会社の銀行融資に関連して、「借入で時間を買う」とは聞くけれど。それって、いったいどういうこと?わかっているようでわからない、抽象的なハナシを具体的にお話ししてみます。
まだ抽象的なので、もう少し具体的に
会社の銀行融資に関連して、「借入で時間を買う」という考え方があります。
ここでいう「借入」とは銀行融資のことであり、会社が銀行融資を受けることで時間が買える。つまり、本来かかる時間を節約できる。というのが、「借入で時間を買う」の意味するところです。
とはいえ、ハナシとしてはまだ抽象的なので、もう少し具体的に「借入で時間を買う」とはどういうことなのかを考えてみましょう。銀行融資の有効性を理解するきっかけにもなるはずです。
おもには、次のような点になります↓
- 利益でおカネを貯めるのは難しい
- 投資をすることで利益を増やせる
- 社長にも会社にも寿命がある
それではこのあと、順番に解説をしていきます。
借入で時間を買うとはどういうことか
利益でおカネを貯めるのは難しい
事業は山あり谷ありです。良いときもあれば悪いときもあります。悪いときには、おカネが必要です。たとえば、新型コロナの折には、多くの会社でおカネが足りなくなりました。
また、そこまで悪いときではなくとも、おカネが必要になることはあります。将来に向けて、投資をしようというときです。投資をしようにも、おカネがなければできません。
ゆえに、会社は、おカネを貯めることが大事になります。では、どのようにおカネを貯めればよいのか?ひとつは、利益を出すことです。大ざっぱにいえば、100万円の利益を出すことで、100万円のおカネが増えることになります。
そのうえで、500万円のおカネを貯めたいと考える場合にはどうでしょう。毎年100万円の利益を出せるとしても、5年かかることがわかります。といっても、事業は山あり谷ありであり、本当に100万円の利益が出せるかはわからず。
5年もあれば何が起きるかもわかりませんから、5年で500万円貯めるのは、かなりの未知数だといえます。いっぽうで、銀行借入をするのであればどうでしょう。
利益が100万円出ている会社であれば、500万円を借りることはけして難しくありません。銀行は、「利益=返済力」との見方をするものであり、500万円を5年で返済できると考えるのであれば、返済力としてはじゅうぶんです。
結果、銀行借入をすることで、いますぐに500万円を手にすることができるのだとしたら。会社は、5年という時間を節約できたことになります。5年後の状態を先取りできるわけです。
これって、とても大きなメリットではないですか?というお話です。おカネはあとから取り戻すこともできますが、いまこの瞬間の時間をあとから取り戻すことはできません。
投資をすることで利益を増やせる
さきほど、おカネが必要になる場面として「投資をしようというとき」を挙げました。いうまでもないことですが、会社の持続・成長において「投資」は欠かせません。
わかりやすいのは、設備投資です。既存製品はいつか飽きられるものでもありますが、あたらしい製品をつくるための設備を用意するとか。単純に老朽化した設備を更新することもあるでしょう。
これにより、将来にわたって利益を維持できたり、あるいは利益を増やしたりできるようになります。この点、設備投資を怠れば、いまはよくても、いずれ利益の減少が心配されるところです。
また、投資を広くとらえれば、商品開発、人材採用・育成といったことも含まれます。やはり、将来にわたって利益を維持したり、利益を増やしたりするためです。
いずれにせよ、投資にはおカネがかかります。まとまったおカネが必要です。ところが、利益だけでおカネを貯めようとするのが難しいことは、すでにお話をしました。
いっぽうで、銀行借入をすることで、いますぐに、まとまったおカネを手にすることができるのもお話をしたとおりです。では、具体例で考えてみます。
いま現在、利益100万円の会社があるとして。500万円の設備投資を検討しています。投資効果は、100万円の増益です。つまり、投資額を5年で回収する計画になります。
これにより、銀行から500万円を借りて設備投資を実行するとしたらどうでしょう。利益は200万円になります。利益が増えることで、銀行から借入がしやすくなるのもメリットです。
もし、追加で500万円を借りることができれば、そのおカネで投資をすることで、さらに利益を増やすこともできます。好循環です。これもまた、時間を節約できているということになります。
ところが、借入もせず、投資もできない会社と比較をしてみましょう。その差は大きくなるばかりであることがわかるはずです。
社長にも会社にも寿命がある
唐突ではありますが、人間には寿命があります。社長もまた人間ですから寿命があります。よって、限られた時間のなかで、会社を経営しているわけです。
だとすれば、できるだけ効率的に(時間をかけずに)、会社を成長させたいと考えるのも当然でしょう。いや別に、会社をそこまで大きくすることは考えていない、のだとしても。経営が順調であることを望むはずです。
にもかかわらず、目の前の資金繰りは厳しく、いつもいつもおカネの算段に時間を奪われ、おカネの心配に悩まされているのだとしたらどうでしょう。限りある時間は、「後ろ向き」なことに使われることになってしまいます。
結果、プライベートも含めて、社長がやりたいことをできないまま、寿命を迎えるのでは残念です。なので、人間の時間が限られているからこそ、借入で時間を節約するのも1つの方法だと考えてみましょう。
また、中小企業についてはよく、「社長=会社」だといわれます。実際に、「株主=社長」であり、社長と会社は一心同体なのが中小企業の特徴です。よって、社長の寿命は会社の寿命でもあります。
会社は、社員とその家族、取引先、お客さまといった、多くの人との関わりで成り立つものです。会社の寿命が尽きれば、それら多くの人にも影響が及ぶのですから、まずは社長が元気で長生きでなければいけません。
前述したような「後ろ向き」なことで、寿命をすり減らすのは避けたいものです。そのうえで、借入を活用しながら、会社の基盤を固め、後継者を見つけることができれば、会社の寿命を伸ばすことができます。
後継者を見つけるにも、会社の状態が良くなければ、引き受け手は見つからないものでしょう。やはり、借入を活用しながら、投資により利益を増やすことが有効だとわかります。
まとめ
会社の銀行融資に関連して、「借入で時間を買う」とは聞くけれど。それって、いったいどういうこと?わかっているようでわからない、抽象的なハナシを具体的にお話ししてみました。
借入で時間を買うことの意味を理解することが、銀行融資の有効性を理解するきっかけにもなるはずです。
- 利益でおカネを貯めるのは難しい
- 投資をすることで利益を増やせる
- 社長にも会社にも寿命がある