世の中には、赤字に強い会社があります。では、赤字に強い会社とはどのような会社なのか。また、赤字に強い会社がやっていることは何なのか。お話をしていきます。
赤字に強い会社とは?
世の中には、赤字に強い会社があります。
ここでいう「赤字に強い」とは、赤字になりにくい会社であり、赤字になったとしても立ち直りが速い、立ち直りに時間がかかってしまったとしても耐えられる会社のことです。
もう少し具体的にいうと、おもに次の3つができている会社になります↓
- 予実管理
- 資金管理
- 事前借入
はたして、自社は赤字に強い会社なのかどうなのか?これら3つのことができているかを、このあと確認していきましょう。
赤字に強い会社がやっていること3選
予実管理
予実管理とは端的にいえば、計画(予算)を立てて、それを実行し、実績との相違を管理することです。多くの中小企業ができていないことであるいっぽうで、赤字に強い会社にはできていることでもあります。
では、なぜ予実管理が赤字に対して有効なのか?
まずは、タイムリーな業績把握を強いられることです。予実管理をするには、計画と実績とを対比させる必要があり、実績を把握するためには、タイムリーに試算表をつくらねばなりません。
結果、タイムリーな業績把握ができれば、赤字であることや、その他の財務上の問題点にも早く気づけるのがメリットです。
これに対して、試算表をつくっていない・つくるのが遅い会社は、業績把握が遅れることとなり(最悪の場合、決算までわからない…)、赤字への対応も遅れることになります。いうまでもなく、対応が遅れるほど、状況は悪くなるのですから、タイムリーな業績把握は重要です。
また、予実管理が有効な理由は、もうひとつあります。それは「比較対象ができること」です。
タイムリーに試算表をつくっている会社でも、計画などの「比較対象」がないと、現状の良し悪しをはかることができずに、試算表をつくるだけでおしまいになっているケースがあります。
すると、赤字の兆候(いまは黒字でも)に気づくのが遅れ、防げたはずの赤字も防げなかった…ということはあるものです。いっぽうで、計画と実績(試算表)を比較できれば、その差異から異変にも早く気がつきやすくなります。
赤字に強くなるためにも、予実管理をはじめましょう。
正直、予実管理はメンドーですし、タイヘンでもあります。だからこそ、多くの会社はやっていないし、だからこそ、やる意味があるともいえます。皆と同じでは、強くはなれません。
資金管理
さきほどの予実管理は、おもに「利益」を対象にしたものでした。つまり、売上計画と経費計画を立て、その差額としての利益を計画する、というイメージです。
ここで、「利益とおカネは別モノ」との理解が必要になります。100万円の利益が出たからといって、必ずしも100万円のおカネが増えているわけではない、ということです。
たとえば、商品をお客さまに納品すれば、売上を計上することになります。結果として、利益も増えます。が、お客さまが売上代金を後日に支払うのだとすれば、おカネが増えるのは後日です。
また、借入金の返済は経費ではないため、利益が100万円でも返済が100万円あれば、手元に残るおカネはゼロになります。というように、「利益とおカネは別モノ」なのです。
ゆえに、予実管理(≒利益管理)とは別に、資金管理が必要になります。具体的なツールとしては、資金繰り表です。向こう1年ていどの入金・支払予定から、資金残高の推移を把握します。
どこかで残高がマイナスになるようであれば、それは資金ショートを意味するので、銀行借入をするなどして、資金を手当します。というような資金管理が、資金繰り表があればできるわけです。
極端をいえば、利益は赤字であっても、資金管理さえできていれば、会社がつぶれることはありません。ところが、資金管理を怠れば、ちょっとした赤字でもつぶれてしまうのが問題です。
予実管理と同様に、資金管理もできていない中小企業は少なくありません。事業は山あり谷ありです。赤字になるときも想定して、赤字でも耐えられる資金管理ができるようになりましょう。
事前借入
赤字であっても、資金管理さえできていれば、会社がつぶれることはないと前述しました。もっとカンタンにいえば、おカネさえあれば、赤字であっても会社はつぶれないということです。
ゆえに、赤字に強い会社とは、たくさんのおカネを持っている会社だともいえます。では、どのようにして、たくさんのおカネを持てばよいのか?
いちばんは、利益を出しておカネを増やすことですが、それも容易ではありませんし、時間もかかります。そこで、銀行借入です。ふだんから借入をすることで、手元のおカネを増やしておけば、赤字のときにもしのぎやすくなります。
ふだんから、というのがポイントです。赤字になってからでは、銀行も融資を渋りますから、赤字になるまえに、事前に借入をしておくことが大切になります。
ですが、多くの社長は「いま、使いもしないおカネを借りるなんてイヤだ。利息がもったいない」といったことを考えるものです。結果として、手元のおカネを増やせないまま赤字に突入します。
いっぽうで、赤字に強い会社の社長は、将来の赤字も想定して、借りれるときに借りられるだけ借りておくことを考えて、それを実行しています。
今後、日銀が利上げを進めれば、融資金利も上がっていくでしょう。すると、返済負担が大きくなることから返済できなくなる会社が増えます。それを避けるために、銀行の融資審査が厳しくなることは理解しておきましょう。
だとすれば、借りれるときに借りられるだけ借りておくことが、赤字にも有効だとわかるはずです。
まとめ
世の中には、赤字に強い会社があります。では、赤字に強い会社とはどのような会社なのか。また、赤字に強い会社がやっていることは何なのか。お話をしてきました。
はたして、自社は赤字に強い会社なのかどうなのか?できていないことがあれば、さっそく取り組んでいきましょう。赤字に強いに越したことはないはずです。
- 予実管理
- 資金管理
- 事前借入