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自社にとっての親身な銀行とは

自社にとっての親身な銀行とは

自社にとっての親身な銀行について、勘違いをしている社長がいます。すると、本当に親身な銀行をなおざりにしてしまうなどの問題が生じうるので、じゅうぶんに気をつけましょう。

目次

親身というのも抽象的な概念

社長から、「〇〇銀行は親身でよい銀行だ」といった話を聞くことがあります。ところが、よくよくようすをうかがっていると、必ずしも親身とはいえないのではないか…?

というのは、意外と「あるある」だったりします。つまるところ、社長が「自社にとっての親身な銀行」を勘違いしているようなケースです。そもそも、親身というのも抽象的な概念ではあります。

そこで、もう少し具体的に「親身な銀行」を定義してみることにしましょう。おもには次のとおりです↓

自社にとっての親身な銀行の定義
  • リスクをとっている
  • 定期的に接点をつくってくれる
  • 業績が悪いときでも話を聞いてくれる

それではこのあと、順番に解説をしていきます。親身な銀行を勘違いしていると、本当に親身な銀行をなおざりにしてしまうなどの問題が生じうるので、注意が必要です。

自社にとっての親身な銀行の定義

リスクをとっている

リスクをとっている銀行は、親身な銀行だといえます。銀行にとってのリスクとは、最たるものが融資です。銀行が貸したおカネを、会社が返してくれるとは限りません。つぶれてしまう会社だってあるからです。

では、融資額が多い銀行が「親身」かといえば違います。ここは、勘違いの多いところですから気をつけましょう。

たとえば、銀行が融資をするにあたって、不動産を担保に取っていたり、定期預金を担保に取っているのだとすれば、銀行にリスクは無い(あるいは少ない)ということになります。

会社が返済できなくなったら、それらの担保を処分すれば、回収しそびれずにすむからです。なかには、必要以上に担保を取る銀行もありますから、社長は気をつけたほうがよいでしょう。

本来、返済力(=利益)がじゅうぶんであれば、そこまでの担保は必要ないということはあるのです。

また、融資をするでも「信用保証協会の保証付き」ばかりというのも、銀行がリスクをとっていないケースといえるでしょう。会社が返済できなければ、信用保証協会が肩代わりをしてくれるからです。

以上をふまえて、銀行がリスクを取っているかどうかは、次のように考えてみましょう↓

銀行のリスク=借入金残高ー(担保の評価額+保証付き融資の残高)

これを、取引銀行ごとに計算してみて、もっとも大きな金額の銀行が「もっともリスクを取っている銀行」であり、つまりは「親身な銀行」だという考え方です。

定期的に接点をつくってくれる

制度融資ばかりをお勧めしてくる銀行があります。制度融資とは、自治体と信用保証協会と銀行の3者が関与する融資です。信用保証協会の保証が付いているという点では、前述の保証付き融資と変わりません。

銀行としてはリスクがない(あるいは少ない)融資であるために、積極的に貸し出しを進める銀行もあるのです。これを受けて、親身な銀行だと勘違いをしている社長がいます。

利用できる制度融資を見つけて案内をしてくれる、なんて親身な銀行なんだろう、みたいな。たしかに、親身で案内をしてくれる銀行があるいっぽうで、「制度融資だから案内をしているだけ」の銀行もあります。

後者の銀行であれば、プロパー融資(信用保証協会の保証がない融資)をしてくれることはなく、制度融資で貸し出しをしたあとは知らんぷり、というケースはあるものです。

せっかく制度融資を利用するのであれば、先々はリスクをとってプロパー融資をしてくれるような、それこそ「親身な銀行」からにしましょう。では、その親身な銀行とは?

ふだんから、定期的に接点をつくってくれる銀行です。わかりやすいところでいえば、定期的に自社を訪ねてきて、状況把握をしてくれるような銀行になります。

はたして、社長が「親身」だとおもっている銀行は、制度融資や金融商品、定期預金やクレジットカードなどのセールスとは別に、自社に足を運んでくれているでしょうか?

そういえば、用がないと顔を合わせていないなぁ…というような銀行は「親身」とはいえない可能性があります。もっとも、銀行から定期的な接点を求められるような環境づくりも大切です。

たとえば、毎月、きちんと試算表や資金繰り表をつくっているとか。すると、銀行は状況把握がしやすいので、定期的に足を運びやすくなります。いっぽうで、試算表も資金繰り表もつくっていませんとなると、銀行担当者の足も遠のくものです。

業績が悪いときでも話を聞いてくれる

自社の業績がよいときに、銀行がよい顔をしてくれるのは当然です。銀行は晴れの日に傘を貸して、雨の日に傘を取り上げる。なんてハナシもありますよね。

なので、業績が悪くなったとたんに態度が冷たくなる銀行はありますし、他行任せにする銀行さえあります。融資の相談をしたら、「〇〇銀行さんに相談されてみてはいかがですか」みたいな。

これに対して、自社の業績が悪いときにも、話を聞いてくれる銀行はあります。融資をしてくれるかどうかは別として、問題の解決に向けていっしょに知恵を絞ってくれる銀行はあるのです。

割合としては少ないといわざるをえませんが、そういった銀行もあるにはある。ですから、そのことも頭に入れつつ、自社にとって「親身な銀行」を見極めるようにしましょう。

繰り返しですが、自社の業績が悪いときこそ、調子がよくないときこそ、寄り添って話を聞いてくれるような銀行を見つけることです。とはいえ、銀行も単なるお人好しではいられません。

話を聞くべき相手かどうか、という目は持っています。たとえば、業績が悪化しているのに、社長が経営改善に取り組む姿勢が見えない(≒ 改善計画をつくっていない)とか。

また、ふだんも会社のほうから情報提供をまったくしていない(≒ 試算表や資金繰り表を提示していない)ようだと、銀行は業績悪化にいたった経緯がわからず、業績改善の蓋然性をはかることもできないために、支援を躊躇することはあるものです。

そう考えると、会社には「不断の経営改善・普段の情報開示」がいかに重要であるかがわかるでしょう。親身になってくれる銀行がないのであれば、自社の側に問題があるのかもしれません。

まとめ

自社にとっての親身な銀行について、勘違いをしている社長がいます。

すると、本当に親身な銀行をなおざりにしてしまうことになり、結果として、じゅうぶんな額の融資を引き出せなくなるなど、資金繰りに悪影響が生じるようでは問題です。

というわけで、自社にとっての親身な銀行の定義を理解しましょう。

自社にとっての親身な銀行の定義
  • リスクをとっている
  • 定期的に接点をつくってくれる
  • 業績が悪いときでも話を聞いてくれる
自社にとっての親身な銀行とは

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