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法人事業概況説明書が甘いと銀行融資が受けにくくなる

法人事業概況説明書が甘いと銀行融資が受けにくくなる

決算書一式のなかに含まれる、法人事業概況説明書について。その記載が甘いと、銀行融資が受けにくくなることはあまり知られていないようです。では、法人事業概況説明書が甘いケースとは?

目次

法人事業概況説明書が甘いと銀行融資が受けにくくなる

会社が銀行から融資を受けるときに、決算書一式の提示を求められることはご存知でしょう。なお、決算書一式(法人税申告書一式)には、いろいろなものが含まれます。

おもなところでは、次のとおりです↓

  • 決算報告書(貸借対照表、損益計算書ほか)
  • 法人税申告書・別表
  • 勘定科目内訳明細書
  • 法人事業概況説明書

というわけで、融資を受けるときには、これら(のコピー)を銀行に渡すことになります。また、すでに融資を受けている銀行からは、毎年決算がおわると、やはり決算書一式の提示を求められることになります。

この点、法人事業概況説明書が甘い会社が散見されますので気をつけましょう。法人事業概況説明書とは、A4用紙2枚で構成される、文字どおり会社の概況を説明するための書類です。

本来、税務署のためにつくる書類ではありますが、銀行もまた、よく見ている書類であることはあまり知られていないかもしれません。では、法人事業概況説明書が甘いとはどういうことなのか?

銀行が融資を考えるうえで「必要な情報・有用な情報」が未記載であったり、記載をしていても不十分なケースです。法人事業概況説明書の記載は税理士任せであり、見たこともないという社長もいるでしょう。

そこで、法人事業概況説明書が甘いケースを挙げてみます。おもなところでは、次のとおりです↓

法人事業概況説明書が甘いケース
  • 月別の売上・仕入が甘い
  • 入金・支払条件が甘い
  • 月別の人件費が甘い

これらについて、このあと確認をしていきましょう。

法人事業概況説明書が甘いケース

月別の売上・仕入が甘い

法人事業概況説明書の2ページめには、月別の売上・仕入の金額を記載する項目があります。もっともヒドいのは、空欄になっているケースです。記載がメンドーなので省略した、ということでしょう。

ではなぜ、月別の売上・仕入の記載が甘いと、銀行融資が受けにくくなるのか。理由は、銀行が「季節変動」を把握できないからです。季節変動とは、年間を通じた商売の波をいいます。

たとえば、アイスクリームは夏によく売れて、冬はあまり売れない…みたいな。すると、アイスクリームを販売する会社の売上は、夏に多くて冬に少ないということになるでしょう。その波が季節変動です。

では、季節変動があるとどうなるか。いわゆる経常運転資金の額が変動します。経常運転資金とは、「売掛金+棚卸資産ー買掛金」で計算される金額であり、会社が資金繰りを回すために必要なおカネをあらわす金額です。

そこで、経常運転資金分のおカネを銀行融資で調達するのが、財務のセオリーだといえます。

その経常運転資金は、基本的に売上に連動するのがポイントです。つまり、売上が増えれば経常運転資金も増えるし、売上が減れば経常運転資金も減る。

にもかかわらず、銀行が売上が少ないときの経常運転資金しか把握できなければどうでしょう。つまり、月別の売上・仕入(≒ 月別の売掛金・買掛金)がわからないケースです。

すると、会社は売上が少ないときの経常運転資金分しか融資をしてもらうことができず、売上が多いときには経常運転資金が増えることには対応できず、資金繰りが厳しくなってしまいます。

なので、法人事業概況説明書には、きちんと月別の売上・仕入を記載しましょう。なお、未記載だけが問題なのではなく、現金主義で記載しているケースも問題です。

現金主義とは、入金があったときに売上を認識する、支払をしたときに仕入を認識する経理方法をいいます。ところが、業績を正しく把握するためには、発生主義による経理が必要です。

発生主義は、入金・支払とは関係なく、商品の引き渡しがあったときに売上や仕入を認識します。以上をふまえて、現金主義だと「入金・支払のタイミングしだい」で、「売上と仕入の対比(利益の把握)」ができなくなることが問題だとわかるでしょう。

