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社長が銀行に試算表を説明するときのポイント3選

社長が銀行に試算表を説明するときのポイント3選

以前に比べると、試算表の重要性が高まっています。なので、銀行に対しては試算表を提示し、説明することが大切です。とはいえ、何を説明すればいいの?ということについてお話しします。

目次

試算表の重要性が高まっている

銀行対応における試算表の重要性は、以前に比べると、いまはよりいっそう高まっているといえます。一例が、経営者保証の解除です。

新規融資に占める経営者保証なしの融資は5割にまで増えています。経営者保証の解除が「急激」に進んでいるのです。とはいえ、経営者保証の解除にも「基準」があります。

具体的には、経営者保証に関するガイドラインです。そこには、経営者保証の解除要件として、「銀行に対し、適時適切に財務情報が開示されている」ことが挙げられています。

この点で、毎月作成されている(はずの)試算表の重要性が高まっているわけです。つまり、試算表をタイムリーに作成し、定期的・継続的に銀行へ提示している会社は、経営者保証の解除がしやすくなります。

また、銀行への試算表の提示は、そもそも融資の受けやすさにも影響するところです。試算表もつくっていない・つくれない会社は、銀行からすれば危なくてしかたない。

いまは倒産も増えているし、保証付き融資の代位弁済も増えています。ゆえに、銀行や信用保証協会は、より慎重になっていることも理解しておきましょう。なんにせよ、試算表の重要性が高まっているのです。

では、その試算表について。ただただ銀行に提示すればよい、というわけでもありません。提示するにあたっては、社長は銀行に対して「説明」もしましょうよ、という話です。

ところが、実際には試算表を渡しているだけ、説明といわれても何を話せばよいかわからない…そんな社長が少なくないと聞きます。というわけで、社長が銀行に試算表を説明するときのポイントがこちらです↓

社長が銀行に試算表を説明するときのポイント
  1. 前期比較・予算比較
  2. 資金繰り表も添えて
  3. 決算見込みを伝える

それではこのあと、順番に確認していきましょう。

社長が銀行に試算表を説明するときのポイント3選

前期比較・予算比較

試算表の説明をするときのポイント、1つめは「前期比較・予算比較」です。たとえば、2024年4月の試算表を説明するという場合、その月の話だけをしたところで銀行はピンとこないでしょう。

なぜなら、比較になるモノがないからです。だから、2024年4月の数字が「良いのか・悪いのか」がよくわからない…ということになってしまいます。これでは試算表を提示する効果も半減です。

そこで、その月の数字に対して、前期(前年同月)との比較、予算(計画)との比較ができる資料もあわせて用意して、説明ができるとよいでしょう。

前期や予算と比較できれば、その月が「良いのか・悪いのか」も判断しやすくなります。また、社長としても、銀行に対して説明がしやすくなるでしょう。比較をしたうえで、その原因を伝えたり、問題点については解決策の取り組みなどの話もできるからです。

さらには、前月の比較もあると、上り調子なのか下り調子なのかがわかりやすくなります。なので前月の数字についても資料に加えておくのがおすすめです。説明の内容が、より充実します。

銀行とは何を話していいかわからない…という社長のハナシを聞きますが、多くの場合は「準備不足」です。前期比較や予算比較のように、準備をしていれば、話せることはいろいろあります。

準備の手間を惜しまないようにしましょう。

資金繰り表も添えて

準備の手間でいえば、最たるものとして「資金繰り表」が挙げられます。試算表の説明をするときにはぜひ、資金繰り表も用意しましょう。

なお、ここでいう資金繰り表とは、向こう1年ていどの資金繰り予定をとりまとめた表です。ではなぜ、試算表に加えて資金繰り表が必要なのか?

もはやいうまでもありませんが、試算表だけでは資金繰りがわからないからです。とくに、先々の資金繰りの「予定」がわかりません。銀行にとっては、その資金繰りの予定が重要情報なのです。

銀行が貸しているおカネは、将来にわたって返済をしてもらえるのか?それが銀行の関心事であり、そういう意味では「目先の利益」など二の次三の次だともいえます。大事なものは「おカネ」です。

そのおカネの動きを可視化する資料が、資金繰り表になります。資金繰り表があれば、社長は、これから先の資金繰りについて、銀行に話をすることができるでしょう。

資金繰りに問題はなく、銀行への返済にも支障がないこと。あるいは、資金繰りが厳しくなるタイミングがあるので、資金調達(銀行借入)を考えていることなど。

逆に、資金繰り表がなければ、それらを説明することは困難でしょう。結果、銀行は資金繰りに対する不安(あるいは疑問)を持ちますし、積極的な融資提案もしづらくなってしまうのです。

資金繰り表のつくりかたについては、動画も参考にどうぞ↓

決算見込みを伝える

さいごに、もうひとつ。銀行に試算表の説明をするときには、あわせて「決算見込み」を伝えるようにしましょう。つまり、今期の最終的な売上や利益はどのくらいになりそうなのか?

そもそも試算表とは、いま現在の「足元」の状況を示すものです。いっぽうで、銀行が本当に知りたいのは「未来」だといえます。なぜなら、貸したおカネの返済原資は「未来の利益」だからです。

たとえいま利益が出ていても、未来に利益が出ていなければ、返済をしてもらうことはできません。よって、銀行は未来の利益としての「決算見込み」に関心を寄せているわけです。

また、決算見込みを伝えることで、試算表に粉飾がないことのアピールにもつながります。銀行から融資を受けようとして、試算表を粉飾する(利益・資産を水増しする)会社はあるものです。

すると、決算ではその反動(試算表の粉飾を解消することで、利益・資産が減る)によって、一転赤字や債務超過…というケースがあります。ゆえに、銀行は試算表を鵜呑みにはしません。

そこで、少しでも試算表の信頼性を高める意味でも、決算見込みを伝えることが役立ちます。

ところが、決算見込みを伝えない・伝えられない社長は少なくありません。決算見込みを検討していないからです。やはり、準備の手間を惜しまないようにしましょう。準備によって得られる見返りは、けして小さなものではありません。

まとめ

以前に比べると、試算表の重要性が高まっています。なので、銀行に対しては試算表を提示し、説明することが大切です。とはいえ、何を説明すればいいの?ということについてお話ししました。

試算表をただ銀行に渡すだけでは不十分です。説明を加えることで、試算表を提示することによる効果を高めていきましょう。

社長が銀行に試算表を説明するときのポイント
  1. 前期比較・予算比較
  2. 資金繰り表も添えて
  3. 決算見込みを伝える
社長が銀行に試算表を説明するときのポイント3選

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