日銀の利上げもはじまり、世の中の金利が上がっていく過程にあります。すると、日本政策金融公庫からの借入はどうなるのか?実は、意外と困ったことになるかもしれません。そんなお話です。
ボーッとしているうちに困ったことに
きょうは、2024年8月21日。日銀の利上げもはじまり、次の利上げはいつなのかが注目されている状況です。ちなみに、日銀が利上げをすれば、借入金利も上がります。
社長にとってはツラいところでしょうが、実際にも、借入金利の上昇は確認されているところです。そのうえで、日本政策金融公庫(以下、日本公庫)からの借入はどうなるのか?
というのが、本記事のテーマです。ややもすると、「利上げと日本公庫の借入にどのような関係が?(関係ないだろう)」とおもわれるかもしれませんが。
実は、意外と困ったことになるかもしれませんよ、という点をお話ししていきます。ボーッとしているうちに困ったことにならないよう、本記事の内容を押さえておきましょう。
民間金融機関の貸し渋りが起点になる
日本公庫の借入がどうなるか、に関連して。まずは、民間金融機関の貸し渋りが起点になります。日本公庫は、公的金融機関です。それはさておき、民間金融機関の貸し渋りがはじまります。
なぜなら、融資金利が上がるほど、民間金融機関は融資に慎重になるからです。これは、あたりまえですよね。借入金利が上がれば、会社は返済負担が増えますから、金利が上がる前に比べて、返済できなくなる会社が増える可能性は高まります。
なので、銀行は融資に慎重になるわけです。つまり、融資審査が厳しくなります。結果として、いままでは融資は受けられていたのに、急に、融資を断られるようになった…という会社も増えていくでしょう。
このあたりが、民間金融機関による貸し渋りです。
ただ、いっぽうで、業績がよい会社・将来性がある会社などに対しては、これまで以上に、銀行は融資をしようとするでしょう。金利も上がっているし、貸せば貸すほどもうかるからです。
よって、「二極化」が進む、ということでもあります。借入がどんどんできる会社と、借入がまったくできない会社との差が広がっていくイメージです。
この点、いままで以上に「利益を出すこと」が重要になり、いままで以上に「事業内容のよさ(将来性)」が重要になることを理解しておきましょう。
納税を嫌って利益を出し惜しみしたり、旧態依然の事業にしがみついているようだと、銀行は離れていくかもしれない。そういうことです。
民業圧迫のそしりを避けたい日本公庫
いましがた、民間金融機関の貸し渋りについてふれました。すると、日本公庫はどうなるか。日本公庫もまた融資を控えるようになります。ただし、その理由は、民間金融機関とは異なります。
公的金融機関である日本公庫の役割は、「民間金融機関の補完」です。民間金融機関が融資では不足するところを、日本公庫が穴埋めしようということになります。
では、民間金融機関が貸し渋るのだから、日本公庫がどんどん貸せばいいじゃないか。というと、それがそうでもありません。日本公庫の役割は、あくまで「補完」です。
日本公庫が「主」になって融資をしだすと、こんどは「民業圧迫」だといって責められます。つまり、日本公庫が融資を奪うから、民間金融機関が融資をできないじゃないか!となるのですね。
日本公庫としても、責められるのはイヤですから、民間金融機関の動きを見ながらの融資…ということはありえます。なので、民間金融機関が融資をしないことで、日本公庫としても融資がしづらくなるという状況もあるわけです。
こうして、民間金融機関からは貸し渋り、日本公庫からも借りづらいとなれば、会社としては二重苦となります。
とくに、日本公庫は、中小企業にとって「頼みの綱」であったりもしますから、日本公庫からの借入をいかに持続するかは、資金繰りを左右する大きなポイントだといってよいでしょう。
では、どうするか?
金利が高くても日本公庫から借りておく
そもそも、日本公庫からの借入を嫌う社長がいます。その理由として、「民間金融機関に比べると融資金利が高い」というのは、しばしば語られるところです。
たしかに、そのような一面もあります。が、日本公庫の利点は「いざというときの選択肢が増えること」です。さきほど、日本公庫は「民間金融機関の補完」が役割だといいました。
なので、民間金融機関が融資をしづらい場面、たとえば、融資先の業績不振や創業時などでも、日本公庫であれば、柔軟な対応を期待することができます。
また、新型コロナのように、多くの会社が窮地におちいるようなときにでも、日本公庫は多くの会社に対して迅速な融資を実行してきました。だとすれば、日本公庫は「頼みの綱」なのです。
少々金利が高くても、ふだんから借入をして、日本公庫と関係づくりをしておくことが、いざというときの「生命線」になります。
ところが、ふだんから借入をしていませんとか、ましてや、日本公庫からはいちども借入したことがありませんということになれば、いざというときにも借りられなかったり、借りるまでに時間がかかったり…ということになってしまいます。
つまり、日本公庫との関係づくりができていないと、会社がつぶれる可能性が高まるのです。金利上昇の局面にあるいまこそ、いまのうちに、日本公庫からきちんと借入をしておくことをおすすめします。
まとめ
日銀の利上げもはじまり、世の中の金利が上がっていく過程にあります。すると、日本政策金融公庫からの借入はどうなるのか?実は、意外と困ったことになるかもしれません。そんなお話でした。
ボーッとしているうちに困ったことにならないよう、本記事の内容を押さえておきましょう。