銀行融資を受けたいのだけれど、「わが社が借りやすいのはいくらまでなのか?」と社長が疑問におもうことはあるでしょう。というわけで、借りやすい金額の目安を列挙してみます。
それがわかれば苦労はしない。
銀行融資を受けている、あるいは受けようとしている会社の社長であれば、「わが社が借りやすいのはいくらまでなのか?」は関心事のひとつでしょう。
それがわかれば融資の依頼をしやすく、かつ、融資を受けられる可能性も高まるからです。とはいえ、銀行に直接聞くのも気が引ける…というわけで、その目安を3つほど列挙してみます。
次のとおりです↓
- 保証付き融資の限度内
- 過去最高残高の範囲内
- 支店長決裁の範囲内
それではこのあと、順番に解説をしていきます。
銀行融資、わが社が借りやすいのはいくらまで?
保証付き融資の限度内
民間金融機関からの融資は、信用保証協会の保証付き融資とプロパー融資とに分かれます。このうち、保証付き融資とは、会社が返済できなくなったときに信用保証協会が肩代わりする融資です。
とはいえ、無制限に保証(肩代わりの)をしてくれるわけではなく、制度上の限度額が決まっています。一般保証(ほかに特別保証もあります)の無担保融資であれば、8,000万円が限度です。
この範囲内であれば、銀行は融資をしてもリスクが軽減できる(会社が返済できなくなったときには、銀行が肩代わりをしてくれる)ことから、融資をしやすい。会社から見れば、借りやすいということになります。
ですから、社長は「限度額までどれくらいの余裕があるか」を把握しておくことが大切です。
この点、必ずしも8,000万円が限度ではありませんので気をつけましょう。8,000万円は制度上の上限であり、個々の会社の規模や状況によって、実際の限度額が決まります。
ここでの目安を示すのであれば、年間売上高の3割〜5割くらいです。たとえば、自社の年間売上高が1億円だとすると、3,000万円〜5,000万円くらいが限度になるものと考えます。
そのうえで、現状すでに保証付き融資の残高が2,000万円だとすれば、残りは1,000万円くらい、多くても3,000万円くらい、ということになるわけです。
繰り返しになりますが、保証付き融資は借りやすい融資です。信用保証協会の保証がないプロパー融資に比べれば、銀行は貸しやすく、会社は借りやすい。だとすれば、いざというときのために温存をしておくべき融資でもあります。
プロパー融資には制度上の限度額はありませんから、できるだけプロパー融資を受けられるようにしつつ、保証付き融資に余裕を残しておくのが、デキる社長の銀行対応です。
なお、保証付き融資にどれくらいの余裕があるかは、銀行担当者をとおして教えてもらえることもあります。絶対に教えてくれるわけではありませんが、いちど聞いてみるのもよいでしょう。
過去最高残高の範囲内
銀行は、いちど融資をしたことがある残高までは、融資がしやすいものです。貸した実績があり、その後に返済の実績があるからです。
たとえば、3,000万円を借りたことがあり、その後、毎月の返済が滞りなく続いているのであれば、その会社は3,000万円を返済できるだけのチカラがある、ということになります。
だから、いちど融資をしたことがある残高までは融資がしやすい。会社としては借りやすいわけです。
だとすれば、社長がすべきことは何かがわかるでしょう。各取引銀行ごとに、過去最高の借入残高がいくらであるかを把握することです。具体的には、借入残高の推移をまとめておくことをおすすめします。それがあれば一目瞭然です。
そのうえで、社長が理解をしておくべきこと。それは、過去最高の借入残高を超えて融資を受けようとするのであれば、難易度が上がることです。
銀行としては、貸した実績・返済の実績がありませんから、融資をするにも慎重になります。結果として、審査は厳しくなるので、審査に時間がかかったり、求められる書類が増えることもあるでしょう。
そこもふまえて、過去最高の借入残高を超えて融資を受けようとするのであれば、自社の業績が良いときを狙うことです。逆に、業績が悪いときでは、銀行は怖くて融資ができなくなってしまいます。
ですから、社長はふだんから借入残高の推移を見つつ、自社の業績が良いときを見逃さず、過去最高の借入残高を超えるような融資にチャレンジができるとよいでしょう。チャレンジが成功すれば、以降は、過去最高の借入残高が引き上げられるわけですから、将来の資金繰りにプラスです。
支店長決裁の範囲内
融資を依頼したときに、誰に決裁権限があるかといえば、基本的には支店長です。ただし、支店長が決裁できる金額にも限度があります。では、その限度を超えたらどうなるか?
本部決裁です。となると、支店長決裁よりも難易度は上がります。本部は、「回収不能をいかに少なくするか」が仕事だからです。よって、支店長決裁の限度を超える額の融資は、受けにくくなることを理解しておきましょう。
では、支店長決裁の限度とは、具体的にどれくらいなのか?ひとことでいえば、ケースバイケースです。銀行によるし、支店にもよるし、状況にもよります。
ただ、ここでもあえて目安を示すのであれば、信用金庫や小さな地方銀行の支店であれば、プロパー融資で1,000万円くらい。大きな地方銀行であれば、3,000〜5,000万円くらいといったイメージです。都市銀行ともなれば、1億円ということもあります。
実際の金額については、ハタから見ているだけではわかりませんので、銀行担当者に聞いてみるのは1つの方法です。絶対秘密というわけでもないので、場合によっては教えてもらえます。
ちなみに、いつもいつも支店長決裁の範囲内にとどめておけばよいのか?といえば、そうでもありません。会社が大きくなれば、必要なおカネは多くなるものです。
そうなると、支店長決裁の範囲内の融資では足りない、ということもあるでしょう。つまり、本部決裁の融資も必要になります。ですが、本部決裁の難易度が高いことは前述しました。
だとしたら、自社の業績が良いときにチャレンジすべきであることがわかります。業績が良いタイミングがあれば、「あえて」本部決裁にチャレンジをしてみる。成功すれば実績になりますから、以降の融資も受けやすくする効果があります。
まとめ
銀行融資を受けたいのだけれど、「わが社が借りやすいのはいくらまでなのか?」と社長が疑問におもうことはあるでしょう。というわけで、借りやすい金額の目安を列挙してみました。
あくまで目安ではありますが、なんの目安もないよりはずっと検討しやすくなるはずです。見当外れに大きな金額の融資を依頼したりしないように、目安も押さえておくことをおすすめします。