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納税嫌いな社長におすすめすること

納税嫌いな社長におすすめすること

納税を嫌いすぎる社長がいます。すると、資金ショートによって、ひいては倒産につながる可能性が高まります。そうはならないように、納税嫌いな社長におすすめすることについてのお話です。

目次

納税が好きなヒトなどいない。

納税を嫌う社長がいます、と言うと。「いやいや、納税が好きなヒトなんていないでしょ?」と、おもわれるかもしれませんが。納税を嫌いすぎることには問題があります。

何が問題なのか、くわしくは後述するとして。端的に言うのであれば、「納税を嫌いすぎると、会社の資金繰りが悪くなる」のです。ひいては、資金ショートの可能性が高まります。

いうまでもなく、資金ショートは倒産につながるものであり、避けるべき状況です。

というわけで、納税嫌いな社長が、納税嫌いを少しでもやわらげるためにおすすめすることを、このあとお話ししてみることにします。次のとおりです↓

納税嫌いな社長におすすめすること
  • 納税予測をしておく
  • 借入をして納税する
  • 決算書への影響を理解する

これらについて、順番に解説をしていきます。

納税嫌いな社長におすすめすること

納税予測をしておく

あたらしい期がはじまる時点で、納税予測をしておくことをおすすめしています。つまり、今期の利益を計画して、その結果、どれくらいの納税額になりそうかを予測するということです。

たとえば、300万円の納税が予測されるとします。そのうえで決算を迎えるのと、何の予測もなしに決算を迎えて、突然に300万円の納税に直面するのとでは、社長の心持ちも変わるものです。

あらかじめ予測をしておくほうが、していな場合に比べて、心の準備ができている分だけ、納税を受け入れやすくなるでしょう。ところが、割合でいえば、多くの社長は納税予測をしていません。

すると、どうなるか?

決算直前になって、納税額を減らすために、利益を減らすことを考えます。よし、クルマを買おう!とか、飲み食い(交際費・厚生費)に使おう!とか。たしかに、それも1つの方法です。

費用を増やせば利益が減るので、納税額は減ります。ただ、費用としておカネは出ていくので、費用を増やすまえよりも、あとのほうが、手元に残るおカネは少なくなることに気づきましょう。

減った納税額以上に、おカネは減るということです。

将来の利益につながる費用を増やすのはよいですが、税金を減らすために費用を増やすのは「悪手」であることを、社長は理解しておきましょう。良い費用と、悪い費用があるのです。

とはいえ、いざ突然に多額の納税額を前にすると、うっかり悪い費用を増やしてしまうのがヒトでもあります。そうはならないように、納税予測をしておくことで、心の準備をしておきましょう。

はじめから「納税額は〇〇万円」とわかっていれば、そのためのおカネを算段しておくこともできるはずです。なお、納税額の予測がよくわからなければ、税理士に相談をしてみましょう。

予測が間違っていたのでは、元も子もなくなってしまいます。

借入をして納税する

納税額がわかれば、そのためのおカネを算段しておくこともできる、と言いました。この点、自己資金だけではなく、銀行から借入をすることも検討してみましょう。

いやいや、借りてまで納税するなんてヘンでしょ?と、おもわれるかもしれませんが。ちっともヘンではありません。むしろ、ムリをしてまで自己資金で納税するから、資金繰りがヘンになるのです。

たとえば、300万円の納税をする場合。自己資金でいちどに納税をすれば、手元のおカネは300万円減ります。その分だけ資金繰りが悪くなる、ということです。それがイヤなので、社長は納税を嫌うことになります。

では、300万円を借入して、納税をするとしたらどうでしょう。借りて払うのですから、手元のおカネは減りません。

その後、300万円を毎月少しずつ返済していくのだとすれば、税金を分割払いしているのと同じ効果を得られます。すると、資金繰りがラクになることがわかります。これなら、社長も納税を嫌いすぎることはないはずです。

つまり、納税嫌いは「資金繰りが悪い」と助長されるのであり、逆に、「資金繰りが良い」と軽減されるものだといえます。なので、納税に借入を活用することをおすすめもしています。

なお、納税のためのおカネは、納税の直前に借りることもできますが、期のはじめに「運転資金」として借りておくことができると安心です。

業績が良い会社であれば、「年間返済額+α」の金額を借りることは可能なので、「+α」の部分に予測した納税額を織り込んで、銀行に融資を依頼してみましょう。

決算書への影響を理解する

納税をすることによって、決算書にはどのような影響があるのか?と聞かれて、社長は答えることができるでしょうか。意外と、答えられない社長が少なくありません。

その影響とは、「純資産(自己資本)が増える」ということです。納税をすることによって、純資産を大きくすることができます。財務指標でいうと、自己資本比率が良くなります。

たとえば、1,000万円の利益が出て、300万円の納税額になったとすると、税引後利益は700万円です。結果、貸借対照表の「利益剰余金」が700万円増えます。

利益剰余金とは、純資産を構成する勘定科目の1つであり、創業から現在までの「利益剰余金の累積額」であることを理解しておきましょう。だから、税引後利益が増えると、利益剰余金も増えます。

逆に、税引後利益がマイナスになるとどうなるか。当然、利益剰余金もその分だけ減ります。すると、純資産が減ることとなり、債務超過(純資産がマイナス)に近づくのが問題です。

以上をふまえて、なにがわかるのか。それは、「納税をしなければ、決算書は良くならない」ということです。

繰り返しになりますが、納税をするから利益剰余金が増えるのであり、納税をしなければ利益剰余金は増えません。利益剰余金を増やしたければ、納税をするほかないのです。

だとすれば、納税を嫌うということは、「決算書を良くしたくない」と言っているのと同じであり、社長としてはおかしなハナシになってしまいます。

だから、納税を嫌う社長を、銀行が好まないことも覚えておきましょう。銀行の前で「納税嫌い」をクチにしているようだと、融資は受けにくくなるものです。すると資金繰りにも悪影響です。

まとめ

納税を嫌いすぎる社長がいます。すると、資金ショートによって、ひいては倒産につながる可能性が高まります。そうはならないように、納税嫌いな社長におすすめすることについてお話をしました。

意外と知らずにいる・できずにいる社長が多いので、ぜひ押さえておきましょう。

納税嫌いな社長におすすめすること
  • 納税予測をしておく
  • 借入をして納税する
  • 決算書への影響を理解する
納税嫌いな社長におすすめすること

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