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社長が銀行に交渉すべきでないこと

社長が銀行に交渉すべきでないこと

会社が銀行融資を受けるにあたって、銀行との交渉はあってしかるべきもの。と、おもわれるかもしれませんが。社長が銀行に交渉すべきでないこともあります、というお話です。

目次

社長はそう考えるものでしょう

会社の銀行融資について。少しでもよい条件で融資を受けたい、社長はそう考えるものでしょう。金額はたくさん借りたい、期間は長く借りたい、金利は低くしたい、など。

ですから、ときには銀行との交渉をすることがあるかもしれません。いっぽうで、社長が銀行に交渉すべきでないことがある、といわれたらどうでしょう。

えっ、どういうこと?何を交渉すべきではないの?と、首をかしげるようなら、このあとのお話を確認していただければとおもいます。具体的には、次のとおりです↓

社長が銀行に交渉すべきでないこと
  • 金利の引き下げ
  • 実行までの速さ
  • 担当者の変更

これらについて、順番に説明をしていきます。

社長が銀行に交渉すべきでないこと

金利の引き下げ

冒頭でもふれたとおり、社長であれば「融資金利を少しでも下げたい」と考えるものでしょう。ところが、金利の引き下げを交渉すべきではありません。

正確には、「金利の引き上げを牽制しつつも、引き下げの交渉はしない」ということになります。では、「金利の引き上げを牽制する」とはどういうことか?

日ごろから、社長が銀行担当者と「金利に関する話」をしておくことです。たとえば、他行の融資金利の状況や、融資金利の相場(日銀が毎月公表している貸出約定平均金利)、あるいは日銀の金融政策についてなど。

すると、銀行は「この社長は、金利に対する理解がある」として、うかつには金利を引き上げづらくなります。引き上げようとしても、社長から「論理的」に抵抗されるであろうからです。

逆に、そういった話ができていないと、銀行からは「この社長は、金利について不理解だ」とおもわれます。金利を引き上げようとしても、社長は「感情的」な抵抗しかできない。そのようにして足元を見られれば、金利の引き上げを迫られやすくもなるものです。

ゆえに、まずは「金利の引き上げを牽制する」ことが大事になります。そのうえで、「必要以上に引き下げの交渉はしない」ことです。

とくにいまは、金利が上昇局面にあります。2024年3月には、マイナス金利が解除となりました。これからは、金利が上がっていくことでしょう。また、地方銀行を中心に再編が進んでいます。

その結果、銀行どうしの争いが減れば、低金利での融資合戦も減りますから、やはり融資金利は上がっていくでしょう。なので、融資金利が上がることは必然なのです。

にもかかわらず、社長が過度に金利の引き下げ交渉をするようだと、銀行からは嫌われてしまいます。「だったら、もう貸さなくていいや」と、銀行は考えるようになるからです。そうなっては困る会社がほとんどでしょう。

実行までの速さ

銀行に融資を依頼する際、「急ぎで」という注文をつける社長がいます。これすなわち、銀行に対して「融資実行までの速さ」を交渉しているということです。

気持ちはわかりますが、2つの点で融資が受けにくくなることを覚えておきましょう。まず1つは、「そんなに急ぐほどおカネがないなら、危ない会社だ」と見られてしまうことです。

事実、おカネがないから急いでいるわけですが、だとすれば、借りたおカネはすぐに使われてしまいます。そのあと、きちんと返済をしてもらえるのだろうか…?と、銀行が考えるのは当然です。

だとすれば、おカネがあるうちに、余裕をもって融資を依頼するのが得策だとわかります。

それからもう1つ、「銀行が融資をするにも時間がかかる」ということです。いうまでもなく、融資をするまでには審査があり、いろいろと手続きもあります。具体的にどれほど時間がかかるのかはケースバイケースですが、相応の時間がかかるのです。

もし、融資を依頼した銀行の担当者が、ほかの案件も多くて忙しければ、いつもよりも時間がかかるということはあります。なのに「急ぎで」と言われても…と、なってしまうでしょう。

さらにいえば、銀行には「貸したい時期」があります。たとえば、銀行の決算である9月や3月の前あたりです。営業目標が未達であればとくに、その支店や担当者は「貸したい!」と考えます。

ですが、すでに目標を達成していたり、その他の時期であれば、それほど貸したいわけでもないことはあるわけです。なので、このタイミングで「急ぎで」と言われても、銀行には急ぐ道理もありません。

だとすれば、時間的な余裕を持って融資の依頼をしておき、融資実行のタイミングは「あるていど銀行に任せる」というほうが、スムーズに融資を受けられる可能性は高まります。

いずれにせよ、銀行に対して「急ぎで」とはいわないようにしましょう。

担当者の変更

銀行担当者もいろいろです。あたらしい担当者が、どうもよくない。以前の担当者に比べると、話を聞いてくれなかったり、話をしても理解が悪かったり。なにかを依頼・相談しても対応が悪い。

挙げ句の果てには、こちらのお願いや約束を忘れてしまっていたり…これはもう、さすがにガマンがならない!ということで、銀行に対して担当者の変更を要請する社長がいます。

これまた気持ちはわかりますが、やはり得策ではないでしょう。銀行にも「都合」がありますから、そうカンタンには担当者を変えてくれるものでもありません。

それに、「うるさいことをいう社長(会社)だ」とのレッテルを貼られることにもなります。いやいや、悪いことをしたのは銀行のほうだろう!とおもわれるのであれば、そのとおりです。

が、白黒を決めるのは社長(会社)ではなく銀行だ、というところにポイントがあります。誤解を恐れずにいえば、チカラ関係では「貸す側のほうが立場が上」なのです。

ゆえに、「たしかに、担当者が少々よくないことをしたかもしれないけど、別に担当者を替えるほどのことでもないだろう」と銀行が考えれば、悪いのは「うるさい社長」ということになってしまいます。

すると、どうなるか?当然、その後の関係性が悪くなり、融資も受けにくくなります。だとすれば、基本的にはガマンをすることです。担当者も時間がたてば替わります。

それまでのあいだは、他の取引銀行から融資を受ける、他の取引銀行に相談をする、といったことでしのぐのがよいでしょう。そのためにも、ふだんから複数の銀行と取引をしておくべきです。

ちなみに、銀行担当者があまりにもひどい、あまりにもよくないことをしたというときに、冷静かつ端的に指摘や注意をするのはかまいません。いっぽうで、感情的かつ執拗に…というのはやめましょう、ということになります。

まとめ

会社が銀行融資を受けるにあたって、銀行との交渉はあってしかるべきもの。と、おもわれるかもしれませんが。社長が銀行に交渉すべきでないこともあります、というお話をしました。

実際には、交渉すべきでないにもかかわらず、一生懸命に交渉している社長もいます。結果として、融資を受けにくくすることを理解しておきましょう。ひいては、資金繰りの悪化につながります。

社長が銀行に交渉すべきでないこと
  • 金利の引き下げ
  • 実行までの速さ
  • 担当者の変更
社長が銀行に交渉すべきでないこと

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