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社長が意外と知らない、負債と資本の違いについて

貸借対照表には、負債と資本(純資産)とが記載されています。いずれも資金調達という共通点がありますが、違いはどこにあるのか?また、負債と資本のどちらがよいのか?についてのお話です。

目次

負債と資本の違いは説明できる?

社長であれば、自社の決算書を見たときに、「貸借対照表」と「損益計算書」があることはご存知でしょう。このうち「貸借対照表」は、大きく3つに分かれているのもご存知のはずです。

具体的には「資産・負債・資本(純資産)」であり、負債と資本はともに「資金調達」をあらわしていること、資産はその調達にもとづく「資金運用」をあらわしています。

では、資金調達をあらわす「負債」と「資本(純資産)」について。その違いはなんですか?と聞かれたら、どのように説明をされるでしょうか。あえてカンタンな表現をするのであれば…

  • 負債 = 返済の必要があるおカネ
  • 資本 = 返済の必要がないおカネ

と、説明することができます。

負債の代表例として「借入金」を取り上げるのであれば、それが銀行から借入をしたものであれば、当然、銀行に返済しなければならないことはわかるでしょう。

というように、返済の必要があるのが負債です。買掛金や未払金など、ほかの負債についても、やっぱり返済(支払い)の必要があるという点で共通しています。

いっぽう、資本の代表例は「資本金(株主からの出資)」です。借入とは違って、返済する必要がありません。また、資本(純資産)を構成するものに「利益剰余金」もあります。

利益剰余金とは、過去の税引後利益の累積です。内部留保と呼ばれるものでもあり、当然、返済(支払い)の必要はありません。というのが、資本(純資産)に共通する特徴になります。

と、ここまでお話をしたところで。会社の資金調達として「負債と資本のどっちがいいの?」という論点について考えてみましょう。ここには、意外と盲点もありますので注意が必要です。

このあと、次のようなお話をしていきます。

このあとのお話の内容
  • 資本に越したことはない
  • 資本を増やすのは難しい
  • 過少資本より過少資金が問題

それでは、順番に解説をしていきます。

資本に越したことはない

負債と資本の違いについて再掲します↓

  • 負債 = 返済の必要があるおカネ
  • 資本 = 返済の必要がないおカネ

では、会社はどちらで資金調達をするのがよいか?と聞かれたら。「そりゃあ、返済の必要がない資本がいいよね」と答える社長がいるでしょう。たしかに、資本に越したことはありません。

おっしゃるとおり、返済の必要がないからです。たとえば、100のおカネを株主からの出資で集めることができれば、100のおカネを自由に使うことができます。自由は言い過ぎとして、少なくとも返済をする必要はありません。

これに対して、100のおカネを銀行からの借入で集めれば、遅かれ早かれ返済が必要です。そういう意味では、自由度が制限されるのが負債だといえます。

以上をふまえて、「同じ100のおカネであれば、負債より資本のほうがいいよね」と考えるのは当然のことでしょう。机上でのハナシをする限り、資本に越したことはないのです。

なお、負債が増えて「資産<負債」の状態は、「債務超過」と呼ばれます。すべての資産を現金化しても負債を完済できない状態であり、とても危険な状態です。ここまでくると、銀行も融資を躊躇するようになります。

だから負債は増えないほうがいい、つまり、おカネが必要なら資本で調達するほうがいい。やっぱり資本に越したことはない、という考え方もあります。

資本を増やすのは難しい

いましがた、「机上のハナシ」だといいました。では、現実はどうなのか?資本でおカネを増やすのは難しいといえるでしょう。

100のおカネを株主から集めるとはいいましたが、実際に誰が出資をしてくれるというのか。中小企業の場合には、大企業のように不特定多数の人たちが出資してくれることはまずありません。

出資をするのは社長本人や、その親族あたりでおしまいです。この点、おカネが100あれば足りるというのであれば、資本だけで集めるのもよいでしょう。でも、足りない場合はどうするか?

借入が必要になります。というか、借入せざるをえません。というわけで、このあとの話の前提として、「資本でおカネを増やすのは難しい」ということをようく覚えておきましょう。

なお、資本を増やすには「利益を積み上げる」という方法もあります。冒頭でもふれたとおり、資本を構成する利益剰余金とは「過去の税引後利益の累積」ですから、毎期利益を計上することで資本を増やすことが可能です。

とはいえ、やっぱりそれも難しい…ということが、社長であればわかるでしょう。毎期ずっと利益を出し続けるのはカンタンなことではありません。事業はいつも、山あり谷ありだからです。

ひとたび赤字になれば、利益剰余金の額は減ることになります。ちなみに、赤字が累積して利益剰余金のマイナス額が資本金の額を超えると、債務超過(資産<負債)です。

それはさておき、資本でおカネを増やすのは難しいわけで。いくら資本に越したことはないといっても、借入にも頼らざるをえないのが、多くの中小企業における現実です。

過少資本より過少資金が問題

借入にも頼らざるをえないのが中小企業だといいました。ですが、それでも「できるだけ資本を増やそう(=できるだけ負債を減らそう)」というのが、現実の「折り合い」となります。

債務超過がマズいことは前述しました。そこまでではなくとも、「自己資本比率を高めよう」とのアドバイスもあります。自己資本比率とは、「資本 ÷(負債+資本)」であり、資金調達の総額に占める資本の割合を示す指標です。

この点、過度に借入(負債)を嫌わないように気をつけましょう。

まず、借入をすれば自己資本比率は下がってしまいます。それを避けるために、できるだけ借入を抑えようとする社長がいます。つまり、そもそも借入をしたがらない社長です。

また、借入はするけれど、ちょっと資金に余裕ができると繰り上げ返済をする社長もいます。繰り上げ返済すれば負債が減って、自己資本比率を高めることができる!と考えてのことです。

資本に越したことはないとの話もしましたから、それらの社長の行動は理にかなっているように見えなくもないでしょう。ですが、多くの場合、その行動は間違っています。それはなぜか?

負債が減るいっぽうで、資金(預金残高)もまた減っているからです。借入をしたがらない社長の会社も、繰り上げ返済を好む社長の会社のどちらも、資金が乏しいケースが少なくありません。

すると、いざ不測の事態が起きたときなどには困ってしまいます(困ったタイミングで借入をしようとすると、銀行は警戒するので借入しづらいものです)。

だとすれば、資本よりもまず資金であり、過少資本よりも過少資金のほうが問題なのです。極論、いくら負債が増えても、資金があれば会社はつぶれません。逆に、いくら負債が少なくても、資金がなくなれば会社はつぶれます。

ゆえに、過度に借入を嫌ったり、過度に自己資本比率にこだわらないよう注意しましょう。

まとめ

貸借対照表には、負債と資本(純資産)とが記載されています。いずれも資金調達という共通点がありますが、違いはどこにあるのか?

そのうえで、会社の資金調達としては「負債と資本のどちらがいいのか」という論点についてお話をしてみた。ここには、意外と盲点もありますので、社長は理解を深めておきましょう。

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