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「自社は無借金のつもり」が生む弊害

「自社は無借金のつもり」が生む弊害

無借金経営を好む社長がいます。だから、銀行借入はしない。いっぽうで、買掛金や未払金があるのだとしたらどうなのか?それって「無借金のつもり」にすぎず、弊害があるのでは…というお話です。

目次

借金=なんらかの負債

無借金経営を好む社長がいます。もちろん、借金がないに越したことはありません。ですが、銀行からの借入がないことをもって、「自社は無借金」だというのであれば、それはちょっと違います。

借金とは、銀行借入だけではないからです。えっ、なに言ってんの?と、おもわれるかもしれませんが。「借金=なんらかの負債」と捉えるのであれば、借金にもいろいろあることがわかるでしょう。

最たるものが、買掛金です。買掛金とは、仕入代金の支払いを相手に待ってもらっている金額をいいます。つまり、払うべきものをまだ払っていないという点で負債なのであり、仕入代金を支払うためのおカネを借りているようなものです。

だとすれば、買掛金もまた「実質的には借金」だといえます。にもかかわらず、銀行借入がないことをもって、社長が「自社は無借金」のつもりでいると、おもわぬ弊害を抱えることになるので気をつけなければいけません。

では、具体的にどのような弊害があるのか?

買掛金が多いと利益が減る

買掛金の話を続けます。7万円の商品を仕入れて、10万円で売る、というビジネスをしているとして。このときの利益は3万円です。利益率にすると30%になります。

自社ではこれまで、商品をツケ払い(買掛)で仕入れてきました。では、社長が「即金払いにするので、値段を下げてほしい」と仕入先に価格交渉をしたらどうなるか?

仕入先としては、資金繰りがラクになることから、交渉に応じてもらえる可能性があります。つまり、即金払いに変更することで、仕入が安くなる。ひいては、利益が増えるかもしれません。

では仮に、交渉によって「即金払いであれば、5%割引」との条件を引き出せたとしたらどうでしょう。仕入価格は、7万円から66,500円になります。利益としては、3,500円増えるわけです。

なお、利益率としては33.5%になります(33,500円÷10万円)。もし、100万円分の商品を売るとしたら、利益が35,000円増えて、1,000万円分の商品を売るとしたら、利益が35万円増える…と、考えたらどうでしょう。

けしてバカにはならない割引であり、利益増加であるとおもうはずです。ウラを返すと、ツケ払いにすることで買掛金が増えれば、利益が減少することになります。

とはいえ、即金払いとなれば、それだけのおカネが必要になります。資金繰りが厳しくなるのだから、それだったらツケ払いのほうがいい。と、考える社長がいます。

ではここで、1,000万円分の商品を売るための仕入代金665万円(即金払いの場合)を、銀行から借入するとしたらどうでしょう。

仕入代金の割引額 > 銀行への支払利息額

現状、世の中は低金利であり、銀行からの借入金利もそれほど高いものではありません。665万円を借りるときの金利は、高くても3%(信用保証協会への保証料を考慮しても)ていどでしょう。

自社の業績がよければ、1%を切ることも可能ですし、1%〜2%くらいは十分に現実的です。そのうえで、もういちど、仕入代金の即金払いによる割引額を考えてみましょう。

665万円については、いちど借りて返済を据え置くことができれば(短期継続融資という借りかたができれば可能です)、その後の仕入代金はずっと、即金払いで割引の恩恵を受け続けることが可能です(仕入が665万円より増えなければ)。

だとしたら、銀行への支払利息額を考えても、仕入代金の割引額のほうが大きくて、利益が増えるメリットがあるとわかります。

逆に、借入をせずに、ツケ払いをし続けることは、増えるはずの利益を逃していることになるわけです。これは、買掛金に限らず、その他の経費のツケ払い(未払金)についても変わりません。

買掛金や未払金も、借入金と同じ負債であり、いうなれば「同じ借金」です。ところが、かたや借入金には利益を増やすメリットがあり、かたや買掛金・未払金には、そのメリットがないとしたらどうでしょう。

銀行借入をしないことで「ウチは無借金経営だ」と考えることに、問題を感じるはずです。

つまり、買掛金や未払金という負債がありながら、銀行借入がないことだけをもって「無借金」だというのは、本質的には間違っていることになります。「無借金のつもり」にすぎない、ということです。

経営者保証を恐れる社長の誤解

ここまでの話を聞いて、「いやいや、銀行借入をすれば、経営者保証を取られるでしょう?」と、おもわれるかもしれません。

仮に665万円を借りるときに、銀行から「社長が連帯保証人になってください」と言われるということです。すると、会社が返済できないときには、社長個人にまで返済義務が及びます。

たしかに、銀行が経営者保証を取ることはありますし、これまではそれがあたりまえだという状況がありました。ですが、その状況は確実に変わりつつあります。

金融庁からの要請もあり、銀行は経営者保証をなくす方向にむかっているのです。いまでは、新規融資のうち3割ていどは、経営者保証なしとのデータも公表されています。

これからはますます、その割合も上がっていくでしょう。結果として、経営者保証なしで借入することができるとしたら、買掛金・未払金と、銀行借入の差はほとんどありません。

相手が銀行か、銀行じゃないかの違いくらい、ということになります。だったら、前述した利益のメリットがある銀行借入のほうがいいのではないか?との考え方もできるでしょう。

繰り返しになりますが、買掛金・未払金も、銀行借入も同じ負債であり、同じ借金だといえます。買掛金・未払金があるかぎり、実質的には「無借金」とはいえません。

だとしたら、買掛金・未払金を銀行借入に置き換えることも検討してみるとよいでしょう。

まとめ

無借金経営を好む社長がいます。だから、銀行借入はしない。いっぽうで、買掛金や未払金があるのだとしたらどうなのか?それって「無借金のつもり」にすぎず、弊害があるのでは…というお話をしました。

銀行借入のメリット、銀行借入と買掛金・未払金との違いを理解することで、「無借金のつもり」から脱却できるようにしましょう。

「自社は無借金のつもり」が生む弊害

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