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財務の目標は信用保証協会の要件を目安に

財務の目標は信用保証協会の要件を目安に

財務の目標などといわれてもわからない…というのであれば、信用保証協会による各種保証制度の要件を参考にしてみましょう。実際に、どのような要件があるのか確認をしていきます。

目次

財務の目標を持とう

財務の目標がない会社があります。また、「財務の目標などといわれてもわからない」とおっしゃる社長もいます。

ここでいう「財務の目標」とは、平たくいえば、資金繰りの視点による数値目標です。資金繰りをよりよくするためには、具体的にどのような目標を持てばよいものやら…

というのであれば、信用保証協会による各種保証制度の要件が参考になります。つまりは、保証付き融資の要件であり、信用保証協会が設けている一定のハードルです。

これをクリアできるから、保証付き融資が受けられるわけで、ひいては、資金繰りもよくなるのだといえます。では、実際にどのような要件があるのか。このあと確認していきましょう。

まずは、経営者保証なしの融資要件から

信用保証協会では、2024年3月から「保証料率の上乗せを条件に保証人による保証を提供しないことを選択できる信用保証制度」を提供しています。なんのこっちゃ?という制度名ですが。

要は、「信用保証料を通常よりもちょっと上乗せすることで、経営者保証をなしにできますよ」という制度になります。

おカネを貸す側にとって、経営者保証をとることは、リスクを軽減する手段のひとつです。それをなしにするのであれば、一定の要件を設けるのは当然のことでしょう。

その要件は、次のとおりです↓

  • 過去2年間において決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出していること
  • 直近の決算において代表者への貸付金等がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと
  • 直近の決算において債務超過でない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと

このうち、1つめの要件について。「決算書等」とありますが、「等」には、決算書だけではなく、試算表や資金繰り表なども含まれるものとされています。

つまり、銀行が必要とする情報を、帳票として提供できることが求められているわけです。これは、会社にとっても大事であることはわかるでしょう。帳票なくして、会社は現状把握ができず、現状把握なくして、目標も改善もありえません。

続いて、2つめの要件については、財務の透明性が求められています。社長が会社からおカネを借りているのでは、公私混同です。会社が大赤字なのに、高額な役員報酬というのでは、銀行が納得できないことはわかるでしょう。

財務の透明性に問題があると、銀行からは融資が受けられなくなるため、資金繰りが悪くなります。つまり、財務に支障をきたすということです。

さいご、3つめの要件について。債務超過(資産<負債)でないこと、または、連続赤字でないこととされています。銀行融資を考えるのであれば、債務超過は「超えてはいけない一線」だとわかるところです。

なお、赤字については「減価償却前経常利益」とされているため、経常利益が赤字であっても、減価償却を足し戻してプラスならOKですよ、と。ちょっとやさしい要件にはなっています。

というわけで、以上の3つの要件を、まずは目指すべき財務の目標としてみるとよいでしょう。

続いて、特定社債保証制度の要件を

次に、特定社債保証制度の要件を見ていきます。特定社債保証とは、文字どおり、社債の発行について、信用保証協会が保証を付ける制度です。

銀行融資が「間接金融」であるのに対して、社債発行は「直接金融」にあたり、いっぱんに直接金融のほうが間接金融よりも、資金調達としての難易度が高いものとされています。

ゆえに、本制度を利用するには、適債基準(厳しい要件)というものをクリアしなければなりません。だとすれば、本制度の適用を受けて社債を発行することは、優良企業の証ともいえます。

よって、特定社債保証制度の要件は、目指すべき財務の目標にもなるわけです。では、その特定社債保証の要件がこちらになります↓

  • 自己資本比率 → 20%以上
  • 純資産倍率 →2倍以上
  • 使用総資本事業利益率 → 10%以上
  • インタレスト・カバレッジ・レシオ → 2倍以上

上記は、純資産の額が「5千万円以上3億円未満」の会社に求められる要件です。純資産が3億円以上の場合には、要件が異なりますが、多くの中小企業では純資産が3億円未満でしょうから、まずは、上記の要件を参考にしましょう。

ちなみに、「純資産が5千万円以上」が最低ラインであることもわかります。これも、1つのハードルです。ただ、本制度の利用が目的ではありませんから、純資産が5千万円未満であっても、上記の要件を参考にすることは問題ないはずです。

なお、各要件の指標について、計算式は次のとおりとなります↓

  • 自己資本比率 = 純資産額 ÷(純資産額 + 負債額)×100
  • 純資産倍率 = 純資産額 ÷ 資本金
  • 使用総資本事業利益率 =(営業利益 + 受取利息・受取配当金)÷ 総資産額 × 100
  • インタレスト・カバレッジ・レシオ =(営業利益 + 受取利息・受取配当金)÷(支払利息 + 割引料)

これら4つの指標について、前述の要件をクリアすることができれば、銀行から見ても「良い会社だ」との評価につながります。目指すべき財務の目標としてみるのはどうでしょうか。

まとめ

財務の目標などといわれてもわからない…というのであれば、信用保証協会による各種保証制度の要件を参考にしてみましょう。

というわけで、実際にどのような要件があるのか確認をしました。財務の改善は、一朝一夕にできるものではありません。少しずつでも要件をクリアできるように、改善に取り組んでいきましょう。

財務の目標は信用保証協会の要件を目安に

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