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中小企業の社長が間違える大企業発想

中小企業の社長が間違える大企業発想

中小企業と大企業は違うのにもかかわらず、大企業の発想で経営・財務に取り組む中小企業の社長がいます。大企業の発想には、悪影響を与えるものもあるので気をつけましょう、というお話です。

目次

むしろ悪影響を与える

中小企業と大企業は違う、と言われたら。そりゃそうだ、と考える社長は多いものと推測します。ところが、そのように考える社長であっても、大企業の発想で経営・財務に取り組んでいるケースはあるものです。

言うまでもなく、大企業の発想は大企業だからこそ通用するものであり、必ずしも中小企業に通用するものではなく、むしろ悪影響を与えるものさえあります。

そこで、中小企業の社長が間違えがちな大企業発想を取り上げてみましょう。おもなところでは、次の3つです↓

中小企業の社長が間違えがちな大企業発想
  • 低価格戦略
  • 資金の抑制
  • ムリな人材採用

このあと、順番に解説をしていきます。

中小企業の社長が間違えがちな大企業発想

低価格戦略

低価格を売りにする企業があります。何をもって低価格とするかの議論はあるものの、「相対的に低価格」の例を挙げるのならば、100円ショップや、1皿100円の回転寿司など(いまはもう100円ではないかもですが)。

それらは、同じようなモノを売っている他店よりも低価格であることが、売りのひとつとなり、お客で賑わってもいます。この点、中小企業の社長が、「それならばウチだって」と考えるのであれば気をつけましょう。

低価格戦略は、資金(おカネ)があってはじめて成り立つ戦略です。低価格戦略とは、薄利多売のビジネスにほかなりません。利益の「額」を増やすには、たくさん売らなければいけない。

たくさん売るためには、たくさん仕入れなければいけません(たくさん仕入れるから、仕入れコストも下げられる)。では、たくさん仕入れるためのおカネが中小企業にはあるのか?

少なくとも、大企業に対抗できるほどのおカネはないでしょう。だからこそ、中小企業なのですし。そう考えると、低価格戦略が中小企業にとって望ましい戦略ではないことがわかります。

では、どうするか?もちろん、価格を上げればいいというハナシではあるものの、それでは低価格を売りにする企業に負けてしまいます。そこで、「高価格+絞り込み」がポイントです。

つまり、価格を上げつつ、顧客を絞り込みます。かつての高級食パン店は、その一例です。いまでこそ飽和状態にありますが、当初は「食パンはリーズナブル」がふつうであり、そこに「食パン専門店」という絞り込みで高価格を実現しました。

絞り込みとは、スキマを探すということでもあります。競合他社が少ない分野を探すということです。食パンを売る会社はいっぱいあるわけですが、高級食パンを売る会社は少ない(かつては)。その少ない場所でなら、高価格も実現できるはずだ、ということになります。

資金の抑制

ここでいう資金とは、カンタンにいえば預金残高であり、手元にあるおカネのことです。大企業にあっては、資金の抑制を目指すことがあります。つまり、手元のおカネはできるだけ少なくする。

なぜなら、おカネを使わずに置いておくなどもったいないからです。おカネを集めるのにも、何かしらのコストがかかります(借入なら利息、出資なら配当など)。そこまでして集めたおカネを、ただただ置いておくなんて効率が悪い!

というのであれば、たしかにもっともなハナシです。が、これもまた大企業の発想であることに気をつけなければいけません。大企業が資金を抑制できるのは、いつでも資金調達ができるからです(借入、増資、社債発行など)。

いっぽうの中小企業は、大企業ほどいつでも資金調達ができるわけではありません。資金調達の手段も、大企業に比べれば限られています(手段はあっても、実現の難易度が高いことも含めて)。

にもかかわらず、手元のおカネが少ないままにしているとか、手元のおカネが増えてくるとすぐに繰り上げ返済をするとか。結果として、いざというときにおカネがなくて困ってしまいます。

おカネが必要になったら銀行から借りればいい、増資を募ればいい、というわけにはいかないのです。大企業ほど信用がない中小企業は、いつでも銀行から借りられるわけではありませんし、不特定多数の第三者から出資をしてもらえるわけではありません。

だとすれば、ふだんからいざというときに備えて、できるだけ手元のおカネを増やしておくのが、中小企業の財務戦略というものです。資金の効率よりも、資金繰りの安全が最優先であることを理解しておきましょう。

銀行融資に関していえば、借りられるときに借りておくこと。いちど借りたものを、カンタンに繰り上げ返済したりはしないことです。

ムリな人材採用

誤解を恐れずにいえば、「良い人材が集まるから、良い会社になる」のではありません。「良い会社だから、良い人材が集まる」のだといえます。

つまり、「大企業=良い会社」だとすれば、大企業は良い会社だから、良い人材が集まるわけです。では、中小企業が良い人材を集めるためには…良い会社になることでしょう。

とはいえ、中小企業が大企業になれ!というハナシではありません。規模(≒ 量)の面ではなくて、質としての良い会社を目指しましょう、という話をしています。

前述したように、低価格戦略をやめて「高価格+絞り込み」を目指すことなども、良い会社になることだといえるでしょう。結果、業界や地域で目立ち、利益も増えれば、良い人材が集まるようになりますし、良い人材を採れるようにもなります。

いっぽうで、良い会社になるよりも前に、良い人材を採ろうとムリをしすぎるのはいけません。最たる例は、給与を増やして採用しようとすることです。

その瞬間には、良い人材を採れる可能性はありますが、良い会社になれなければ増やした給与を持続的に支払い続けることができません(賃上げが続かないことも含めて)。だとすれば、良い人材ほど見切りをつけられ、辞められてしまうでしょう。

採用にあたり、給与水準を上げるのも必要なことですが、まずは良い会社になること。その優先順位を間違えないように気をつけましょう。大企業並みに給与水準を上げればいい、というカンタンなハナシではありません。

まとめ

中小企業と大企業は違うのにもかかわらず、大企業の発想で経営・財務に取り組む中小企業の社長がいます。大企業の発想には、悪影響を与えるものもあるので気をつけましょう。

ちまたでは、大企業の発想が注目されがちなので、情報の取捨選択にも注意する必要があります。

中小企業の社長が間違えがちな大企業発想
  • 低価格戦略
  • 資金の抑制
  • ムリな人材採用
中小企業の社長が間違える大企業発想

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