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取引銀行の数をもっと増やしたほうがいい

取引銀行の数をもっと増やしたほうがいい

どちらかといえば、取引銀行の数が少ない会社が多いものです。だから、取引銀行の数をもっと増やしたほうがいい。その理由やメリット、注意点などをお話ししていきます。

目次

基本的に取引銀行の数が少ない

会社の銀行融資について。わたしは、「基本的に、取引銀行の数をもっと増やしたほうがいい」と考えています。

「基本的に」とは、どちらかといえば、取引銀行の数が少ない会社が多いからです。目安となる取引銀行の数は、その会社の規模や状況などにもよりますが。それでも、1つの銀行からしか融資を受けていない、というのは論外です。

また、2つの銀行から融資を受けているというのも、会社の規模や状況によらず少なすぎる、というのが私見です。なので、少なくとも3つ以上の銀行と取引しておくことをおすすめします。

ではなぜ、そこまで取引銀行の数を増やしたほうがいいのか?

可能性を狭めないために借りる

そもそも、取引銀行の数が少ないと、その会社は「借入の可能性を狭める」ことになります。わかりやすく、1つの銀行からしか融資を受けていない会社で考えてみましょう。

あたりまえですが、その会社は、その銀行が提示する条件でしか融資を受けることができません。もちろん、条件交渉することもできますが、銀行からは足元を見られる状況にあります。

つまり、「ウチ以外に借りるアテもないだろうから、強気の条件提示でもだいじょうぶだろう」と見られる、ということです。結果、必要以上に金利が高くなったり、担保・保証をとられたり…

いっぽうで、複数の銀行から融資を受けていれば、それぞれの銀行が提示する条件を、会社は比較検討することができます。そのうえで、いちばんよい条件の銀行を選ぶこともできるわけです。

また、いちばんよい条件を、ほかの銀行にもチラつかせることで、ほかの銀行と条件交渉もしやすくなるでしょう。これもまた、複数の銀行と取引をするメリットです。

この点、取引銀行の数が多いほど、選択の幅は広がるし、交渉の余地も大きくなります。逆に、取引銀行の数が少なすぎれば、選択や交渉の可能性を狭めることになるものと考えておきましょう。

だとすると、まずは借りてみることです。取引銀行の数を増やして、融資を受けてみることです。

業績がよければムリさえいえる

まずは、取引銀行の数を増やしましょう、といいました。ここで、ポイントがあります。それは、自社の業績がよいとき(決算書の内容がよいとき)ほど、増やしにかかりましょう。

いうまでもなく、銀行は「よい会社」にこそ、融資をしたいものだからです。逆に、業績が悪い会社であれば、融資をしたいとは考えません。仮に、融資をしてくれても、条件は悪くなってしまうでしょう。

なので、業績がよいときこそ、取引銀行の数を増やすのがポイントです。このとき、融資をしたい銀行ほど、こちらの条件をのんでくれる可能性が高くなります。

融資をしたい銀行とは、たとえば、新規開拓件数のノルマがあるような銀行です。そういった銀行は、あたらしい融資先を探していますから、少々のムリであれば条件交渉できることはあります。

たとえば、プロパー融資をしてほしい、経営者保証はなしにしてほしい、など。既存の取引銀行だと、渋られているような条件について、相談をしてみるとよいでしょう。

このとき、業績が悪くて「なんとしても借りなければならない!」みたいな状況だと、ムリを言って融資を断られては困ります。すると、社長は強気の条件交渉ができないものです。

ところが、業績がよくて、当面の資金繰りに問題がなければ、「断られたってかまわない」と余裕をもって、強気の交渉もできるでしょう。そういった「余裕」は、フンイキにあらわれるものです。

ゆっくり取捨選択を進めていく

取引銀行の数を増やしましょう、という話をしています。ただし、増やし続けるだけ、増やしっぱなし…には注意しなければいけません。

なぜなら、借入残高が分散しすぎてしまうからです。たとえば、借入総額5,000万円の会社があったとして、2つの銀行から借りていれば、1つの銀行あたり2,500万円になります。

では、5つの銀行から借りていればどうでしょう。1つの銀行あたり、1,000万円です。これを銀行から見れば、「もうからないなぁ」ということになってしまいます。

銀行はたくさん貸せるほど、利息収入が増えてもうかるのですから、取引銀行の数が多すぎて借入残高が分散しすぎると、銀行はもうからないのでおもしろくありません。

ですから、まずは「可能性を狭めない」ために取引銀行の数を増やしつつ、各銀行とお付き合いをしながら、自社に合った銀行を見定める。

そのうえで、自社にとってじゅうぶんなだけの借入(目安は、平均月商の3ヶ月分以上)ができるようになったら、取捨選択して、取引銀行の数を減らしていくのがよいでしょう。

「減らしたあと」の取引銀行の数について、わたしが考える目安は次のとおりです。

  • 年間売上高3億円未満 → 民間金融機関2〜3つ+日本政策金融公庫
  • 年間売上高3億円以上 → 民間金融機関3〜4つ+日本政策金融公庫
  • 年間売上高5億円以上 → 民間金融機関4つ以上+日本政策金融公庫・商工中金

なお、取捨選択するといっても、突然、繰り上げ返済をしたりする必要はありません。あらたに融資を受けるのをやめて、いま借りている分を返済し続けていけば、いつか残高はなくなります。

もしかしたら、いずれまた借りることもあるかもしれないのですから、あまり刺激を与えずに(繰り上げ返済は刺激になります)、ユルっとお付き合いをしておくのが吉です。

まとめ

どちらかといえば、取引銀行の数が少ない会社が多いものです。だから、取引銀行の数をもっと増やしたほうがいい。その理由やメリット、注意点などをお話ししきました。

取引銀行の数が少なすぎて、自社の可能性を狭めないようにしましょう。まずは、取引銀行の数を増やすところからスタートです。

取引銀行の数をもっと増やしたほうがいい

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