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金利が上昇する世界線で社長に必要な銀行対応スキルとは?

金利が上昇する世界線で社長に必要な銀行対応スキルとは?

長らく続いた低金利も、おわりを迎えつつあります。遅かれ早かれ、いまよりは金利が上がるだろう。そのとき、社長に必要な銀行対応スキルとは?について、お話をしていきます。

目次

遅かれ早かれ、金利は上がる。

きょう現在(2023年11月15日)、日本は「低金利」のさなかにあります。いっぽうで、最近では「YCC(イールドカーブ・コントロール)の修正」などがあり、金利上昇への準備が進みつつあるといってよいでしょう。

つまり、遅かれ早かれ、いまよりは金利が上がるだろう、ということです。では、そのように「金利が上昇する世界線」で、社長に必要な銀行対応スキルとは?について、考えてみます。

具体的にはぜんぶで3つ。それらのスキルが欠けると、会社の資金繰りに支障をきたす可能性が高くなるでしょう。というわけで、3つのスキルとは次のとおりです↓

金利が上昇する世界線で社長に必要な銀行対応スキル
  • 利益をもっと出す
  • 融資金利を引き下げる
  • 個人資産を運用する

それではこのあと、順番に確認していきます。

金利が上昇する世界線で社長に必要な銀行対応スキル

利益をもっと出す

この先、金利が上昇して、融資金利も上がれば、会社が支払う利息額は増えることになります。だとすれば、その利息を負担できるだけの「利益」が必要です。

そもそも、銀行から借入すれば、利息の支払いが必要なのであり、支払うための原資として「利益」がなければいけません。金利が上昇することで、必要な利益は増えるわけです。

結論として、金利が上昇する以上に、利益を増やすことが求められます。わたしは、ふだんから借入を推奨している派ですが、金利上昇局面で利益を増やすつもりがないのなら、さすがに推奨できません。

いましがた、「利益を増やすつもりがない」と言いました。ここは、大事なポイントになります。売上ばかりを気にして、利益を減らしている中小企業はけして少なくないからです。

世の中ではこれだけ物価が高騰しているのに、自社の商品は値上げをしていないとか。していても、価格転嫁が不十分であるとか。そういった会社は、金利上昇時には非常に厳しい状態になるでしょう。

また、税金を嫌って、社長みずから利益を抑制しているケースもあります。すると、銀行からは「金利を負担できない会社(融資するには危険な会社)」と見られるものです。

そのあたりを測る指標としては、「インタレスト・カバレッジ・レシオ((営業利益+受取利息・配当金)÷ 支払利息」があります。金利上昇時には、重要性が高まる指標の1つです。

利益を出すだなんて、あたりまえのハナシだとおもわれるかもしれませんが。実は、それができていないかもしれないことに気づきましょう。そのうえで、今後はもっと利益を求められることを忘れてはいけません。

世の中の金利が上昇したのに、利益率が上がらないような会社に対して、銀行は「成長性」に不安を感じることになります。金利上昇時に、利益をもっと出すことは、必要な銀行対応スキルの筆頭であることを理解しておきましょう。

融資金利を引き下げる

再三の繰り返しになりますが、世の中の金利が上がれば、融資金利も上昇します。このとき、社長が「無策・無抵抗」であれば、金利は「銀行の言い値」になる可能性はあるでしょう。

つまり、必要以上に融資金利を高く設定されるかもしれない、ということです。なので、社長には「融資金利を引き下げる」というスキルが必要とされることになります。

低金利であれば、そのスキルがなく、融資金利を高く設定されるとしても知れていました。ところが、金利が上昇していくとなれば、そうも言っていられません。

前述したとおり、融資金利が上がれば、その分、利益を増やす必要もあるのですから、必要以上に融資金利が上がれば、経営・財務の難易度がムダに上がることになってしまいます。

というわけで、社長は、融資金利を引き下げるスキルを身につけましょう。

そもそも、自社の融資金利が高いのかどうか、判断することはできますか?判断の「材料」として、貸出約定平均金利というものがありますが、それを知っているか、定期的にチェックしているのか?

また、銀行に金利引き下げの話をするときに役立つ「ツール」として、借入金一覧表はつくっているでしょうか。その内容を定期的に更新しているか?内容の見方は理解しているのか?

さらに、銀行に金利引き下げを迫る「武器」として、取引銀行ごとの実質金利を把握できているでしょうか?それをもとに、どの銀行に交渉をするか、どのように交渉するかを理解しているのか?

このあたりが、「よくわからない…」ということであれば、いまのうちに勉強をしておいたほうがよいでしょう。

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個人資産を運用する

中小企業は、会社と社長が一心同体だというハナシは聞いたことがあるでしょう。多くの場合、「株主=社長」でもあり、会社がピンチになれば、社長は個人資産も会社に投じるはずです。

だとすれば、社長の個人資産は、会社を守る「さいごの砦」だともいえます。役員報酬として受け取ったおカネを、会社のいざというときのために貯めている、という社長も多いでしょう。

この点で、金利が上昇したときには、考えるべきことがあります。それは、資産運用です。世の中の金利が上がるときに、普通預金や定期預金だけにあずけていて大丈夫なのか?

言い換えると、「円だけ」で運用していて大丈夫なのか、ということです。

思い出してみることにします。2011年10月(きょうから見ると12年前)、1ドルは75円で買うことができました。いまはといえば、1ドルを買うのに150円も必要です。

つまり、円のチカラは10年ちょっとのあいだに、「半分」になってしまった…といえます。金利が上がるとはいっても、そこまで弱ってしまった円に頼り切りでよいのか?ということです。

だから、〇〇に投資をしましょう!というハナシではありません。あまりにリスキーな投資をして、大事な個人資産を毀損してしまうようでは元も子もなくなってしまいます。

それに、いざというときに、すぐに資金を会社へ移せるように、あるていどは「円」で持っておく必要はあるものです。

なので、お伝えしたいことは「円だけでの運用は見直しましょう」ということであり、社長の個人資産は「あるていど分散投資を考えましょう」ということになります。

最近では、定期預金の金利が100倍になった!などのニュースもありますが。金額に換算すれば、ないに等しい金額です。これでは、世の中の金利上昇、物価上昇にも負けてしまいます。

結果として、社長個人の資産が目減りするようでは、さいごの砦も心細いものになってしまうでしょう。すると、銀行の会社に対する融資に、悪影響が出ることもあります(銀行は、会社と社長個人の資産を合算して見ているから)。

金利が上げることをきっかけに、資産運用について考えてみるのはいかがでしょうか。

まとめ

長らく続いた低金利も、おわりを迎えつつあります。遅かれ早かれ、いまよりは金利が上がるだろう。そのとき、社長に必要な銀行対応スキルとは?について、お話をしました。

ぜんぶで3つ。それらのスキルが欠けると、会社の資金繰りに支障をきたす可能性が高くなりますから、社長はいまのうちに押さえておきましょう。いざとなってからでは、遅きに失するというものです。

金利が上昇する世界線で社長に必要な銀行対応スキル
  • 利益をもっと出す
  • 融資金利を引き下げる
  • 個人資産を運用する
金利が上昇する世界線で社長に必要な銀行対応スキルとは?

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