週刊/税理士ジョーの銀行融資マガジン 購読受付中

銀行の業績から社長が融資で考えるべきこと

銀行の業績から社長が融資で考えるべきこと

銀行は、ディスクロージャー誌で業績を公表しています。その業績から、社長が融資で考えるべきことが見えてくる、ということはご存知でしょうか。では、いったい何が見えてくるのか?

目次

ディスクロージャー誌、見てる?

銀行から融資を受けている会社の社長であれば、銀行の業績に注目をしておきましょう。なぜなら、業績のよい銀行ほど、融資には積極的だからです。

また、銀行の業績から、社長が融資で考えるべきことも見えてきます。それを銀行対応に活かすことができれば、結果として、融資の受けやすさにつなげることもできるでしょう。

ちなみに、銀行の業績は、各銀行が公表している「ディスクロージャー誌」によって知ることができます。ネットで閲覧もできるので、「〇〇銀行 ディスクロージャー誌」で検索してみましょう。

そのうえで、銀行の業績から社長が融資で考えるべきこととは?おもなものとして、3つご紹介をしてみます。次のとおりです↓

銀行の業績から社長が融資で考えるべきこと
  • 大きい銀行は保証付き融資が苦手
  • 預貸率が低いからダメ!でもない
  • 業種によって得意・不得意がある

それではこのあと、順番に確認していきましょう。

銀行の業績から社長が融資で考えるべきこと

大きい銀行は保証付き融資が苦手

ひとくちに銀行といっても、いろいろです。大きく分けると、規模が大きい順に、都市銀行、地方銀行、信用金庫・信用組合があります。では、規模を具体的に何ではかればよいのか?

まずは、預金量です。銀行がどれだけの預金をあずかっているのか。預金が多ければ、たくさん貸し出し(融資)をしたり、運用したりできるわけで、規模を示す預金量は重要な指標の1つです。

その預金量についても、ディスクロージャー誌を見ればわかります。この点、同じ銀行といっても、大きな差があることがわかります。もっといえば、同じ地方銀行でも、だいぶ差があるのです。

いちばん大きな預金量の地方銀行は18兆円近いのに対して、いちばん小さな預金量の地方銀行は2,300億円ほどであり、80倍近い差があることがわかります。

この点、規模が大きい銀行ほど、たくさんの貸し出しができますし、たくさんの貸し出しをしようとしているものです。もう少し具体的にいえば、1つの取引先に、いちどにたくさん貸したい。

逆に、複数の取引先に小分けにして、貸しているのでは、手間がかかって効率が悪くなります。だから、規模の大きな銀行ほど、いちどにたくさん貸したいと考えているわけです。

すると、信用保証協会の保証付き融資は、不向きであることに気づくでしょう。保証付き融資には「制度上の限度額」があるからですね。いっぽうで、限度額がないプロパー融資(信用保証協会の保証がない融資)のほうが、銀行はたくさん貸し出すことができます。

なので、大きな銀行ほど保証付き融資は、あまりやらないものであり、結果として、保証付き融資が得意でもなかったりします。たとえば、都市銀行とか、大きめの地方銀行とか。

そこで、プロパー融資を受けるのが難しい小さな会社や、銀行取引が浅い会社などは、規模が小さい銀行のほうが、信用保証協会の保証付き融資が受けやすいことを覚えておくとよいでしょう。

預貸率が低いからダメ!でもない

銀行の業績をはかる際の重要指標として、預貸率が挙げられます。預貸率とは「貸出金÷預金量」で求められる指標です。見てのとおり、あずかった預金のうち、どれだけ貸し出しに回しているかをあらわしています。

預貸率が高いほど融資に積極的であり、融資を受けたいなら預貸率が高い銀行が狙い目だ!というハナシは、聞いたことがあるかもしれません。たしかに、基本的にはそのとおりです。

よって、自社の周囲にある銀行の預貸率を比べてみて、預貸率の高い銀行から融資を受けようとするのは、銀行対応のセオリーでもあります。

ただし、預貸率が低いからといって、必ずしもダメだというわけでもありません。なぜなら、銀行のなかには、貸したくても貸す先がない、貸せるのに貸す先がないケースもあるからです。その銀行のまわりに、企業が少ないとか。

すると、預金量はあって貸し出しができるはずなのに、実際には貸し出しが少なく、預貸率が低くなってしまうことはあるわけです。では、預貸率をどのように見ればよいのか?

自己資本比率とセットで見てみましょう。そのうえで、預貸率が低く、自己資本比率も低い銀行は、業績が悪くてリスクをとれないので、貸し出しを控えざるをえない…という見方になります。

いっぽうで、預貸率は低いけど、自己資本比率が高い銀行であれば、業績が悪いから貸し出しができないのではなく、貸したくても貸す先がないだけでは?という見方です。

融資を受けようとするのであれば、後者の銀行のほうがいいでしょう。

なお、自己資本比率の代わりに、当期純利益を見るのでもOKです。当期純利益が大きいほど、銀行はリスクをとって貸し出しができますから、融資には積極的な銀行だといえます。

自社の周囲にある銀行の、自己資本比率や当期純利益も比べてみましょう。

業種によって得意・不得意がある

銀行のディスクロージャー誌を見ていくと、「貸出金業種別内訳」といった項目があります。これにより、その銀行が、どの業種に多くの融資をしているかを確認してみましょう。

この点、自社の属する業種について、たくさんの貸し出しをしている銀行であれば借りやすいはずだ、という見方があります。逆に、自社の属する業種に対する貸し出しが少なければ、その銀行からは借りにくい、という見方です。

つまり、銀行にはそれぞれ、取引先の業種によって得意・不得意があると。たしかに、たくさんの貸し出しをしているということは、その業種に対する知見も貯まっているでしょうから、得意だともいえるでしょう。

ですが、見方を変えると、得意な業種には、それだけの会社が集まっているのであり、自社もその業種なのであれば、競争率が高いかもしれない…という見方もできます。

実際に、規模が大きくて業績もよい会社は借りやすいけれど、規模が小さくて業績も悪い会社は借りにくいことはあるわけで。銀行の得意な業種にあっては、その傾向が顕著になることはありえます。

だとすれば、銀行が自社の業種を得意にしているからといって、それだけをもって借りやすいということはなく、得意な業種を活かすためには、自社がよい会社であることが欠かせません。

また、ディスクロージャー誌を数年分、並べて比べてみたときに、ある業種の貸し出しが増えているようであれば、その銀行がチカラを入れようとしてる業種だとわかります。

その場合、現時点では、他の銀行よりも貸し出しが少なかったとしても、チカラを入れようとしてる分だけ借りやすい、ということはあるものです。そのあたりも検討してみるとよいでしょう

まとめ

銀行は、ディスクロージャー誌で業績を公表しています。その業績から、社長が融資で考えるべきことが見えてくる。では、いったい何が見えてくるのか?ということについて、お話をしました。

融資の受けやすさにもつながるところですから、ぜひ押さえておきましょう。そして、取引銀行や周囲の銀行のディスクロージャー誌を見るクセをつけておきましょう。銀行対応に役立ちます。

銀行の業績から社長が融資で考えるべきこと
  • 大きい銀行は保証付き融資が苦手
  • 預貸率が低いからダメ!でもない
  • 業種によって得意・不得意がある
銀行の業績から社長が融資で考えるべきこと

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

良い記事があればシェア
  • URLをコピーしました!
目次