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社長の役員報酬はいくらにするか?銀行融資の視点から考える

社長の役員報酬はいくらにするか?銀行融資の視点から考える

中小企業の経営・財務において、「社長の役員報酬はいくらにすればよいのか?」という論点がありますが。その考え方はいろいろです。では、銀行融資の視点から考えるとどうなるか、についてお話をしていきます。

目次

銀行融資の視点から考える

中小企業の経営・財務において、「社長の役員報酬はいくらにすればよいのか?」という論点があります。「できるだけ多くすべきだ!」という意見もあれば、「いや、できるだけ少なくするべきだ!」という意見をはじめ、考え方はいろいろとあるようです。

ここでは、「銀行融資の視点」をもって、社長の役員報酬を考えてみることにします。具体的には、以下3つのポイントを押さえておきましょう。

社長の役員報酬はいくらにするか?銀行融資の視点から考える
  1. 赤字・債務超過にならないよう
  2. 借入金の返済が滞らないよう
  3. 貸付金・借入金が発生しないよう

逆に、これらのポイントが押さえられずにいると、銀行融資が受けられなくなる・受けにくくなるといったことにもなりかねません。それでは、各ポイントについて説明をしていきます。

社長の役員報酬はいくらにするか?

1.赤字・債務超過にならないよう

銀行が赤字(利益がマイナス)を嫌うことは、社長であればご存知でしょう。この点、社長の役員報酬が多くて赤字…という会社もあります。業績悪化時などはとくに、です。

そのような会社に対して銀行は、「赤字なのだから、社長は責任をとって役員報酬を下げるべきだ」と考えます。にもかかわらず、社長が役員報酬を下げずにいれば、融資が受けにくくなるのも当然でしょう。

もちろん、社長にも「生活」がありますから、家庭環境などもふまえて「妥当」な役員報酬の額であれば別ですが、一般的な水準(同業他社・同規模の会社など)と比べて高額な役員報酬となれば、銀行も「赤字なのだから、下げるべきだ」と考えるわけです。

なお、黒字にこだわるあまり、一般的な水準を下回るほどに役員報酬を下げる社長もいます。この場合、銀行は「役員報酬を払えないほど、収益力が低い会社だ」として、やはり融資が受けにくくなるものです。

また、銀行が赤字よりも嫌いなものとして「債務超過」があります。債務超過とは「資産<負債」の状態であり、赤字が続いた先が債務超過です。銀行としては、これ以上の融資は躊躇するところであり、役員報酬は生活ができる水準を下回らない範囲で引き下げてほしい、と考えるでしょう。

このあたりは、いざ赤字や債務超過になってからでは「遅すぎる」ともいえるので、少なくとも期首の段階では「1年の利益計画」を立てて、赤字や債務超過を避けられるように、役員報酬の額を検討することが大切になります。

2.借入金の返済が滞らないよう

銀行融資の視点から、赤字はよくないという話をしました。では、黒字ならばそれでいいかといえば、そうでもありません。なぜなら、黒字であっても資金繰りが厳しければ問題になるからです。

たとえば、年間500万円の利益を計画している会社があったとします。ところが、銀行借入について、年間800万円の元金返済を予定しているとしたらどうでしょう。

会社は、利益(しかも税引き後の利益)のなかから元金返済をしなければならず、300万円のおカネが足りないことになってしまいます。もし、それだけのおカネが会社になければ倒産です。

となれば、年間800万円の元金返済が滞る可能性もあるわけで、銀行としては困ってしまいます。なので、いくら黒字であっても、返済が滞るようなら「役員報酬が多すぎなのでは?」という見方をされてもしかたありません。

ここで注意点としては、元金返済の金額すべてを利益でまかなう必要はないということです。言い換えると、利益でまかなうべき返済は、次のようになります↓

年間の元金返済額ー運転資金分の借入の元金返済額ー余裕資金分の借入の元金返済額

ここでいう「運転資金」とは、経常運転資金のことであり、算式であらわすと「売掛金・受取手形+棚卸資産ー買掛金・支払手形」で求められる金額です。

この分の借入の返済原資は、「売掛金・受取手形や棚卸資産の現金化(≒ 売上入金)」によるものであり、利益を必要とはしないので「年間の元金返済額」からは除いて考えましょう。

また、すぐには使わないけれど、手元資金に余裕をもたせるために借入をしている場合(手持ちのおカネで完済できる場合)には、その分の借入についても「年間の元金返済額」からは除きます。

そのように計算した元金返済額(利益でまかなうべき元金返済額)が、もし500万円だとしたら、税引後利益が500万円あれば(厳密には、税引後利益+減価償却費で500万円あれば)、資金繰りに問題はないということです。

利益ばかりではなく、資金繰りの観点からも、役員報酬を考えるようにしましょう。

3.貸付金・借入金が発生しないよう

さいごに、もうひとつ。社長の役員報酬を考えるうえで確認すべきポイントがあります。それは、「貸付金」と「借入金」です。つまり、会社から見たときに、社長に対する貸付金が発生していないか、逆に、社長に対する借入金が発生していないか、ということになります。

結論として、それらが発生していることは、銀行融資の視点から望ましくありません。

まず、会社から社長に対する貸付金が発生している場合、銀行は「役員報酬が少なすぎるから、貸付が必要になるのでは?」と考えます。だとすれば、「役員報酬+貸付金」の額が実質的な役員報酬であり、いま費用計上されている役員報酬は過少となれば、利益の水増し(粉飾)です。

となると、「ほかにも水増ししているのでは…?」と考えるのが銀行であり、結果として融資が受けにくくなってしまいます。

いっぽうで、社長に対する借入金はどうでしょう。銀行から見れば、「社長からの借入金がなければ、資金繰りが回らない会社」だとして、融資を躊躇する要因となることがあります。融資は受けられたとしても、社長からの借入金が理由で経営者保証を外せないケースはあるものです。

この場合、役員報酬が多すぎるから、資金繰りが回らなくなっているのでは?と考えることもできるでしょう。

というように、貸付金にしても借入金にしても、銀行融資の視点からは問題となります。ですから、決算書を見たときに、社長に対する貸付金や借入金が発生しているようなら(一時的に発生しているのはよいとしても)、役員報酬の金額を見直すきっかけにしましょう。

まとめ

中小企業の経営・財務において、「社長の役員報酬はいくらにすればよいのか?」という論点がありますが。その考え方はいろいろです。では、銀行融資の視点から考えるとどうなるか、についてお話をしました。

具体的には、3つのポイントを押さえておきましょう。それができずにいると、銀行融資が受けられなくなる・受けにくくなるといったことにもなりかねません。

社長の役員報酬はいくらにするか?銀行融資の視点から考える
  1. 赤字・債務超過にならないよう
  2. 借入金の返済が滞らないよう
  3. 貸付金・借入金が発生しないよう
社長の役員報酬はいくらにするか?銀行融資の視点から考える

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