リスケは早すぎても遅すぎてもいけません。とはいえ、早すぎるとか、遅すぎるとか、具体的にはどのようなタイミングのことをいっているのか?それぞれを確認していきます。
早すぎるとか、遅すぎるとか
銀行融資を受けている会社の社長が、理解をしておくべきものの1つが「リスケ」です。リスケとはリスケジュールの略であり、当初の契約における「返済の猶予・減額」をいいます。
そのリスケについて、大事なことは「早すぎてもいけない、遅すぎてもいけない」ということです。
いうまでもなく、リスケは好ましいことではありませんから、できることなら避けたい。そう考えると、しなくてもいいリスケをする、つまり、早すぎるリスケは避ける必要があります。
とはいえ、リスケを避けすぎるあまり、リスケの判断が遅れれば、手元のおカネはすでにカツカツであり、リスケができたとしてもすぐに資金ショート…ということになりかねません。
ゆえに、リスケは早すぎても遅すぎてもいけないのです。では、早すぎるとか、遅すぎるとか、具体的にはどのようなタイミングのことをいっているのか?
このあと、確認をしていきましょう。
リスケをすべきタイミングとは?
早すぎるリスケ、遅すぎるリスケを理解するにあたり、まずは「リスケをすべきタイミング」から確認をしていきましょう。まとめると、次のとおりです↓
- 新規融資が受けられない(借り換えもできない)
- 新規融資を受けられてもすぐに資金ショートする
これらのいずれかに該当する場合には、リスケをすべきタイミングだといえます。
1つめの「新規融資が受けられない」とは、銀行に融資の相談をしても断られてしまうということです。どの銀行に相談をしても新規融資はムリ。また、毎月の返済額を減らすための借り換えについても断られてしまう…といった状況です。
もう1つの「新規融資を受けられてもすぐに資金ショートする」とは、融資を受けることはできるのだけれど、金額がじゅうぶんではなく、数ヶ月で資金ショートすることが見えている、という状況をいいます。
それでも、借りれるのなら借りたほうがいい、とおもわれるかもしれませんが。それはやめておきましょう。実際に、借りてからすぐに資金ショートしそうになり、その時点で慌ててリスケを銀行に相談するという会社もあります。
すると、リスケを断られてしまうことにもなりかねません。銀行からしてみたら「返済できないことがわかっていて借りたのか?」ということになるからです。結果、リスケができなければ、会社は本当につぶれてしまいます。
したがって、借りれても借りてはいけない場面があることは覚えておきましょう。
リスケが早すぎるとは?
リスケをすべきタイミングがわかったところで、リスケが早すぎるとはどのようなタイミングをいうのか?
あたりまえの話として、「いま現在、おカネ(預金残高)がじゅうぶんにあるとき」が挙げられます。おカネがあれば、リスケする必要ありません。
ですが、おカネがじゅうぶんにあることを確認できていない会社は少なくありません。だから、あわてて銀行に相談をすることにもなるわけです。では、どうするか?
向こう1年の資金繰り予定表をつくりましょう。これまた、あたりまえの話なのですが、資金繰り予定表をつくっていない中小企業のほうが多いですから、あえてのお話となります。
資金繰り予定表をつくってみて、向こう1年のあいだ、銀行への返済が滞りなくできるのであれば、ひとまずは、じゅうぶんなおカネがあるといえます。
いっぽうで、向こう1年のあいだに、返済が滞る可能性があるというのなら、リスケも選択肢に入れて、対応を考えることになります。とはいえ、必ずしもリスケを選択するわけではありません。
この時点で、新規融資を受けることができて(借り換えも含めて)、それであれば返済が滞ることもないというのであれば、リスケをする必要はありません。
なので、融資が受けられるのにリスケを選択するのでは「早すぎる」ということになります。ちなみに、A銀行では融資を断られても、B銀行では融資を受けられたということはあるものです。
そのあたりもふまえて、ふだんから複数の銀行とおつきあいを持ち、いざというときの選択肢を増やしておくのは大切なことだといえます。
リスケが遅すぎるとは?
では、リスケが遅すぎるとはどのようなタイミングをいうのか?
前述した、リスケをすべきタイミングからわかるはずです。つまり、新規融資が受けられないのに、なんの対応もしない。新規融資を受けられてもすぐに資金ショートすることが見えているのに、融資を受けてしまう…というのでは、リスケが遅すぎることになります。
実際には、リスケが早すぎるよりも、遅すぎるケースのほうが多いでしょう。社長には「リスケはしたくない」との考えがありますから、どうしても先延ばしをしたくなるからです。
すると、遅すぎる可能性が高まるので気をつけなければいけません。リスケによって会社を持続することもできますが、リスケが遅すぎて会社をつぶしてしまうこともあるのです。
「遅すぎる」の目安として、預金残高が「平均月商(年間売上高÷12か月)の1か月分未満」という点も覚えておくとよいでしょう。
それよりも預金が少ない段階でリスケとなると、せっかく返済を猶予できても、手元のおカネがなさすぎるので、結局は資金ショートしてしまう…という可能性が高まります。遅すぎです。
ゆえに、社長は「最低限の預金(平均月商の1か月分)」があるうちにリスケをする、という理解が大切になります。ところが、おカネがあると「まだだいじょうぶ」と考えてしまいがちなので、目安(基準)をもって判断できるようにしておきましょう。
もちろん、預金残高は日々変動しているものですから、先々の見込みを把握しておかなければいけません。いまは、目安以上の預金があっても、数ヶ月後には目安未満ということもあるからです。
見込みを把握するためには、前述した資金繰り予定表が必要になります。資金繰り予定表をつくりましょう。リスケの判断には欠かせないツールです。
まとめ
リスケは早すぎても遅すぎてもいけません。とはいえ、早すぎるとか、遅すぎるとか、具体的にはどのようなタイミングのことをいっているのか?それぞれを確認してきました。
実際には、リスケの判断が早すぎる会社、遅すぎる会社があるものです。本記事の内容を押さえて、リスケの判断に備えましょう。事業は山あり谷あり、リスケは他人事ではありません。