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融資金利は額で見て、税で見て、利益で見る

融資金利は額で見て、税で見て、利益で見る

日銀の利上げが迫っています。となれば、社長が気にするのは「融資金利」でしょう。この点、融資金利は額で見て、税で見て、利益で見る、というお話をしていきます。

目次

いよいよ利上げか?

きょうは、2024年7月25日。来週の日銀会合では、いよいよ利上げか?との報道も見られています。というわけで、円高株安も進行するなか、利上げといわれて社長が気になるのは「融資金利」でしょう。

日銀が利上げをすれば、遅かれ早かれ、融資金利にも影響します。つまり、融資金利は上がっていくということです。すでに、その兆候は見られてもいますから、社長が気にするのももっともです。

同じ金額のおカネを借りるでも、金利が上がれば返済負担も増えるわけで。だとすれば社長は、「なんとしても融資金利の上昇を押さえねば。銀行と交渉だ!」と、考えもするでしょう。

このとき、次の点を気をつけるようおすすめします。それは…

「融資金利は額で見て、税で見て、利益で見る」

といわれても、いったいどういうこと?と、おもわれるかもしれませんので。このあと、解説をしていきます。

融資金利は額で見る

まずは、融資金利を「額」で見ましょう、というお話から。融資金利の引き上げというと、表面的な「率」ばかりを見てしまいがちです。たとえば、金利が0.5%上がります、というときの「0.5%」が率にあたります。

で、「うわぁ、0.5%も上がるのかぁ!」となるわけです。が、それは過剰反応かもしれません。なぜなら、「額」で見たら、それほどではないかもしれないから。

事例で考えてみましょう。1,000万円を借りるにあたり、融資金利が0.5%上がったら。1年に増える支払利息はいくらでしょう?

ざっくり計算で、1,000万円×0.5%=5万円です。借入当初が5万円で、あとは返済が進むにつれて減っていきます。とにかく、最大で年間5万円。これが、融資金利が0.5%上がったときの「額」です。

と聞いて、率で見ていたよりも、額で見ると「それほどでもないな」と感じる人は少なくないものとおもいます。年5万円ですから、ひと月あたりなら5,000円弱です。

ちょっとほかのコストを削ることができれば、じゅうぶんに負担できる額だともいえます。にもかかわらず、0.5%を巡って銀行と激しく交渉すればどうなるか?

銀行としては、「だったらもういいや。ここで貸さなくても、他社で借りてもらえればカバーできるし」と考えることもあるはずです。結果、自社は融資そのものが受けられなくなってしまう。

それでは困る!という社長は多いでしょう。だったら、銀行に金利交渉などしないことです。もちろん、融資金利引き上げの「理由」を確認する必要はあります。

でもそれば、世の中の利上げによるもの、つまり、銀行にとっての「仕入れ値」が上がったことによるものであれば、いわゆる価格転嫁であって受け入れざるをえない、ということです。

というわけで、融資金利は「額」で見て、いちど冷静になりましょう。

融資金利は税で見る

銀行に支払う利息には、節税効果があります。利息は経費になるので、利息を払った分だけ利益が減るからです。利益が減れば、法人税の額(利益×法人税率)も減ります。

さきほど、融資金利が0.5%上がる例を挙げました。法人税率が30%だとすると、節税効果を考慮した融資金利は「0.5%×(100%ー30%)」で0.35%になります。

すると当初増える利息は、1,000万円×0.35%で35,000円です。なので、0.5%の融資金利引き上げによる「実質的な利息増加額」は、5万円ではなくて35,000円ですむことになります。

融資金利引き上げに対する抵抗感をおさえる考え方として、利息の節税効果については覚えておくとよいでしょう。とはいえ、節税効果をえられるのは、自社が黒字であるときに限られます。

法人税は、利益に対して課せられる税金であるため、赤字(利益がない)の場合、そもそも法人税がゼロとなり、節税もなにもありません。そういったこともふまえて、次にお話をする「利益でみる」という考え方も大切になります。

融資金利は利益で見る

いましがた話をしたとおり、利息の節税効果をえるためには黒字が前提です。なので、融資金利が引き上げられていくいま、節税効果をえるためには、これまで以上に黒字の重要性が高まるといえるでしょう。

赤字の場合には、金利は上がるし、節税効果はえられないしの二重苦です。

それからもうひとつ、融資金利は利益で見るというポイントがあります。それは、「世の中の金利が上がれば、自社の利益は増えるはず」という自然の流れに乗れるかどうかです。

そもそも、日銀の利上げをはじめ、世の中の金利が上がるということの前提には、「好景気」があります。すくなくとも、景気が悪くはない。だから、日銀も利上げを考えられるわけです。

利上げには、景気のブレーキ効果もありますから、すでに不況なのに利上げをしたら、世の中がおかしくなってしまいます。よって、利上げの前提には好景気がある、ということです。

だとしたら、自社の売上も増えてしかるべきでしょう。利益も増えてしかるべきでしょう。利益率も上がると考えれば、融資金利引上げ分は、上がった利益率でまかなえるというものです。

もし、それができないのだとすれば、つまり、自社の利益率が上がらないのだとすれば、自社の事業や自社の経営に問題があるといえます。銀行もまた、そのような見方をするでしょう。

結果として、融資金利の引き上げを受け入れられないほど利益率が振るわない会社には、融資を躊躇するようになり、好景気の波に乗り利益率を高めている会社には、積極的に融資をしようともするはずです。いわゆる二極化が進みます。

自社がどちらの会社になりたいのか、考えるまでもありません。融資金利が引き上げられるいま、自社の利益について、これまで以上にこだわりましょう。

まとめ

日銀の利上げが迫っています。となれば、社長が気にするのは「融資金利」でしょう。この点、融資金利は額で見て、税で見て、利益で見る、というお話をしました。

融資金利の「率」にばかり注目して、銀行に過度な交渉をするのはおすすめできません。融資そのものを受けにくくする可能性が高まりますので、気をつけましょう。

融資金利は額で見て、税で見て、利益で見る

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