借入の道も閉ざされます。
銀行以外からの借入は、金利がケタ違いに高く、同じ金額を借りるのでも「のちのちの返済負担」はまったくの別モノです。高利貸しからの借入は、倒産への一丁目だと考えておきましょう。
だからこそ、借入をするなら銀行であるべきなのです。でも、資金繰りで苦労をする社長の「借りかたがヘタ」なことはすでに話をしました。慌てて飛び込み、警戒されるような借りかたです。
では、どのような借りかたをすればよいのか?もはや言うまでもありませんが、おカネが足りなくなる前に借りることです。さらに言えば、利益が出ているときに借りることです。
言われてみればあたりまえのことなのに、おカネが足りなくなってから、赤字になってから借りようとする社長は、けして少なくありません。そのあたり、自社の現状を把握するためにも、前述した「試算表(加えて、資金繰り予定表や計画書もあればベスト)」が大切になるわけです。
話はすべて、つながっています。この一連のつながりを、社長はきちんと理解しておきましょう。
まとめ
いつも資金繰りで苦労をしている会社、つまり、おカネがない会社があります。そのような会社の社長には、いくつか共通の特徴がありそうだぞ、ということでまとめてみました。
もし、じぶんに当てはまるものがあれば、もちろん要チェックです。今回のお話から、なぜその特徴がまずいのか?を理解しておくようにしましょう。資金繰り改善に役立つはずです。
- 試算表を見ない
- 税金を払わない
- 借りかたがヘタ