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身近に起きた災害から学ぶべきたった1つのシンプルな財務戦略

身近に起きた災害から学ぶべきたった1つのシンプルな財務戦略

2024年は、大きな地震からはじまりました。身近に起きた災害から学ぶべきたった1つのシンプルな財務戦略について、「あらためて」お伝えしてみることにします。

目次

学ばねばならないタイミングがある

きょうは、2024年1月10日。大きな地震からはじまった1年も、10日がたちました。そんないま、身近に起きた災害から学ぶべきたった1つのシンプルな財務戦略について、お話をします。

とはいえ、けして真新しい内容ではありません。これまでも、わたしは何度も何度も、言い続けてきたことを「あらためて」お伝えするだけです。

が、こんなときだからこそ、身近に起きた災害を「教訓」として、お伝えすることもできるのではないか、と考えています。何ごとにも、学ばねばならないタイミングというものはあるはずです。

災害は辛いものですが、だからこそ学ぶ機会になります。幸いにも直接被災を免れた人たちこそ、学ぶ機会にしなければなりません。それが、被災をされた方々の心痛に応える行為になるものとも考えています。

では、あらためて。身近に起きた災害から学ぶべきたった1つのシンプルな財務戦略とは、いったい何なのか?ずばり、借りられるときに借りられるだけ借りておくことです。

このたびの地震はもちろん、かつての東日本大震災や、最近の新型コロナなど、突然の災害によって大きな被害をこうむれば、事業の立て直しに時間がかかることになります。

その時間をかせぐために必要なものが、おカネです。いざとなってからおカネを用意するのも大変なので、ふだん(平時のうち)から、借りられるときに借りられるだけ借りておきましょう。と、そういう話をしています。

でも、災害が起きれば、国や地方自治体による救済措置があるじゃないか。それらを利用すればよいのではないか。と、おもわれるでしょうか?

銀行もまた被災している

たしかに、災害が起きれば、さまざまな救済措置が講じられます。

たとえば、信用保証協会によるセーフティネット保証4号です。信用保証協会を利用した保証付き融資には、限度額があるものの、セーフティネット保証4号は通常の限度額とは別枠の限度額が設けられています。

そういう意味では、災害時にも借りやすい融資です。ところが、「すぐに借りられるか」どうかは別のハナシとなります。なぜなら、セーフティネット保証4号であろうと審査はあるからです。

審査には相応の時間がかかります。何より、審査のための人手が必要です。ここでいう人手とは、銀行員や信用保証協会の職員といった人たちを指します。もう、おわかりのことでしょう。

そういった人たちもまた被災をしている、ということです。被災した地域の生活者や会社が混乱しているのと同様に、銀行や信用保証協会も多かれ少なかれ混乱をしていることになります。

だとすれば、いつもどおりのスピード感で審査ができるものでもないでしょう。

先日のニュースでは、被災した金融機関の支店長が、支店の損壊状況について不安を漏らしていました。店内に書類は散乱し、停電や断水も起きている…まずは、その復旧作業からです。

混雑する窓口には並ぶな

よしんば、銀行や信用保証協会の機能が戻ったとして、それでも「すぐに借りられるか」どうかはわかりません。なぜなら、順番待ちが起きることもあるからです。

実際に、東日本大震災や新型コロナの際には、それが起きました。審査を受けるために、窓口には行列までできたのです。結果、申込みから着金まで数ヶ月を要したケースもあります。

このあいだに、手元のおカネが尽きてしまうようでは困ります。だから、あらかじめ、借りられるときに借りられるだけ借りておくことが「財務戦略」になるのです。

いざとなっても、手元におカネがあれば、窓口が混雑しているときには待つことができます。救済措置で借りるにしても、窓口が落ち着いてから手続きをすればいいのです。

ちなみに、順番待ちが起きると、銀行側は「優先順位」を付けざるをえません。どの会社から先に審査をするか、そこには何かしらの「差」が生じるということです。

この点、「ふだんからなじみのあるお客さまが先」という話を、銀行員の方から聞いたことがあります。言い換えると、ふだんから取引がない・少ない会社は後回し、ということです。

当然といえば当然でしょう。なじみのある会社については、ふだんから情報を持っている分だけ審査がしやすい。にもかかわらず、なじみのない会社の情報を集めるのに時間をかけているようでは、救えるはずの会社も救えなくなってしまいます。

そういう意味でも、ふだんから借入をすることで、なじみの銀行をつくっておくことが大切です。

社長が倒れたらおしまい

借りられるときに借りられるだけ借りておきましょう、という理由がもうひとつあります。むしろ、これが一番の理由かもしれません。それは、「社長の負担を少しでも減らすため」です。

もし、ふだんから手元のおカネが不十分だと、災害時には、あわてて借入をしなければならなくなります。ところが、社長は「事業の復旧」に向けて、ほかにもすべきことは盛りだくさんでしょう。

もちろん、社長自身が被災者でもありますから、家庭・家族においてもすべきことはあるはずです。そんなときにまで、会社のおカネのことを考えたり、借入の手続きをしたりしたいですか?

したいはずがありませんよね。心労が余計に大きくなりますし、動かねばならないことが増えれば身体的な不安も大きくなります。結果、社長が疲弊をしたり、倒れてしまえば元も子もありません。

災害が起きたときに、社長ができる限りラクに、できる限り自由になるためには、「借りられるときに借りられるだけ借りておく」ことが大切だとわかります。

借りられるときとは、平時であり、さらにいえば「会社の業績がよいとき」です。そのようなときであれば、融資が受けやすいことを社長は知っていることでしょう。

融資が受けやすいということは、「借りられるだけ」の金額も大きくなります。業績がよいとき(=利益が大きいとき)ほど借りやすいこともまた、社長は知っているはずです。

だとすれば、「借りられるときに借りられるだけ借りておく」のは、何も難しいことではありません。あとは、実際に借りるかどうかだけです。

身近に起きた災害から学ぶべきたった1つのシンプルな財務戦略を、実行に移しましょう。

まとめ

2024年は、大きな地震からはじまりました。あすは我が身です。身近に起きた災害から学ぶべきたった1つのシンプルな財務戦略「借りられるときに借りられるだけ借りる」を忘れずに。

このたびの地震により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災されたすべての皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。

身近に起きた災害から学ぶべきたった1つのシンプルな財務戦略

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