銀行からスムーズに融資を受けるためには、良い銀行対応が欠かせません。この点で、事前の準備が9割だといったら、言い過ぎだとおもわれるでしょうか。いいやそうでもない、というお話です。
準備が9割、と言えるワケ。
銀行から融資をスムーズに受けるためには、「良い銀行対応」ができるかどうかがポイントです。では、良い銀行対応とは?
端的に言えば、事前の準備です。融資を銀行に依頼する前に、どれだけの準備ができているか。これで9割決まる!と言ったら、さすがに各所からお叱りを受けるかもしれませんが。
とはいえ、けして無責任に言っているのではなく、あながち過言というわけでもないだろうと考えています。わたし自身、銀行融資支援の現場で実体験もしているところです。
つい先日も、支援をさせていただいたお客さまが、準備した書類を持参して面談に行くと、担当の銀行員から「この段階で、ここまで準備して来られる方はいない」と驚かれた、と聞きました。
もちろん、良い意味での驚きです。言い換えると、ここまで準備をしてくる相談者はいない、いてもごく少数だ、ということになります。
準備ができるのは、計画的な考え方を持っているからであり、文書化できる能力があるからであり、それは「経営者としての資質や能力が高い」ことのあらわれでは?というのが銀行の見方です。
結果として、融資審査においてはプラス材料になります。事実、準備ができる社長というのは、勉強熱心であったり、必要な手間を惜しまないものなので、おカネ管理もお上手なものです。
銀行員も経験則としてそれを知っていますから、準備ができる社長に対しては好感をいだきます。そう考えると、社長が銀行員にあたえる心象も大切です。
結局のところ、銀行対応も「ヒト対ヒト」なので、心象は融資審査の可否を左右するものといえます。だって、目の前の銀行担当者が「この社長は嫌いだ」と考えたら、積極的には動いてくれない可能性は高まることでしょう。
逆に、「この社長は好きだ」とおもわれれば、融資に向けて一生懸命に動いてもらえる可能性が高まります。これが、さきほど「準備で9割決まる」と言った理由です。
たとえ、対AIになったとしても。
いやいや、でもさぁ、これからは融資審査の場にも、AIが導入されていくというハナシがありますよね。そうなったら、準備に対する「心象」など役に立たないのでは?と、おもわれるかもしれません。
心象とはヒトがいだくものであって、AIがいだくものではないからです。たしかに、心象についてはそのとおりでしょう。ですが、代わりに「確率論」があります。
もし、「事前の準備をする社長の会社は、資金繰りの安全度が高い」というバックデータがあったとしたらどうなるか?社長が銀行に準備した書類(情報)を提供することで、確率論に基づいて、より確実に評価してもらえることになります。
そこには、ヒト対ヒトのように「主観」はないからです。AIは「客観(確率論)」でもって評価をします。だとすると、今後はむしろ「準備が9割」どころか「準備が10割」なのではないか?
まぁ、さすがに10割は言い過ぎにしても、ヒト対ヒトのときと変わることなく、「準備」も評価してもらえるものと考えます。
なにが言いたいのかというと、これまでもこれからも、事前の準備は大切だということです。融資の可否は、依頼をする前の準備で、あるていどの勝負はついてしまうものと理解しておきましょう。
では、具体的にどのような準備が必要なのか?くわしくは、わたしがこれまでブログのなかでいろいろと書いてきましたので、そちらも参考にしていただければとおもいます。
それはそれとして、「一般的」なものとして挙げるのなら次のとおりです↓
- 直近の試算表
- 資金繰り表(実績3ヶ月+予定12ヶ月がおすすめ)
- 借入金一覧表
- 会社・事業概要(最新情報に更新しておくこと)
- 商品・サービス案内(現物を見せたり、体験してもらうのもGood)
すべては準備できないにしても、「できるだけでも準備する」ことに努めましょう。
銀行融資は相対評価だからこそ
さきほどから、銀行対応は「準備が大事だ」と言っています。ここでもう1つ、準備が大事である理由を挙げてみることにします。それは、「銀行融資は相対評価だから」です。
言い換えると、銀行融資は絶対評価ではありません。ハタ目には絶対評価に見えるかもしれませんが、実際はそうではない。事実、良い会社がたくさんあったとしても、すべての会社に際限なく貸せるものではありません。
なぜなら、貸せる額にも限度があるからです。よって、実質的には「良い会社から順に借りられる」ことになります。銀行(支店)は、その営業エリア内にある会社のなかで、良い会社から順に融資をしようと考えているわけです。これを絶対評価とは呼べません。
だとしたら、社長が考えるべきは「他の会社ができていないことをやる」ことだとわかるでしょう。それが実現できれば、良い会社として優先的に融資を受けやすくなります。
では、他の会社ができていないこととは?もうおわかりのとおり、事前の準備です。ほとんどの会社ができていないことの1つが事前の準備なのですから、それをできるようにすればいい。
ちなみに、事前の準備はけして難易度が高いものではありません。少なくとも、会社が窮状におちいってから融資を受けようと奮闘するよりははるかにカンタンです。
にもかかわらず、多くの会社・多くの社長は、事前の準備を怠っています。いまのところ(たぶんこれからも)、願ってもないチャンスだといえます。
というわけで、周囲の会社・周囲の社長を見てみましょう。そのうえで、周囲ができていないことをやってみる。と言っても、奇抜なことをやれというハナシではありません。
事前の準備があらわすように、けして奇抜なことではなくて、むしろ「あたりまえにすべきこと」であったりします。そのあたりまえができないのは、あたりまえが何なのかを社長が理解していないからであり、あたりまえの重要性もまた理解していないからです。
銀行融資は相対評価。実は、周囲の会社とのあいだに、見えない戦いがあることを覚えておきましょう。
まとめ
銀行からスムーズに融資を受けるためには、良い銀行対応が欠かせません。この点で、事前の準備が9割だというお話をしてきました。
一見すると、言い過ぎだとおもわれるかもですが。いいやそうでもない、といえる理由があります。銀行員がいだく心象であっても、AIの確率論であっても、準備は大事な要素になるからです。
加えて、銀行融資は相対評価であることを忘れてはいけません。他社ができないこと、怠っていることを、あたりまえにやっていきましょう。