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銀行員には異動があるからこそ気をつけるべきこと

銀行員には異動があるからこそ気をつけるべきこと

銀行員に異動があることは知っていても、異動があるからこそ気をつけるべきことがあるのはご存知でしょうか。融資が受けにくくなったり、受けられなくなったりしないよう、押さえておきましょう。

目次

気がつけば融資が受けられなくなったり。

銀行員に異動があるのは、ご存知のことでしょう。融資を受けている会社であれば、社長は「銀行員が数年おきに異動する」のを実体験もしているはずです。

というわけで、銀行員には異動があるからこそ気をつけるべきこと、についてお話をしてみます。これを知らずにいると、気づけば融資が受けにくくなったり、受けられなくなったり…ということにもなりかねません。

いまのうちに、確認しておくことにしましょう。おもなところでは次のとおりです↓

銀行員には異動があるからこそ気をつけるべきこと
  • 恩を売るのもほどほどに
  • 新担当者はわかってない
  • 支店長で状況は一変する

それではこのあと、順番に説明をしていきます。

銀行員には異動があるからこそ気をつけるべきこと

恩を売るのもほどほどに

銀行員(自社の担当者)と、仲良くなろうとする社長がいます。仲が悪くなるより、仲が良いほうがいいので、仲良くなろうとすること自体を否定はしません。

銀行融資も結局は、ヒト対ヒト(銀行員対社長)ですから、人間関係の円滑さが融資の円滑さにつながることはあります。ただし、仲の良さを「過信」しないように注意が必要です。

もはやお気づきのこととおもいますが、仲の良い銀行員に異動があれば、その効果はなくなってしまいます。特定の銀行員との仲の良さは、あくまで「属人的」なものにすぎません。

ひるがえって、銀行担当者に恩を売ろうとする社長がいます。たとえば、銀行担当者から「セールス(融資や定期預金、クレジットカードなど)」をされたときに応じてあげる、みたいな。

これにより恩を売ることができれば、銀行担当者から感謝されて、仲が良くもなるだろうという打算もあってのことです。実際に感謝されて、仲が良くなることもあるでしょう。

それでもやはり、その銀行担当者が異動すれば、仲の良さは消えてしまうわけですから、恩を売る効果は「期間限定(銀行担当者が移動するまで)」と考えておかねばなりません。

そこがわからずに、恩を売ることばかり考えていると、不要なセールスまで受け入れることになってしまいます。あとになって後悔をしても、そのときの銀行担当者はもういない…

ちなみに、銀行担当者とは「円満」な人間関係を築いておくのは大切なことです。どうせいつか異動になるのだからと、不遜な態度をとったりしていると、将来で困ったことになりかねません。

銀行員には異動があるのですから、またいつか出会うことは考えられます。そのとき、相手が支店長にでもなっていたらどうでしょう。過去の不遜が原因で、融資が受けにくくなるのは間違いありません。

新担当者はわかってない

銀行担当者が異動になるときには、旧担当者から新担当者への「引き継ぎ」があります。が、その引き継ぎは「あってないようなもの」だと考えておきましょう。

つまり、新担当者は自社の状況をほとんどわかっていない、ということです。これは、わたしが勝手にそうおもっているのではなく、実際に銀行員の方から聞いた話であることを申し添えます。

そもそも、銀行員は多くの担当先を抱えています。銀行にもよりますが、数十件〜数百件。担当先が多いだけでも、引き継ぎが容易でないことはわかるでしょう。

それに加えて、引き継ぎの「期間が短い」ために、すべての担当先を十分に引き継ぐなどできるわけがないのです。なので、ロクロクあいさつもなしに、気づいたら自社の銀行担当者が変わっていることも…

結果、新担当者は自社のことをわかっていません。にもかかわらず、社長のほうは「ちゃんと引き継がれているだろう」などとタカをくくっていると、その後の融資には悪影響です。

銀行担当者が変わったときには、「はじめて取引をする」くらいの気持ちで、新担当者には自社のことをあらためて伝えるようにしましょう。会社概要や事業内容から説明する、ということです。

この点、銀行員のほうからは聞きにくいものなので(いまさら聞くと怒られそう)、社長のほうから言ってもらえるのはとても助かる、という話もまた、銀行員の方から聞いたことがあります。

なお、融資の依頼をしたあと、融資が実行される前に異動になってしまった場合、その融資(審査)の進捗状況には気をつけましょう。引き継ぎがされておらず、融資の依頼が忘れ去られていたケースがありました。

支店長で状況は一変する

融資のキーマンは誰か?といえば、やはり支店長です。支店長には「決裁権限」があります。ですから、支店長しだいで融資の受けやすさが一変することは理解しておきましょう。

支店長にもタイプがあります。大きく分けるのであれば、積極的に融資をしたいと考えるタイプと、保守的に融資をしたいと考えるタイプの2つです。では、後者であればどうでしょう?

当然、融資が受けにくくなります。支店長にもまた異動があるので、積極的タイプの支店長から、保守的タイプの支店長に変わったときなどは、融資の受けにくさに困惑することもあるはずです。

支店長の異動は、会社にはコントロールしえないことですから、そのような銀行の変化も想定して、複数の銀行とお付き合いをしておくことが解決策になります。

A銀行が保守的タイプの支店長なら、そのあいだは、積極的タイプの支店長がいるB銀行から融資を受けられればよいわけです。これが、1つの銀行としかお付き合いをしていないとなると、どうしようもありません。

ちなみに、同じ支店長でも「時期によって」、タイプが変化することはあります。もともとが積極的なタイプの支店長でも、異動まぎわになると、融資に消極的になるといったケースです。

積極的に融資をするあまり、回収不能などの事故を起こせば、次の異動に差し支えるため、さいごはおとなしくしておこうといった思惑がある。というお話も、銀行員の方からお聞きしています。

以上をふまえて、社長は支店長について、銀行担当者を通じて情報を集めておくのがよいでしょう。いつ異動してきたのか(=次はいつくらいに異動になりそうか)、どういったタイプの支店長なのか、といった情報です。

まとめ

銀行員に異動があることは知っていても、異動があるからこそ気をつけるべきことがあるのはご存知でしょうか。融資が受けにくくなったり、受けられなくなったりしないように、今回お話しした内容を押さえておきましょう。

銀行員には異動があるからこそ気をつけるべきこと
  • 恩を売るのもほどほどに
  • 新担当者はわかってない
  • 支店長で状況は一変する
銀行員には異動があるからこそ気をつけるべきこと

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