パソコン仕事の生産性を上げる方法はいろいろです。なかでも、ディスプレイのお話です。ディスプレイの大きさや使い方によって、生産性は変わります。そのあたりの具体的な考え方とは…?
ディスプレイが大きくなると生産性は倍増する
パソコンのディスプレイ(モニター)しだいで生産性は変わる、と言ったら驚かれるでしょうか。
ウィーバー州立大学の研究によれば、大きなディスプレイを使う人は、小さなディスプレイを使う人に比べて、2〜3倍のパフォーマンスをあげられることがわかっています。
どうせ同じパソコン仕事をするのなら、生産性は高いほうがよいでしょう。
したがって、まずは「ディスプレイに投資をする」との考え方が重要になります。が、投資をする原資、つまり、おカネには限りがあります。(よほど裕福である場合をのぞけば)。
そのため、二者択一を迫られるようなことはあるものです。たとえば、いまおカネをかけるならディスプレイか、それともパソコンのメモリか…?みたいな。
もちろん、メモリもまた、生産性にかかわる要素ではあります。ですが、ある一定以上は、ほとんど差がないことが少なくありません。事務仕事しかしないのに、32GBはさすがにオーバースペックだ、とか。
そのあたりはケースバイケースではあるものの、「(限りあるおカネを使った)投資対象の選択肢として、ディスプレイも加えるようにしましょう」というお話をしています。
とはいえ、ディスプレイも大きければ大きいほどよいわけでもありません。大きすぎるがために、かえって生産性を落としかねないこともあります。では、最適な大きさとはどれほどなのか?
ということで、パソコンのディスプレイで生産性を上げるための考え方を、もう少し深掘りしてみることにしましょう。
小さすぎるディスプレイの問題点
このあと、ディスプレイの大きさや使い方を考えるにあたって、まずは「小さすぎるディスプレイ」の問題点を整理しておくことにします。では、小さすぎるディスプレイとは?
たとえば、頻繁に画面を切り替えているとか(ブラウザを表示していたかとおもえば、Excelに切り替えて、またブラウザに切り替えて…)。あるいは、ウィンドウが幾重にも重なりあって、ごちゃごちゃになっているとか。
意外と「あるある」ではないでしょうか。すると、何が起きるのか?
画面をなんども切り替えたり、ウィンドウをたびたび動かしたり。時間と手間がかかるのは当然として、なにより、脳のリソースをムダ使いしてしまうのが大きな問題です。
Aの情報は別画面にあったよな、とか。Bの情報はこのウィンドウの裏にあったよな、とか。余計なことを記憶しておかねばならず、そのために、脳のリソースがムダ使いされてしまいます。
結果として、同じパソコン仕事をするでも、小さすぎるディスプレイだと生産性は下がるわけです。画面の切り替えも、ウィンドウの移動も、1回1回の操作は大したことがないように見えて、積み重なれば大きな差となります。
それなら、ディスプレイは大きければ大きいほどよいのか?といえば、そうではない。ということは、さきほどもふれたとおりです。その理由は、ディスプレイの使い方にあります。
たとえ、大きなディスプレイを用意できたとしても、その使い方を誤れば、生産性は上がるどころかむしろ下がってしまうこともある。それでは、せっかくの投資がムダになってしまいます。
というわけで、大きなディスプレイの使い方について考えてみることにしましょう。
大きなディスプレイの正しい使い方
まずは、「余計なもの」は表示しないことです。たとえば、SNSのタイムライン。ディスプレイの片隅に常時表示しておくことで、絶えず新着情報を確認することができます。
ですが、タイムラインを眺めるのが仕事でない限りは、邪魔な情報でしかありません。新着通知に気を取られるようなら(必ずや気を取られます)、本来の仕事の生産性はダダ下がりとなります。
大きなディスプレイがあると、ついつい「あったらよい情報」まで表示してしまうものです。でも、表示すべきは「あるべき情報」であることを理解しておきましょう。
言い換えると、あったらよい情報まで表示するほど大きなディスプレイは必要ない、ということです。この点をふまえて、わたしは「35インチのウルトラワイドモニター」を使っています↓
横に広いディスプレイであり、左右に2つのウィンドウを並べて、片方のウィンドウの情報を見ながら、もう片方のウィンドウで作業をする、といった使いかたをするのに十分な広さです。
そのうえで、広いからといって、余計なものを常時表示するようなことは控えています。なので、複数の情報を必要としない場面では(たとえば、この記事を書いているとき)、1つの情報(ウィンドウ)しか開いていません。
加えて、もう1つ。大きなディスプレイの使い方として、「情報(ウィンドウ)の位置を固定する」のもポイントです。
余計なものを表示しないとはいいましたが、ときには必要になるものもあるわけで。たとえば、スケジュール管理やタスク管理ツールがあります。それらを、常時表示はしていません。
よって、必要になれば画面(ウィンドウ)を切り替えることになります。このとき、それぞれのウィンドウを固定しておきましょう、ということです。
たとえば、わたしは、スケジュール管理やタスク管理ツールをディスプレイの左端に固定しています。これにより、すぐにそれらのツールにたどりつくことができます。
いっぽうで、位置を固定せずに、操作のたびにいろいろな場所に移動させてしまうと、いざ使うときになって探すことになってしまいます。これが、脳のリソースをムダ使いするのです。
探すのなんてわずかな時間だ、といえばそのとおりでしょう。ですが、問題は積み重ねであり、その積み重ねによって、脳のリソースは確実に奪われ、生産性を落とすことになります。
バージニア大学とカーネギーメロン大学の研究によれば、ディスプレイ上の情報の位置が固定されることで、ヒトは「積極的な努力」を無しに、情報の場所を記憶できることがわかっています。
であれば、その分の努力(リソース)を別のところにまわせる、ということです。
まとめ
パソコン仕事の生産性を上げる方法はいろいろです。なかでも、ディスプレイのお話です。ディスプレイの大きさや使い方によって、生産性は変わります。
というわけで、そのあたりの具体的な考え方をお話ししてきました。パソコン仕事の多い人ほど、いちどディスプレイを見直してみるのはいかがでしょうか。本記事がそのきかっけになれば幸いです。