週刊/税理士ジョーの銀行融資マガジン 購読受付中

借入金利が上がったときに銀行融資・銀行対応の選択肢

借入金利が上がったときに銀行融資・銀行対応の選択肢

日銀がマイナス金利解除をした場合、銀行借入の金利が上がります。だとすれば、社長も無関心ではいられません。そこで、銀行融資・銀行対応の選択肢についてお話しします。

目次

そろそろ考えておいたほうがいいでしょう。

最近では、日銀の「マイナス金利解除(金融政策の変更)」の時期が話題になっています。解除が実現すれば、銀行借入の金利が上がるのですから、会社も社長も無関心ではいられません。

というわけで、借入金利が上がったときにどうするか?銀行融資・銀行対応の「選択肢」を挙げてみることにします。あくまで選択肢ですから、必ずしもそうする必要はありませんが。

自社の銀行融資、自社の銀行対応を、社長が考えるうえでのご参考になれば幸いです。おもな選択肢は、次のとおりになります↓

借入金利が上がったときに銀行融資・銀行対応の選択肢
  • 固定金利にする
  • 躊躇せず借りる
  • 預け先の見直し

それではこのあと、順番に確認していきましょう。

借入金利が上がったときに銀行融資・銀行対応の選択肢

固定金利にする

会社が銀行から借入をする場合、多くは「変動金利」を選択していることでしょう(選んだつもりはなくても、変動金利になっているケースを含めて)。

では、変動金利しか選択できないのかといえば、そうではありません。会社の借入についても、個人の住宅ローンと同じように、固定金利を選択することは可能です。

マイナス金利が解除されれば、変動金利が上がるわけですが、だとすればどうするか?固定金利に変えたほうがよいのでは…と、考えることでしょう。では、いつ変えればよいのか?

実際に、変動金利が上がりはじめたら変えればいっか。というのは、ひとつの考え方です。ただし、変動金利が上がりはじめているときには、固定金利も上がっている可能性があります。

つまり、いまの固定金利よりも、変動金利が上がりはじめたときの固定金利のほうが高いかもしれない(その可能性は高いはず)、ということです。だとすれば…

いまのうちから、固定金利に切り替えておく。ということが、選択肢のひとつになります。ただし、将来の金利を正確に言い当てることはできません。

せっかく、いま、固定金利に切り替えたとしても、その後しばらく、それほど変動金利は上がりませんでした…ということもありえます。ゆえに、「固定金利への切り替え」は選択肢にすぎません。

いっぽうで、選択肢ではあるのですから、まずはいちど検討しつつ(固定金利で借りると何%になるのか、銀行担当者に聞いてみるなど)、その後も常に、選択肢としてアタマのすみにはおいておく、というのがよいでしょう。

躊躇せず借りる

マイナス金利が解除されると借入金利が上がる、という話をしました。実際に借入金利が上がると、社長は利息の支払いが増えるのを惜しんで、借入を躊躇するケースが増えるでしょう。

が、わたしはそれをおすすめはしません。金利が上がったとしても、いままでどおり、借りられるときに借りられるだけ借りておくことをおすすめします。

そもそも、世の中の金利が上がるということは、その背景にあるのが「好景気」です。だとすれば、自社の売上や利益も増えていくことが前提になります。もし、売上も利益も増えません…となれば、それは商売としてうまくない、ということになるでしょう。

では、自社が好景気の波に乗り、売上や利益が増えるとどうなるか?売掛金や在庫なども増えていくことから、必要な運転資金も増えていきます。放っておくと資金繰りが悪くなるため、借入をすることで資金繰りの安定をはかることが不可欠です。

で、借入をすれば、金利が上がっているので利息負担は増えますが、利益も増えているのですから、利息負担の増加分をじゅうぶんに吸収することができるでしょう。

たとえば、年間売上高5,000万円の会社が、1,000万円借りるとして。これまでよりも金利が1%上がっていれば、金利負担の増加分は年間10万円です。

いっぽうで、好景気の波に乗って利益を増やしていますから、利益率も1%上がっているとすれば、利益の増加分は年間50万円になります。というわけで、利息が10万円増えても問題はありません。

ウラを返すと、世の中の金利が上がっているのに、自社の利益率が上がらないのはマズい、ということです。もし、「借入金利 > 自社の利益率」ならば、事業をやめて、何かしらの投資商品で運用したほうがよくない?ということにもなってしまいます。

預け先の見直し

最近、銀行業界では「金利のある世界」というワードが旬です。繰り返しになりますが、マイナス金利の解除が迫り、実現すれば、金利が上がっていく。すると、これまでのような「わずかな金利」から解放されます。

であれば、銀行は貸出金利が増えますから、貸せば貸すほどもうかる!ということであり、「いかに貸すか、いかに金利を上げるか(取引先の了承をえるか)」を思案しはじめている状況です。

この点で、すでに「預金獲得競争」がはじまっています。預金をあつめることができれば、それが貸し出しの原資になるので、よりたくさんの融資ができるようになるからです。

実際に、融資が増えれば、金利が上がっている分だけもうかります。もちろん、預金金利も上がりますが(銀行からするとコストが増える)、貸し出し金利ほどは増えません。

なので、世の中の金利が上がると、銀行のもうけ(利ざや、といいます)は増えやすくなるわけで、だから銀行は、預金をあつめたくもなるわけです。

であれば、社長が考えるべきことはわかるでしょう。

そうです、自社の預金を「交渉材料」にして、銀行対応をすることです。たとえば、「預金をA銀行から御行に移すので、プロパー融資を検討してもらえませんか?」とか。

経営者保証を外してもらうよう、交渉をするのもよいでしょう。というように、銀行が預金をほしがる状況においては、預金を交渉材料にして、融資条件の改善をはかりやすくなります。

社長は、預金の預け先の見直しが、選択肢のひとつになることを覚えておきましょう。

まとめ

日銀がマイナス金利解除をした場合、銀行借入の金利が上がります。だとすれば、社長も無関心・無対応・無対策ではいられません。というわけで、銀行融資・銀行対応の選択肢についてお話ししました。

あくまで選択肢ですから、必ずしもそうする必要はありませんが。自社の銀行融資、自社の銀行対応を、社長が考えるうえでのご参考になれば幸いです。

借入金利が上がったときに銀行融資・銀行対応の選択肢
  • 固定金利にする
  • 躊躇せず借りる
  • 預け先の見直し
借入金利が上がったときに銀行融資・銀行対応の選択肢

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

良い記事があればシェア
  • URLをコピーしました!
目次