ゆえに、月別の売上・仕入が現金主義で記載されていることがわかると、銀行からは「利益の把握がままならない会社」だと見られてしまい、融資の受けにくさにもつながるので気をつけましょう。

入金・支払条件が甘い

法人事業概況説明書の2ページめには、売上代金の入金条件や、仕入代金や人件費の支払条件を記載する項目があります。売上代金であれば、「毎月末日締め・翌月末入金」といった具合です。

これにより銀行は、決算書に記載された売掛金(売上代金の未回収)や買掛金(仕入代金の未払)、未払金(人件費の未払)の金額が妥当かどうかを確認しています。

たとえば、売上代金の入金条件が「毎月末日締め・翌月末入金」なのに、決算書の売掛金が、平均月商(年間売上高÷12か月)の2か月分や3か月分もあったらどうでしょう。

売掛金が多すぎるぞ、ということになるわけです。つまり、決算書の売掛金のなかには、不良債権があるのかもしれない、もしかしたら架空債権があるかもしれない、ということを疑います。

いずれも「粉飾決算」ですから、決算書自体の信用もなくなりますし、融資が受けにくくなることを理解しておきましょう。で、粉飾をしている会社が問題なのではありません。

問題なのは、入金・支払条件の記載が甘い会社です。たとえば、記載されている情報が不正確なケースが挙げられます。本当は「毎月末日締め・翌々月末入金」なのに、「毎月末日締め・翌月末入金」と記載されてしまっているとか。

なぜ、このようなことが起きるのかといえば、税理士が誤って記載してしまったり、条件が変わったことを把握していなかったりすることがあるからです。なので、社長自身も法人事業概況説明書の記載内容を確認して、誤りがあれば、税理士に伝えるようにしましょう。

また、入金・支払条件に変更があったときにも、その旨を税理士に伝えることが大切です。

月別の人件費が甘い

法人事業概況説明書の2ページめには、月別の人件費を記載する項目があります。人件費は、経費のなかでも大きな割合を占めるものであり、銀行も注目しているものです。

また、最近では「人件費高騰」や「賃上げ」も話題になっています。月別の人件費の「推移」を見ることで、そのあたりへの会社の対応を確認していることもあるでしょう。

法人事業概況説明書には、人件費とあわせて「月別の社員数(従事員数)」を記載する欄もあります。人件費の金額を社員数で割り算すれば、ひとりあたり人件費の目安にもなります。

同業他社の水準と比較して、自社のほうが高ければ、自社の業績が良いことのアピールになるものです(業績が悪ければ、良いお給料も払えない)。また、給与水準が高ければ、良い人材を確保しやすい会社、ひいては事業の持続・成長が期待できる会社との見方もできるでしょう。

というように、銀行が融資先の評価をするうえで、有用な情報が人件費なのですから、やはり記載が甘いのでは困ります。月別の人件費の記載が省略されているとか、月別の社員数の記載が省略されているとか。

また、社員数について記載はされているものの「毎月おなじ人数」というケースもあります。税理士が、毎月の社員数までは把握しておらず、便宜的に決算期末の社員数をすべての月に記載しているようなケースです。

なお、毎月の社員数の推移から、銀行は「採用状況」や「離職率」などの推測もしています。とにかく「人手不足」が叫ばれる時代ですから、そのあたりは銀行も注視をしているわけです。

であるならば、自社の人材採用・育成については、方針や予定などを銀行に伝えたほうがよいこともわかるでしょう。社長が銀行に決算報告をする際などに、法人事業概況説明書の数字を示しつつ説明するのがおすすめです。

まとめ

決算書一式のなかに含まれる、法人事業概況説明書について。その記載が甘いと、銀行融資が受けにくくなることはあまり知られていないようです。

というわけで、法人事業概況説明書が甘いケースを挙げてみました。記載を税理士任せにしていると、該当しているケースもありえます。あらためて、社長自身で確認をしてみましょう。

法人事業概況説明書が甘いケース
  • 月別の売上・仕入が甘い
  • 入金・支払条件が甘い
  • 月別の人件費が甘い
法人事業概況説明書が甘いと銀行融資が受けにくくなる

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