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資金繰り表がつくれない…という税理士の悩みどころはどこにある?

資金繰り表がつくれない…という税理士の悩みどころはどこにある?

銀行融資・銀行対応をスムーズに進めるうえで、欠かせないのが「資金繰り表」ですが。その資金繰り表がつくれない…という税理士の悩みをうかがいます。ではどうするか?のお話です。

目次

銀行融資・銀行対応に欠かせない資金繰り表

会社の銀行融資・銀行対応をスムーズに進めるうえで、欠かせない資料の1つが「資金繰り表」です。これがあると、向こう1年ていどの入出金の予定、預金残高の推移をあらわすことができます。

銀行からすれば、貸したおカネを返してもらえるかが関心事であるため、資金繰り表によって、そのあたりが確認できると安心です。ゆえに、融資の相談もスムーズに進めることができます。

なので、税理士であれば、顧問先には資金繰り表の作成をおすすめしたいところです。そして、日ごろから、そのようにお伝えもしています。が、税理士の方々からは、こんな悩みもうかがっています↓

「資金繰り表がつくれない…」

また、カタチのうえではつくれたとしても、銀行に見せる資金繰り表として「これで大丈夫なのかがわからない…」といった悩みもうかがっているところです。

この点、よくある具体的な悩みどころを挙げつつ、解説してみることにします。

資金繰り表がつくれない税理士の悩みどころ

売上の予測

資金繰り表をつくるには、売上を予測する必要があります。そこで、社長に売上の予測をたずねてみたりもするわけですが、「将来のことなどわからない」というのはよくある返答です。

すると、資金繰り表づくりも、さっそく暗礁に乗り上げることになります。そこでおすすめをしたいのが、税理士側で「勝手に予測をする」ことです。社長にムリなら、「勝手」もしかたがありません。

もっとも、勝手に予測をするとはいっても「ひとまず前期ベース」です。たとえば、「前期比で売上が10%増加した場合」といった前提を、売上の予測としてしまいましょう。

売上が決まれば、原価(仕入や外注費)も決まります。原価については、こちらも「ひとまず前期ベース(前期の原価率)」でOKです。

同じようにして、「前期比で売上が30%増加した場合」や、逆に「前期で売上比が10%減少した場合」など、「複数のシナリオ」として、複数の資金繰り表を作成します。

複数つくるといっても、Excelで算式を組めば、それほど手間がかかるものではありません。そのうえで、複数のシナリオにもとづく資金繰り表を、社長に見てもらいましょう。

前期比というハナシになると、「10%増加は狙えるけれど、30%は現実的ではない」とか、「30%減少はありうるかも」などといった、社長が持つイメージを引き出しやすくなります。

そのイメージをもとに、実現可能性があるシナリオを採用しましょう。あまりたくさんシナリオがあるのもイマイチなので、「楽観、成り行き、悲観」の3つくらいのシナリオがおすすめです。

たとえば、楽観は「前期比で売上20%増」、成り行きは「前期比で売上10%増」、悲観は「前期比で売上20%減」などといったものが考えられます。

というわけで、社長が売上を明瞭に予測できない場合には、ひとまず前期ベースで予測をしてみる。前期ベースの複数のシナリオを「たたき台」として、社長と詰めていくとよいでしょう。

入金時期・支払時期

売上の予測ができたら、次は入金時期の確認です。また、売上の予測にともない、原価の予測もできているはずなので、その支払時期も確認します。

ここでいう確認とは、入金であれば「入金サイト」を、支払であれば「支払サイト」を把握するということです。サイトを把握できなければ、資金繰り表をつくることはできませんから。

といっても、とくに難しいことはありません。売上先・仕入先・外注先を列挙して(リストにして)、それぞれ締め日と決済日とを、顧問先から教えてもらいましょう。

たとえば、「末日締め・翌月末入金」とか、「15日締め・翌々月末払い」とか。あとは、前述の売上予測にあわせて、売上の入金と原価の支払とを、資金繰り表に落とし込んでいきます。

だとすれば、売上の予測は「売上先ごと」であるほうが、より厳密な資金繰り表をつくれることがわかるでしょう。売上先ごとに、入金サイトは違うこともあるからですね。

とはいえ、売上の予測が「売上先ごと」にはできない…ということもありえます。そこまで、社長にたずねると、社長も回答に窮してしまい、資金繰り表の作成自体が進まないのでは困ります。

だとすれば、そこはざっくり、売上全体の予測ですませるのも1つの方法です。そのときには、「売上全体で見たときの、平均的な入金サイト」が次善策になるでしょう。

具体的には、「売掛金回転期間(売掛金÷売上高)」です。原価についても、同じように考えることができます。これにより、売上と原価については、資金繰り表を埋められます。

あとは、固定費(販売管理費)です。ただ、これも「ひとまず前期ベース」で作成し、前期とは異なることがないかを、社長に確認する順序がよいでしょう。

繰り返しになりますが、社長とはゼロから話をするよりも「たたき台」があるほうが、社長も話をしやすいものです。

預金増加が大前提

資金繰り表は最終的に、預金増加が大前提です。たとえば、1年後までの資金繰り表をつくるなら、1年後の預金残高が、いまよりも増えていなければ意味がありません。

意味がないというのは、「銀行に見せる資金繰り表であれば」ということではあるものの、本質的にも、預金増加は大事なポイントです。逆に、預金が減っていたらどうなるか?

当然、その先には「資金ショート」がイメージされます。だから、銀行に見せる資金繰り表は、預金増加が前提なのです。

ちなみに、資金繰り表には、売上の入金、原価の支払い、固定費の支払いのほか、固定資産の購入支払いや、借入とその返済といった内容も含まれます。

それらをふまえて、最終的に預金が増加するのかどうかです。ではもしも、つくった資金繰り表が、預金が減っていくというものであったらどうするか?

利益の再検討です。つまり、売上を増やせないか、原価率を下げられないか、固定費を減らせないかを検討して、その結果を資金繰り表に織り込みます。

加えて、借入についても検討しましょう。銀行から借入をすることで、預金残高を増やすことが可能です。ただし、その借入にともなう返済も、資金繰り表に織り込む必要があります。

そのうえで、最終的に預金残高が増えているかどうかを確認しましょう。その確認ができておらず、預金残高が減っていく資金繰り表をつくり、そのまま銀行に提示しているケースがあります。

税理士は、顧問先の資金繰り表に関わるのであれば気をつけましょう。

まとめ

銀行融資・銀行対応をスムーズに進めるうえで、欠かせないのが「資金繰り表」ですが。その資金繰り表がつくれない…という税理士の悩みをうかがいます。

というわけで、「ではどうするか?」についてお話ししました。本記事でお伝えした内容を押さえることができれば、資金繰り表もよりつくりやすくなるものと考えます。

資金繰り表がつくれない…という税理士の悩みどころはどこにある?

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