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銀行対応がわかる社長は預金のあずけ方を知っている

銀行対応がわかる社長は預金のあずけ方を知っている

銀行対応がわかる社長は、預金のあずけ方を知っています。同じ預金をあずけるでも、あずけ方しだいで、融資の受けやすさや融資条件の良し悪しが変わることを理解しておきましょう。

目次

金利のある世界がやってくる

会社が、銀行からスムーズに融資を受けるためには「銀行対応」が大切です。銀行対応の巧拙が、融資の受けやすさや融資条件の良し悪しに直結します。

では、その銀行対応について。預金のあずけ方にも、ポイントがあることはご存知でしょうか。銀行対応がわかる社長は、預金のあずけ方を知っています。預金をうまくあずけることで、よりスムーズに融資を引き出しているのです。

現在(2024年3月15日)、マイナス金利の解除も近づき、まもなく「金利のある世界」がやってきます。すると銀行は、貸し出しの原資を確保するために、預金をほしがることを覚えておきましょう。事実、銀行どうしによる預金獲得合戦ははじまっています。

ここで、銀行の言われるがままに、預金をあずけてしまうことがないように。銀行対応を考えたうえで、預金をあずけられるようにしましょう。おもなポイントは次のとおりです↓

銀行対応がわかる社長は預金のあずけ方
  • 借りたい銀行に預ける
  • 日本公庫を活用する
  • 定期預金はしない

このあと、順番に解説をしていきます。

銀行対応がわかる社長は預金のあずけ方

借りたい銀行に預ける

さきほど、「銀行は、貸し出しの原資を確保するために、預金をほしがる」といいました。ということは、借りたい銀行にこそ預金をあずけるのがよいとわかるでしょう。

つまり、融資を受けたい銀行の預金を増やすことが、融資の交渉材料になるわけです。これにより、銀行は貸し出し原資の確保になるのと同時に、安全性を高めることができます。

たとえば、1,000万円を融資するにあたり、その融資先から預金をあずかることができなければ、銀行が負うリスクは1,000万円です。会社が返済できなくなった場合、銀行には1,000万円の損失が発生します。

ところがもし、融資先から預金を600万円あずかることができれば、銀行が負うリスクは400万円です。融資をした1,000万円と、自行の口座にある預金600万円を相殺できるため、銀行はリスクを軽減することができます。ゆえに、銀行は預金をほしがるのです。

にもかかわらず、融資を受けてもいない銀行にたくさんの預金をあずけているようでは、銀行対応としてうまくありません。銀行からも「わかってないなぁ…」と見られてしまうでしょう。

この点、銀行対応がわかる社長は、預金のあずけ先を常に考えています。借りたい銀行に預金をあずけることで、融資を受けやすくしたり、融資条件の改善につなげているのです。

たとえば、「売上先の入金口座を御行に移すので」といったことを銀行に伝えられれば、金利の引き下げや経営者保証の解除なども交渉しやすくなります。

なお、預金をあずけているのに、あまり融資に積極的ではなかったり、融資条件の悪い銀行があれば、その預金を他行にあずけ替えることで、よりよい融資を引き出すきっかけにするのも選択肢の1つです。

基本的には、銀行は預金をほしがるものですが、銀行ごとに「温度差」もあるので、各銀行の反応を見ながら、預金のあずけ方を考えてみるとよいでしょう。

日本公庫を活用する

銀行対応がわかる社長は、日本公庫を活用しています。日本公庫(日本政策金融公庫)は、公的金融機関の代表格であり、中小企業にとっては唯一無二の大事な資金調達先です。

その日本公庫には、預金をあずけることができません。融資専門の金融機関だからです。よって、日本公庫から借りたおカネは、どこか別の銀行にあずけることになります。

と言われれば、もうわかるでしょう。前述したとおり、借りたい銀行にあずけるということです。日本公庫から借りたおカネがあれば、特定の銀行に対して「借りている金額以上にあずける」こともできます。

たとえば、A銀行から1,000万円を借りているいっぽうで、A銀行に300万円の預金をしているとして。ここで、日本公庫から1,000万円を借りて、A銀行にあずけるとしたらどうなるか。

A銀行からの借入は1,000万円、A銀行への預金は1,300万円です。こうなると、むしろ貸しているのは自社のほうだ、ということになります(銀行にとっては、預金が借入なので)。

だとすれば、こちらは「あるていど強気」の交渉もできるでしょう。金利の引き下げや、経営者保証の解除などについて、銀行の反応が悪いようなら「預金は他行に移します」といった具合です。

にもかかわらず、日本公庫からはまったく融資を受けていない会社もあります。これは、預金のあずけ方としてもったいないのはもちろん、いざというときのリスクが高まるのも問題です。

日本公庫のミッションは「民間金融機関の補完」であり、会社が民間金融機関からは借りにくいときほど、日本公庫からの融資が頼りになります。業績不振で赤字のときなどには、民間金融機関からは借りられなくても、日本公庫からは借りられたということはあるものです。

しかし、それも「ふだんからのお付き合い」があってこそだといえます。いざピンチになってから突然、「おカネを貸してください」といわれても、貸すほうは慎重になりますし、貸すにしても審査に時間がかかるのは当然です。早く借りたいのに借りられない…と、なってしまいます。

定期預金はしない

もしも、銀行から「定期預金をお願いします」といわれたらどうするか。銀行対応がわかる社長であれば、カンタンに受け入れることはありません。原則、定期預金は断るし、しないはずです。

預金は、銀行にとって安全性を高める効果があることは前述しました。だとすれば、銀行が定期預金をほしがる理由は想像できるでしょう。そうです、すぐには引き出せないようにして、預金を自行に固定させることに、銀行の狙いがあります。

事実、普通預金であれば、いつでも引き出すことができますが、定期預金はそうもいきません。解約の手続きが必要です。で、解約をしようとすると、あの手この手で引き止められることはありえます。

ひどい場合には、「いま解約されると、次回以降の融資に影響します(融資ができなくなる)」と、なかば脅しともとれるようなことを言われるケースも、それほど珍しくはありません。そこまで言われて解約できるかどうかは、イメージしておいたほうがよいでしょう。

いやムリだ、そこまで言われたら解約はできない…というのであれば、はじめから定期預金などしないことです。

金利のある世界を前に、定期預金の金利も上がってきました。それを売り文句にして、定期預金を勧める銀行もあります。ですが、上がったといっても、金額に換算すれば知れています。仮に、1,000万円を0.2%の金利であずけるとどうなるか。

2万円です。その2万円と引き換えに、1,000万円が使えない状態になるのだとしたら…自社の資金繰りを考えたときに、どちらがよいかは言うまでもありません。借りたい銀行に預金をあずけましょうと言いましたが、それは普通預金であずけてこそです。

まとめ

銀行対応がわかる社長は、預金のあずけ方を知っています。同じ預金をあずけるでも、あずけ方しだいで、融資の受けやすさや融資条件の良し悪しが変わることを理解しておきましょう。

銀行対応がわかる社長は預金のあずけ方
  • 借りたい銀行に預ける
  • 日本公庫を活用する
  • 定期預金はしない
銀行対応がわかる社長は預金のあずけ方を知っている

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