日本公庫から借入をしたことがない、以前に借りたことはあるけれど完済した、という会社もありますが。いまこそ日本政策金融公庫から借入すべき、といえる理由についてお話をします。
いまとは、2024年8月6日現在のこと
会社が金融機関から借入をする場合、大きく分けて2つあります。1つは、民間金融機関からの借入であり、もう1つは、公的金融機関からの借入です。
このうち、公的金融機関とは。多くの中小企業にとって、まずは、日本政策金融公庫(以下、日本公庫)が挙げられます。では、その日本公庫から、自社は借入をしているのか?
この点、まったく借入をした経験がない、という会社があります。また、以前に借りたことはあるけれど、いまは完済して借入はしていない、という会社もあるでしょう。
ところが、「いまこそ」日本公庫から借入をすべき、といえます。いまのうちに、日本公庫から借入をしておいたほうがよい、ということです。
ここでいう「いま」とは?2024年8月6日現在のことであり、日銀の利上げがはじまったことに加え、令和のブラックマンデーと呼ばれる大混乱のさなかです。
そんないま、なぜ、日本公庫から借入すべきなのか?おもな理由は以下のとおりです↓
- 預金残高を増やせる
- 借入余力を増やせる
- 選択肢を増やせる
このあと、順番に解説をしていきます。
いまこそ日本政策金融公庫から借入すべき理由
預金残高を増やせる
日本公庫には、預金機能がありません。つまり、日本公庫は融資専門の金融機関であり、会社は借りるだけで、日本公庫に預金をすることはできないのです。では、借りたおカネをどうするか?
どこか、民間金融機関にあずけることになります。仮に、A銀行にあずけるのであれば、日本公庫から借りる前と借りるあとでは、借りたあとのほうがA銀行の預金が増えるとわかるでしょう。
いやいや、なにをあたりまえのことを…と、おもわれるかもしれませんが。銀行は、自行の口座に預金がある会社のほうが、より積極的な融資を検討することができます。
預金は担保のようなものでもあるため、預金が多いほど、銀行はリスクを取れるようになるからです。では、ここでいう「積極的な融資」とは?
単に借りやすくなる、ということだけではありません。借りやすくなるうえに、借入金利を下げやすくなることも含まれます。借入金利とリスクとのあいだには、関連性があるからです。
冒頭、日銀の利上げにふれました。今後は、数年のあいだに、1〜2%ていど借入金利が上昇することも想定されます。であれば、できるだけ借入金利を下げたい!というのが社長の思いでしょう。
その思いを実現するためには「材料」が必要です。銀行に、金利を下げてもらうための材料が。というわけで、1つの材料になるのが預金です。
たとえ借りたおカネであっても、預金は預金。日本公庫から借りたおカネを、活用していきましょう。そのためには、どの銀行にあずけるかも重要になります。借入していない銀行・借入するつもりもない銀行にあずけるのではもったいないハナシです。
借入余力を増やせる
日本公庫には、「民間金融機関を補完する」という役割があります。民間金融機関が融資をしづらいような場面でも、柔軟に対応するのが日本公庫の役割なのです。
では、民間金融機関が融資をしづらい場面とは。たとえば、会社の業績が悪いときが挙げられます。銀行にとっては、リスクが高まるので、民間金融機関は融資を躊躇しがちです。
結果、多くの会社がつぶれてしまうのは困るので、日本公庫が支えようということになります。
だとすれば、会社は日本公庫と「つながり」を持っておくことが大切だとわかるでしょう。ふだんから「つながり」がないと、いざというときにも、すぐには借入できない…ともなりかねません。
ここでいう「つながり」とは、言い換えると、借入残高があるかどうかです。いま現在、日本公庫からの借入があるかどうか。あれば、日本公庫とは「つながり」がある、ということです。
であれば、いざというときにも、融資を受けられる可能性が高まります。日本公庫からすれば、ふだんの「つながり」をとおして、その会社のことをわかっているからです。
この「いざというときにも、融資を受けられる可能性」、いうなれば「借入余力」は、民間金融機関に対してもプラスの効果があります。いざというときには、日本公庫から融資が受けられる。それなら、会社がつぶれる可能性は低くなる、という考え方です。
結果として、民間金融機関の借入金利を抑える効果がはたらきます。逆に、日本公庫からの借入余力がないようだと、民間金融機関の借入金利が引き上げられやすいということです。
選択肢を増やせる
いましがた、こんなことをいいました。日本公庫とつながりがあると、いざというときにも、融資を受けられる可能性が高まる、という話です。
でも、それはなぜなのか?いくら日本公庫といえども(民間金融機関を補完するのが役割といえども)、やはり、自社の業績が悪いほど融資が受けにくくなるのは同じことです。
それでも、民間金融機関に比べれば…ということでしかありません。ではなぜ、日本公庫は民間金融機関に比べて、自社の業績が悪いときでも柔軟に融資を検討できるのか。
それは、日本公庫が民間金融機関よりも、「返済実績」をより重視しているからです。返済実績とは文字どおり、これまで返済をしてきた実績をいいます。
つまり、これまで約束どおりに返済をし続けてくれたのだから、これからも大丈夫だろう、という考え方です。ゆえに、日本公庫にきちんと返済し続けることが実績となり、のちの借りやすさにつながります。
ところが、返済が遅れてしまえば(うっかり、引き落とし口座が残高不足…なども含めて)、返済実績に「キズ」がつきます。この会社は信用できないぞ、となってしまいます。
また、据置期間を設定していると、そのあいだは元金返済がないので、返済実績ができないことにも注意が必要です。
冒頭でもいったとおり、いまは金利引き上げ懸念に加えて、世界的な株安が起きるなど、先行き不透明な時代でもあります。いざというときの資金調達の選択肢を増やすためにも、日本公庫への返済実績を積み上げておくとよいでしょう。
それにはまず、借入をすることです。
まとめ
日本公庫から借入をしたことがない、以前に借りたことはあるけれど完済した、という会社もありますが。いまこそ日本政策金融公庫から借入すべき、といえる理由についてお話をしました。
今後、進むであろう利上げを見据えて、また、先行き不透明な時代だからこそ、日本公庫からの借入を活用することを検討してみましょう。
- 預金残高を増やせる
- 借入余力を増やせる
- 選択肢を増やせる