じぶんは口下手だから…と、銀行対応に悩みを抱えている社長がいます。でも、大丈夫。社長は口下手であっても、銀行員に嫌われたり、融資が受けられなくなることはありません。その理由とは?
そんな気休めを言われても困る。
銀行対応について、「じぶんは口下手だから…」という悩みを抱えている社長がいます。もともと、人前で話をするのが苦手だ、相手が銀行員ともなれば緊張でよりうまく話せない、みたいな。
でも、大丈夫です。口下手だからといって、必ずしも銀行員に嫌われることはありませんし、口下手だからといって、必ずしも融資が受けられなくなるわけでもありません。
いやいや、そんな気休めを言われても…と、おもわれるかもなので。社長は口下手でも銀行対応は大丈夫だといえる理由をお話ししてみることにします。おもには、次のとおりです↓
- 話が軽くならないから
- 書類でカバーできるから
- ナビゲーターを頼ればよいから
それではこのあと、順番に解説をしていきます。
社長は口下手でも銀行対応は大丈夫な理由
話が軽くならないから
口下手の反対を、口達者とするのであれば。口達者に越したことはない、とおもわれるかもしれません。ところが、「口達者の社長に対しては、警戒する」という話を、複数の銀行員から聞いています。
わかりやすくいえば、「口達者=口先だけ」の可能性があるからです。実際に、口がうまいだけの人はいるものでしょう。銀行は、そこを警戒しているわけです。
相手が銀行員であっても、立て板に水のごとく話ができる社長がいます。ところが、その話が「事実」であるかどうかは、別のハナシです。あたかもスゴい業績であるかのように聞こえたが、決算書を見たら大赤字だった…とか。
なにやらスゴく将来性があるように聞こえるが、根拠については何も言及されていない…とか。では、銀行員と話をするうえでは何が大切なのか?
ここまでの話を聞いて、すでにお気づきかもしれませんが。いちばんは「誠実さ」です。大風呂敷を広げるのではなく、ありのままの事実を伝えるという意味での誠実さ。これは、わたしが勝手に言っているのではなく、やはり複数の銀行員から聞いたことです。
ウソをつく、隠しごとをするのはもってのほかだとしても、事実を歪めて伝えることもまた誠実さに欠ける行為だといえます。
その誠実さに加えて、大切なのが「根拠」です。なぜ、そう言えるのか。常に根拠が不足する話をする社長がいます。いくら話がうまくても、銀行員には通用しません。話が軽いなぁ、とおもわれておしまいです。
逆に口下手であっても、根拠がしっかりしていれば、話には重みがでます。結果として、銀行員からの信用をえられて、能力的な評価もしてもらえるのが利点です。
繰り返しになりますが、銀行対応では「誠実さ」と「根拠」を大事にしましょう。
書類でカバーできるから
あくまで、わたしの経験則ですが。口達者な社長よりも、口下手な社長のほうが、銀行対応にあたって、書類を用意する割合が高いように感じています。
話をするよりも、文書にするほうが得意だ、ということがあるのかもしれません(余談ですが、わたしもそのタイプです)。であれば、口下手も書類でカバーできることはあるでしょう。
銀行と話をするときでも、書類があれば、それを見ながらそれに沿って話ができますから、「なにを話せばよいかわからない」とか「緊張でアタマが真っ白になってしまった」といったことも回避できます。
すると安心もできますから、リラックスできて、口下手なりにうまく話せたぞ。ということもあるはずです(またまた余談ですが、わたし自身も実体験しています)。
なので、口下手だと自覚するなら、書類でカバーすることも考えてみましょう。なお、銀行員から見ても、書類は歓迎されるものだったりします。なぜなら、跡に残るからです。
ただ話を聞くだけでは、言った言わないになることはありますし、銀行員が記録をとるにしても、すべての記録を正確にとりきれるかもわかりません。ですが、書類があればそこを補完できます。
ただし、分量には気をつけましょう。あまりたくさんの書類になると、銀行員も見るのがタイヘンですし、かえってメンドーにもなってしまいます。書類はコンパクトにまとめるのがコツです。
ちなみに、口上手な社長は、あまり書類を用意しない傾向にある、というのも経験則です。「じぶんがきちんと話をすれば、すべて伝えられる」と考えているからだと推測をします。
ですが、言った言わないになったり、銀行員の記録に問題が生じうることについては、前述したとおりです。なので、口上手な社長であっても、あわせて書類を準備することをおすすめしています。
ナビゲーターを頼ればよいから
いざ、銀行員と話をする場面になると、「やっぱり、何を話せばよいかわからなくなってしまう」という社長はいるものです。
この点、銀行から聞かれたことに答えればいいのだ、とのアドバイスもありますが。聞いたことに答えているだけでは、「伝えられるとよいこと」が伝わらずに、会社側が損をすることもあります。
銀行員にも、資質・能力の差がありますから。すべての銀行員が、聞くべきことを聞いてくれるかどうかはわかりません。
また、聞いてくれたとしても、「はたしてどこから回答すればよいものか」と、話の順序に苦慮してしまうのが口下手な人の特徴でもあります。では、どうするか?
ナビゲーターに頼る、という方法があります。たとえば、顧問税理士に同席をしてもらい、会話の流れを整理してもらうわけです。すると、口下手でも話がしやすくなるでしょう。
ただし、ナビゲーター選びには注意が必要です。顧問税理士が銀行対応について理解が不十分であれば、とんちんかんなナビゲートをしてしまうことはありえます。
また、ナビゲーターの役割をとおり越して、まるでじぶんが社長であるかのごとく、話の主導権をとってしまうようでは本末転倒です。これは、銀行が第三者の同席を嫌う理由でもあります。
なので、ナビゲーター選びはくれぐれも慎重に。社長をさておき、ナビゲーターであるはずの税理士が、銀行とケンカをはじめてしまった…などというハナシも聞いています。
完全なるポジショントークを承知で申し上げますが、ふだんから銀行融資や銀行対応について発信をしている人のほうが、ナビゲーターとしての適性は高いことが多いでしょう。あくまで確率論ですが、ご参考まで。
まとめ
じぶんは口下手だから…と、銀行対応に悩みを抱えている社長がいます。でも、大丈夫。社長は口下手であっても、銀行員に嫌われたり、融資が受けられなくなることはありません。
その理由について、お話をしてきました。理由をよく理解して、じぶんの口下手をカバーできるようにしていきましょう。銀行対応に、自信が持てるようにもなるはずです。
- 話が軽くならないから
- 書類でカバーできるから
- ナビゲーターを頼ればよいから