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メインバンクとサブバンクの使い分けをどうするか

メインバンクとサブバンクの使い分けをどうするか

「メインバンクとサブバンクの使い分けをどうすればよいのか?」とのご相談をいただくことがあります。というわけで、そのあたりの考え方について、注意点などをふまえてのお話です。

目次

メインバンクとは?サブバンクとは?

会社の銀行融資について、「メインバンクとサブバンクの使い分けをどうすればよいのか?」とのご相談をいただくことがあります。

メインバンクとは、文字どおり、自社にとってメインの取引銀行です。いっぽうのサブバンクとは、そのメインバンクを補うための取引銀行をいいます(準メインと呼ばれることも)。

なお、メインバンクは1行のみであるのに対して、サブバンクが複数あるというケースはあるでしょう。また、サブバンク以下として、さらに複数の銀行と取引をするケースもありえます。

いくつくらいの銀行と取引(=銀行融資を受ける)をすればよいのか、厳密にはケースバイケースですが、自社の年間売上高に応じた目安としては次のとおりです↓

  • 年間売上高3億円未満…民間金融機関2〜3行+日本政策金融公庫
  • 年間売上高3億円以上…民間金融機関3〜4行+日本政策金融公庫
  • 年間売上高5億円以上…民間金融機関4行以上+日本政策金融公庫+商工組合中央金庫

以上をふまえて、メインバンクとサブバンクの使い分けについてお話をしていきます。

メインバンクとサブバンクの使い分け

まずはメインバンクから

冒頭、メインバンクとは、自社にとってメインの取引銀行だといいました。この点、銀行側が考えるメインバンク像もありますので押さえておきましょう。おおむね次のとおりです↓

  • 融資残高が多い(とくにプロパー融資)
  • 預金残高が多い
  • 自行(支店)から場所が近い
  • 自行口座内での入金や支払が多い
  • 会社の規模が自行の規模感に合っている
  • 融資の実績が長い
  • 担保の提供を受けている
  • 定期的に話をしている

これとは別に、会社側が「勝手」にメインバンクだと考えているケースがあるので、気をつけなければいけません。つまり、社長は「A銀行がメインバンクだ」と考えていても、A銀行のほうがそうは考えていないケースはある、ということです。

そのうえで、「まずはメインバンクから」が、使い分けの基本になります。端的にいえば、融資の相談をするなら、他行に先駆けてまずはメインバンクから相談をするということです。

メインバンクをスルーして他行から融資を受ければ、メインバンクが気分を悪くすることはあります。「なぜ、メインバンクのうちに相談をしてくれなかったんだ?」と、なるわけです。

結果、せっかくのメインバンクを失ってしまう会社もあります。メインバンクからの既存融資も含めて他行での借り換える…などは典型例です。

また、「まずはメインバンクから」の理由として、「融資条件の良さ」が挙げられます。メインバンクとは、ふだんからコミュニケーションもあり、他行に比べても情報共有が進んでいるものですから、メインバンクはより柔軟に融資を検討することが可能です。

よって、メインバンクからはプロパー融資(信用保証協会の保証がない融資)が受けやすかったり、経営者保証を外してもらいやすかったり、融資金利の引き下げがしやすかったり、といったメリットがあります。

融資総額が大きくなってきたらサブ

まずはメインバンクから、ではあるものの。ずーっとメインバンクから、というわけにもいきません。1つの銀行に融資ができる金額(=負えるリスク)にも限度があるからです。

銀行が特定の会社にかたよって融資をすれば、その会社がつぶれたときに困ります。なので、銀行は、できるだけ多くの会社に分散して融資をしようとするものです。

たとえば、信用金庫であれば、1つの支店に融資ができる金額は、無担保のプロパー融資で3,000〜5,000万円くらいが限度になります。

したがって、信用金庫がメインバンクの場合、借入総額がそれくらいになったら、サブバンクからの融資も検討しましょう。この場合には、メインバンクが気分を悪くすることはありません。

繰り返しですが、銀行にも融資ができる金額の限度があり、「そろそろウチも限界だ」と考えているものだからです。

以上をふまえて、借入総額が大きくなってきたら、取引銀行を増やすことを検討しましょう。取引銀行を増やす(銀行との関係性をつくる)のにも時間はかかりますから、余裕をもって早めに取り組むことをおすすめします。

このとき(取引銀行を増やそうとするとき)、メインバンクに対しては「この先の事業規模拡大を見据えて、資金調達の選択肢を増やすため」と伝えておけば、嫌がられることもないでしょう。

メインバンクに問題が起きたらサブ

「まずはメインバンクから」が基本ではあるものの、例外もあります。メインバンクに問題が起きた場合です。問題にもいろいろありますが、たとえば、支店長や担当者に異動があったとき。

支店長しだいで、支店の融資方針・融資姿勢が一変することはあるものです。それにより、前支店長のときほど融資が受けられなくなった…ということはありえます。自社の状況には変わりがなかったとしてもです。

また、自社の銀行担当者が異動になり、新担当者がどうにもよくない…というケースもあるでしょう。能力や経験不足、資質に問題がある、単純に相性があわないなど。

こんなときには、サブバンクからの融資を検討するのがよいでしょう。一応、メインバンクには相談をしたうえで、融資を断られたり、積極的には取り組んでもらえないのを確認してから、という手順をふみます。メインバンクに気分を悪くされるのは、得策ではないので。

というように、必ずしもメインバンクが自行にとって融資を受けやすい銀行とは限らず、サブバンク以下との取引も必要だということになります。なかには、取引銀行が1つのみという会社もありますが、その銀行に問題が起きたときに困らないよう、取引銀行を増やしておきましょう。

なお、支店長や担当者の異動とは関係なく、単純に、メインバンクから融資を断られることはありえます。たとえば、自社の業績がよくないときです。メインバンクは、他行よりも自社の内情を理解しているだけに、融資を躊躇することもあります。

そんなときには、やはりサブバンクにも相談をすることで、サブバンクから融資が受けられることはあるものです。よって、いざというときの選択肢を増やすためにも、日ごろからサブバンク以下と取引をしておく、関係性を深めておくのがよいでしょう。

まとめ

「メインバンクとサブバンクの使い分けをどうすればよいのか?」とのご相談をいただくことがあります。というわけで、そのあたりの考え方について、注意点などをふまえてお話ししました。

使い分けを誤ると、銀行との関係性が悪化したり、融資が受けにくくなったり、融資条件が悪くなったりしますので、じゅうぶんに気をつけましょう。

メインバンクとサブバンクの使い分けをどうするか

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